京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.2857  湖東三山-紅葉の寺院巡り

 

f:id:hirasankun:20190626010617j:plain



【日程】2007年12月2日(日)

【参加者】計8名
【天候】晴れ


【記録】
9:00 京都駅発(名古屋行きハイウェイバス
9:58 百済寺バス停着
10:35-12:12 百済寺 (昼食) 
14:02-15:17 金剛輪寺
16:12-16:48 西明寺
17:07 西明寺バス停発 (湖東三山シャトルバス)
17:39 尼子駅発(近江鉄道
17:56 彦根駅発(JR)
18:42 京都駅着
8時50分。京都駅ハイウェイバス乗場に集合。各バス乗場は滑り込みで紅葉狩りを楽しもうという観光客であふれていた。陽射しは暖かく風は無い。絶好のハイキング日和である。
約1時間で百済寺バス停に着いた。百済寺まで、ほぼ一直線になだらかな道が続く。途中「北古屋集落」の案内図の所で穐月大介さんの解説を拝聴する。朝鮮半島から若狭を経由した渡来人がこの地に集落を形成。当時の高級住宅街であったそう。
百済寺に到着。門前には焼き栗や蓬餅を売る店が並んでいる。思わず引き寄せられるが、まずは拝観。朱塗りの山門をくぐり、石垣の長い表参道を進むと仁王門が現れる。金剛力士像が向き合う門の正面には一対の大草鞋(わらじ)。この草鞋に触れると「身体健康・無病長寿のご利益」とのことで藁の間に多くの一円玉・十円玉が差し込まれている。本堂では彦根築城400年を祝して寺宝:如意輪観音聖観音を特別公開中。当初11/30までの予定が12/2つまり本日までに延長されるという幸運だ。(シャトルバスも本日限りだった) 拝観後、本坊・喜見院の庭園へ。紅葉は見頃で、池をめぐりつつ何処から眺めても絵になる。大きな不動石の下から池へ流れ落ちる龍雲の水音が心地よく響いている。安眠の座石と書かれているのを見て「よく眠れそう」と誰かの声。標高308mの遠望台からは湖東平野と琵琶湖、その向こうに比叡山が霞んで見えた。更にそのずっと先には朝鮮半島・・・かつて渡来の人々はここから、はるかな母国を偲んだことだろう。
百済寺を出て坂を下る。そろそろお昼時だ。小さな神社の境内でゆっくりと腹ごしらえし、金剛輪寺へ向けて出発。田園の中の一本道。ポケットに両手を入れ、横一列でのんびり歩く皆さんの後姿は滅多に拝めません! 空には鷹がゆったりと舞い、畑の脇には季節はずれの花達が咲いている。ジシバリ・白花たんぽぽ・ハハコグサツリガネニンジンホトケノザの群落はナント満開。紫色の絨緞を広げている。図鑑では「花期3~6月」なんだけどなぁ。
金剛輪寺の少し手前には古墳公園があった。直径10m高さ2mに満たない墳丘10基。元は102あったらしいが、1400年も前の渡来系民族の古墳が残っているだけでも驚きだ。
金剛輪寺に到着。参道の両側にずらりと並んでいるお地蔵様は千体地蔵尊。一人ずつに風車が供えられている。本堂手前のニ天門。こちらも大草鞋一対が下げられている。「七難即滅」を願うとのこと。国宝の本堂を参った後、庭園へ。不断の桜花が紅葉を背景に咲いて、クリスマス・ツリーのよう。名残惜しみつつ、最後の西明寺へと向かう。
三つの寺をつなぐ湖東三山自然歩道9.5㎞の内、西明寺手前の1㎞余のみが山道である。日暮れの近づいた林の中は暗い。拝観に間に合うか、少々心配になる。鐘を打つ音。4時だ。「拝観はきっと5時までだ」と励まし合い(?)急ぐ。西明寺に到着。間に合った! 本堂の回廊で寺男が大声で案内をしている。ナンだか元気が出る。その声に従いお堂に入って座る。と、先程の寺男(もしかして住職さん?)が現れた。奥の仏像を懐中電灯で照らしつつ慣れた口調で解説される。多くが祀られる中、珍しく思われたのは十二神将薬師如来を守護する十二神がそれぞれ頭上に干支の動物を乗せている。本堂を出る。総檜の三重塔が紅葉に包まれて聳えている。暮れなずむ本坊の庭を少し急いで観賞。シャトルバスは最終便一本を残すのみ。乗り損っては大変とせっせと参道を下りバス停へ。間に合った。ほっと一息ついてお茶を飲む。シャトルバス-近江鉄道-JRと乗り継ぎ、無事京都へ。  N彦リーダーを始め、皆さん、お世話になりました。のどかな一日。とても楽しかったです。


