京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3041 沢登り:下谷尻谷

天狗滝より上流は飛び込めるような釜や淵が点在するので、ウォータースライダーなど、積極的に水遊びをしながら入渓地点まで下降した。

下谷尻谷3

(ウォータースライダーを楽しむ小泉)

 

 

No.3041 2010年8月29日

沢登り(初級):下谷尻谷(神崎川本流から変更)

                  記録 小松

【参加者】CL AT  SL小松久剛 秋房伸一 小泉賀奈子 本田勇樹(見学) 会員4名 計5名

【天候】晴

【記録】京都6:30→神崎川林道・瀬戸峠口 8:00→神崎川流入渓8:30→下谷尻谷出合核心部の滝 9:30→岩堤の滝 12:10→コリカキ場 12:45→お金峠13:05→天狗岩 13:30→ヒロ沢出合 14:20→ 天狗滝 15:10→瀬戸峠口16:15

 

 諸事情により、予定の目的地(神崎川本流)から目的地を下谷尻谷に変更。

 山科駅に集合して、秋房車・小松車で神崎川を目指す。

 途中、小松が間違った林道に入ったりするトラブルはあったものの、予定の時刻に無事瀬戸峠下の入渓口に到着。林道で沢装備を整え、入渓準備を行う。

今回、例会見学に来られた本田さんも既にヘルメットを購入しておられ、やる気は充分の様子。

 ここから神崎川本流の白滝谷出合よりすこし下流の地点に入る。

 神崎川は前回T・小松で偵察に来た際よりもさらに水量が減っており、きわめて平易な渓相になっていた。

 本流を遡行し、下谷尻谷出合に到着。

 下谷尻谷の核心部は出合の滝とのことで、直登目指して小松が左壁をリードする。

数手登ったところで意外とホールドがもろく、危険と判断したのでハーケンを打ってランニングを取る。

 そのまま滝上に抜け、滝上の下降用のハーケンを使ってビレイを行い、後続は登高器で登攀した。

下谷尻谷1

(出合の滝をリードする小松)

 

 進んですぐにCSを抱える6m滝が現れるが、左壁を巻き上がり、後続にお助け紐を出すも、お助け紐では登高器による登高も、ビレイ器によるビレイもできずに、後続の身動きが取れなくなる。

 結局お助け紐でロープを引き上げてロープを使用したが、リードは必ずロープを持って上がるべきと感じた。

 その後、明るい沢を小滝を乗り越えつつ遡行する。

そのまま岩堤の滝に到着。これも滝ノ下をくぐれば階段状の岩があり、抜けるのは簡単。

下谷尻谷2

(岩堤の滝を越える秋房)

 

 岩堤の滝を越えてすぐコリカキ場が現れる。ここからお金峠を越えて神崎川本流に入る。

 お金峠・天狗岩までの道はそれほど不明瞭な箇所も無く通過したがそこから先が急に踏み後が不明瞭となり、仕方なく北東に延びる尾根を進む。

 やぶこぎを1時間ほど続けた結果登山道に出たので、そこから暫く下降して神崎川本流に出た。

 この後はひたすらに沢中を下降するだけであるが、特に天狗滝より上流は飛び込めるような釜や淵が点在するので、ウォータースライダーなど、積極的に水遊びをしながら入渓地点まで下降した。

 

【感想】 52期 小松久

私にとって今回の例会は鈴鹿の谷2回目です。

 神崎川は岩も白く非常に美しい渓谷ですが、近年川底が土砂に埋もれ、かつてのような美しい淵は無くなりつつあります。とは言え、やはり美しさは健在で、本流以外にも支流に美渓を抱えますが、今回はそのうちの一つ、下谷尻谷に向かいました。

 以前神崎川本流を遡行した際に、天狗滝直前に暗い入渓口をもつ谷があるなと思っていましたが、これが下谷尻谷で、入り口の滝が実は核心部でだんだん谷はなだらかになるという、比良などでは見られない谷の構造です。

 僕はといえば仕事の忙しさにかまけてクライミングをサボっていたのが災いして全くスムーズに登れなくなっていました・・・もっとクライミングに行こう。

お金峠からの下りでは道がよく分からなくなったところもありましたが概して楽しく、ウォータースライダーや滝への飛込みなど夏の水遊びを満喫できた例会でした。

 Tリーダーをはじめ、参加の皆さんありがとうございました。

 

【感想】 51期 T

初級者例会と銘打って行った沢例会は、当初神崎川本流のみの遡行を予定しておりましたが、急遽予定を変更しての下谷尻谷(しもたんじりだに)遡行となりました。

前情報通り、難所らしきところは谷入り口の滝だけで、他は危険な高巻きも無く通過容易なところばかりでしたし、距離も短く楽しめました。

帰りに神崎川本流を下って帰ったのですが、遡行する時はとても退屈だったところが、下ってみると飛び込んだり泳いだりと、まるで表情を変えてとても楽しめたのには驚きました。