【感想】 50期 M.K.
滋賀 湖東三山 百済寺から金剛輪寺西明寺
 いつか行きたいと願っていました。湖東は大陸からの渡来人の地です。当時の先進文化と先端技術で豊穣な土地に改良した豊の地です。紅葉した山々と田舎道と千数百年の歴史を持つお寺と仏像、空は雲ひとつない初冬の青空の中のウオーキングでした。
 今年最後の見頃の紅葉、鮮やかで濃密な色の中を歩いていると自然に気持ちが和みます。西明寺の庭で可愛らしい花を咲かせている樹齢数百年の不断櫻を始めて見ました。秋冬春と絶え間なく咲くそうです。なんとけなげで凛とした愛らしい櫻でしょう。又リーダーのY本さんが道ばたに咲く野の草花を見つけては説明をしてくださり、春咲く花が初冬に咲いていることのへ気づき・温暖化の影響!、又田畑を見ながら忘れていた子供の頃を思い出したり皆さんの笑顔が素敵な一日でした。
 西明寺の本堂では、10月フランスで亡くなられた重要無形文化財保持者 截金(きりかね)師工芸作家の江里佐代子さんの作品を見ることができました。仏像に描かれた繊細で典雅で美しい文様は心に残りました。前回の読図例会で江里さんの話しが出ていたので作品との出会いが嬉しかったです。
素敵な楽しい仲間と出会えて、元気が出ました。有り難うございました、後日 野の草花の本買い求めました。


【感想】S.O.(非会員)
 N彦さんからお誘いを頂き、そういえば京都人らしく京都の寺の紅葉は人が多すぎて見に行ったりしてない、湖東の方は全然行った事がないので、参加させて頂く事にしました。当日は12月と思えないポカポカ陽気。歴史のお話も面白くなんだかとっても得した気分。(ありがとうございました。)途中の山郷の風景も紅葉している山と一緒になって、素敵な感じでした。初めて近江鉄道にも乗ったし、たまには、のんびり歩くのも楽しいなあって思いました。
帰りの飲み会にも皆さんとご一緒させて頂いたり、N彦さん、ありがとうございました。いつもお世話様です。あまりお役にたてない私ですが、また、よろしくです。


【湖東三山ウォーキング】 22期 S.A.
 是非、もう一度訪れてみたい!と思う場所はいくつかありますが、湖東三山の紅葉と古刹の佇まいは、中でも一際印象深く心に残っています。
24年前のこと、出産間近の私は余り遠出も出来ず、ちょっと行楽でもとヒョイとハイウエイバスに乗り込み、偶然出会えた古刹です。名神高速の傍らにこんなに静かに荘厳に佇んでいること、落ち着いた庭園、真っ赤な紅葉、すべてが感動でした。時が経ち、最近少し歴史に興味を抱くようになり、滋賀の古墳、廃寺、古寺、古道などいにしえに思いを馳せ、巡っています。そんな折も折り、さすがカルチャー例会CLならではの企画!!そのタイミングの良さに感服しています。天候に恵まれ野辺の秋を満喫し(なんと畦の草花はもう春でしたが・・)古寺巡礼はさながら懐かしい遠足風景。こんな形で又思い出の場所に出会えて幸せに思っています。ご一緒させて頂いた皆様有り難うございました。


【湖東三山感想】 25期 D.A.
気がついたらずいぶん久しぶりの例会参加になってしまいました。
秋は紅葉、湖東三山なら奥さんも行くと言うし今年最後のチャンスと思って参加したらこの日だけ快晴、絶好の紅葉狩り日和。今年も異常気象に輪が掛かり春の花が咲き乱れる中、紅葉の色は今ひとつでしたが、心地よい秋晴れの中近江の広々とした田舎道を歩いて回る紅葉は最高でした。
湖東三山は信長が天下布武の実現のため後に根拠地にしようとした安土の目と鼻の先に宿敵比叡山配下の大寺が三つもあったのですから徹底的に叩かれたようです。それでも国宝重文がかなりの数あるので相当な大寺だったのでしょう、最近再び人気が出てきてどのお寺もとてもきれいに手入れされていました。
皆さん元気な上に好奇心一杯で隅々まで見て回る物だから最後の西明寺に着いた頃には日もとっぷりと傾きほんとにぎりぎり時間いっぱい、それでも夕日に照らされた紅葉は美しかったです。
それに京都での反省会でK本さんの冒険譚がとってもおかしくも素敵でした、及ばずながら応援させていただきます。


【感想】36期 Y.T.
湖東は故郷で、三山には子供の頃に親に連れられて行ったように思いますが、覚えていません。例会で行けて本当に良かったです。10Km位のハイキングなので軽く考えていたのですが、昼食以外はほとんど座っていなかったせいか、次の日は足が重かったです。穐月さんの丁寧な説明を聞きながら仏像を見て回りました。後で調べると7世紀唐と新羅の連合軍に百済が破れ、援軍を送った日本も敗れた。その時、百済の人が日本にきてこの辺りに住んだのだろうか。古代史も面白いかも。今回は最後の紅葉に間に合い、特に赤がきれいでした。今日が最後の秘仏の御開帳日、シャトルバスは今日が最終日、近江鉄道尼子駅も明日からは無人になるなど、去り行く秋の一日を楽しみました。


【感想】 44期 N.Y.
ひさしぶりのスニーカをはいてのハイキングです。私も歩いての湖東三山巡りは初めてです。一時は仏像に関心のあった時期もありましたが、「自然の造形に比べれば人間が作った造形など…」との思いで遠ざかっていました。なんと尊大であったことでしょうか! 宗教はいつの時代も、利用し、利用され…の繰り返しです。今回の天台宗の寺院である三山は、ご多分にもれず信長以前は比類ない勢力を誇った比叡山の傘下で、かつ地元の有力帰化人系の勢力の庇護の本で我が世の春を謳歌しているところを突然降ってわいたように信長の焼き討ちに遭います。当時の天台の僧たちには「まさか仏法僧に刃向かうものはいまい。ましてや火をつけるなどは…」という状況にあって、それがまさに本当に事実になってしまったのですから地元の人たちにとっては大きなショックだったろうと思われます。
百済寺への入り口で受けたA月先生の講義のおかげで古代史はおもしろいかな?と思い始めたメンバーも増えたのでは。わたしも目が覚めたかも?すばらしい授業でした。
私は今回久しぶりに安土桃山時代のいわゆる中世末期の人々の考え方が現代日本人の精神のもとになっていることを思い出しました。特にここ湖東は、田の畦をみんなで歩いて分かったのですが、後ろが山で、前がすぐに琵琶湖です。その絶好の地点の見晴台にお寺があるのです。輸入品や持ち出し品も容易に、琵琶湖を通して各地に運ばれていったと思います。
湖北のお寺では放火される前に農民が仏像を田に埋めたと聞いています。ここでは百斉寺が全焼しています。金剛輪寺は半分助かっています。西明寺は国宝級が2つも残りました。勢力を象徴するものを徹底的に壊滅させるのが信長のやり方です。
「鳴かぬなら殺してしまえ、ホトトギス」「鳴かせてみよう、…」「鳴くまでまとう、…」は三つのパターンの人間性のたとえですが、信長はもちろん、「殺して」しまうのですね。逆に言うと人間は自分のしたことを相手から受けますから、「殺す」といろいろな「殺さ」れ方をします。「鳴かせる」と「しっかり泣かされ」ます。「待つ」と「不必要に待ってくれ」ます。
最初は小さな組織を大きくするときに有効な個性です。2番目は比較的安定した組織でさらに伸ばすときに必要な個性です。いったん安定すると今度は合議制中心の3つ目の個性が期待されます。こうして考えると日本は本当にこの時期結果的にうまく運んだのですね。
こんなことをぶつぶつ思いながら、あぜ道をブラブラと歩きました。畦には春の野花が爛漫(らんまん)と咲いています。ん?今は12月ではないのかな?なんともけだるい?師走のハイキングです。
久しぶりにA月さんと肩を並べて歩きました。相変わらず元気いっぱいで、この散歩では絶対にもの足らなかったと思います。A月哲さんとも、本当に久しぶりです。楽しい会話に花が咲きました。H史殿は「息子」とはいえ、この散歩はだるいものだったでしょうが、最新一眼レフを駆使してわれわれの集合写真を撮ってくれました。カメラも腕もいいですね。O野さんには今回も記録をお願いしました。K本さんは伊吹山以来でしたが、しっかりと歩かれて、もうこれなら次回の愛宕山初詣もいけるのでは?と思われました。O木さんはひさしぶりにゆっくりの散歩に参加です。今回は交通機関の情報をT野さんにすべてお願いしていました。行きが高速バスという案は私には無理です。おまけに西明寺でのバス乗車が最終日の最終便でというすごさ。翌日からはいないという近江鉄道職員から頂いた貴重な情報もすごい話です。ありがとうございました。さすが、土地感と周到な最新情報収集ありがとうございます。今年1年間例会ではずいぶんとお世話になりました。この場を借りてあらためてお礼を申し上げます。
O野さんも普段忙しそうな日常性からのタイムトラベル?!考えると自称はぎっちょさんもここ半年で大きくお山で成長しましたね!O木さんはよく分かりません。岩ものんびりお散歩も似合うんですね。そして、K本さんはこの日はがんばることなくごく自然体で歩いていました。これから期待です。この日は本気で集めれば、田のあぜ道から春の七草が集められたかもしれません。何かおかしくありませんか?
これで今年の私担当の例会は終了です。12/15-16はT辺リーダーの三十三間山ハイキング・忘年会・琵琶湖野鳥観察です。年明けの1/27は「愛宕初詣と水尾での鶏スキ・ゆず風呂」例会です。同例会以降長―い春眠に入ります。今年一年間お世話になりました。来年もよろしくお願いします。どうぞみなさん、よいお年を。