沢によって、登る(沢登り)のが楽しい沢と下る(キャニオリング)のが楽しい沢というのがあるのかもしれません。

今回は見学者の本田さん(その後入会)とご一緒させていただきましたが、とてもスムーズな動きで沢登りされていて、どのセクションも終始問題なく通過しておられました。

聞くところによると毎日1キロの水泳練習をされているそうで、水泳も上手でした(我々と違って)ので、「スイマー」のいない沢部の新兵器となりそうな予感。

今年の沢登りはこれでほぼ終了ですが、とても身のこなし軽い小野さんといい、本田さんといい、来年の沢部はかなり期待が持てそうな予感がし、今からもう夏が待ち遠しいところです。

 

【感想】 52期  小泉 賀奈子

神崎川は岩が白くてきれいで、とても気持ちのよい遡行ができ、楽しかったです。ただ、下谷尻谷の入り口の滝では登るのに苦労し、ビレイをしてくださった小松さんをはじめ皆さんにご迷惑をお掛けしました。たいへんお世話になりました。岩登りのトレーニングもしてレベルアップを図れたら・・・と切に思った次第です。

お金峠の辺りではやぶこぎに面食らいましたが、Tリーダーの機転で安全に本流に合流できて、人間方位磁針のすごさに感服です。本流では滑り台や飛び込みをしたり、秋房泳法(直伝!)で滝壺を横断したり・・・と沢を満喫することができました。本田さんは泳ぎ慣れておられ、すいすい泳いでおられたのが印象的でした。

好天に恵まれた中、沢の魅力にどっぷりと浸れた一日になりました。ご参加のみなさま、ありがとうございました。

 

【感想】 52期 秋房伸一

鈴鹿の山と谷』全6巻ナカニシヤ書店1989~という大著があります。書名のとおり鈴鹿の山域を網羅した労作で、なぜか私は10年以上前に、山登りをしていたわけではありませんが、妙に気になって、思い切って全巻購入していました。

下谷尻谷のページをみると、「天狗滝のゴルジュの下端付近に3メートルの滝となって合流する険谷がある。これが谷尻谷で、入口はせまいが奥は広大な集水面積をもっている。まずチョックストーン状の滝があり登れないので右岸を巻く。・・・両岸すごい岩壁で箱中のような谷である。天狗滝の巻き道から見るこの付近の岩場は相当なもので迫力満点である。ことに左岸がすごい・・・」とあります。

鈴鹿の谷のほぼ全部を遡行した著者がそう書いているのですから、私などちょっと腰が引けそうな谷ですが、今回の遡行ではサクサクと気持ちよくパーティーとして遡行できました。天候も良く、時期的にも最高であったことを差し引いても、喜ばしいことです。

核心部は本流から分岐した最初の滝で、本には「登れない」とありましたが、トップの小松さんがハーケンを打ちながら登って後続をビレイ、今回が初めての沢登りだという本田さんも軽々登りました。続いて私の順番でしたが、結構苦労し、メーンロープで確保されながら上からお助け紐も垂らしてもらい、なんとかなりました。Tさんはスイスイと階段を歩いているようで、小泉さんはそれなりに苦労しましたが、団体行動としての沢登りの楽しみは皆で助け合って難所をクリアしていくそういったところにもあります。

鈴鹿の谷は、実に爽やかで気持ちよく、水温も高くて、もう毎週のように行きたいと思いました。来シーズンは、ぜひ鈴鹿の谷に行きましょう。

 

【感想】 見学者 本田勇樹

山岳会の方との初めての山行、僕にとっては、初沢登りでした。

支流に入って、すぐの滝の左壁でロープを使用した岩登り、初めてですこし足が震えました。沢歩きは、川底で足もとが見えず、慣れるまで大変でしたが、小松さんに先導していただき、徐々に慣れ、スムーズに歩けるようになりました。 お金峠から藪こぎして下る尾根も登山道しか歩いていない僕には新鮮でした。

初めての沢でしたが、変化に富んだ地形に次々に課題を与えられ、チームで乗り越えていく、集会でお話を聞いていた通りだなと思いました。見たこともない景色、地形を歩けるのは楽しかったです。  

今後は、あまり得意でない平泳ぎも練習して少なからず役割を担えるよう精進したいと思います。

急な申し出であったにも関わらず、器具等を用意いただき、初めての経験をたくさんさせていただき、楽しい週末を過ごさせていただきました。皆様ありがとうございました。