養老山はコナラ群落が尾根筋までずっと続き、またミズナラも尾根筋に群落を作っていました。特に北側=日本海側にはオオイワカガミの群落がつづき、初春にはきっとすばらしいお花畑を作っていると思います
養老山途中のピークにて
[例会3044]RDBの会 第31回「養老山・三国岳の植生観察」
<記録>40期 西田和美
【日時】平成23年9月18日(日)
【天気】晴れ
【参加者】山本憲彦(CL)、小西春代、岩波宏、四方真知子、井上純子、奥野淳子、尾崎稔
岩坂弘、鈴木かおり、西田和美(SL)、谷由美子(非会員)、岩波昌美(非会員)
岩波岳人(非会員)、岩波美穂(非会員)
【行程】登山口10:20→胡麻峠11:15→P655 12:07~12:35→養老山13:30→登山口16:15
【記録・感想】
大唐内(おがらち)の集落を抜け、林道泉富線との分岐に車を駐車、ここが養老山への登山口です。杉林の中を谷沿いに登りつめると、二体のお地蔵さんが仲良く並んだ胡麻峠に到着。涼しい風が吹き抜ける峠で一息ついた後、巡視路に並んだ鉄塔を数えながら、養老山の山頂を目指しました。
途中、京都市内ではめったに観察できないタマゴタケなど、たくさんのきのこを見つけることができました。中でも、真っ白い卵から真紅の傘をのぞかせているタマゴタケの幼菌を見つけたときは、「え~っ、これってきのこなの?」と目をまるくする子どもたち。立派に成長し、傘を広げたタマゴタケの生菌を見せると、「さっきのと同じきのこなの?本当に?」と自然の不思議さに驚いている様子でした。この自然の不思議さに驚き感動するという感性は、大人になってもずっと持ち続けていたいものです。他に四本腕のサンコタケ(なぜか養老山のサンコタケは全て四本腕でした)やタマシロオニタケ、食用きのこではホウキタケ(=ねずみの足)も久しぶりに観察できました。
ゆっくり観察しながらの山行であったため、残念ながら三国岳へは時間切れで行けませんでしたが、次回の楽しみにとっておきたいと思います。
<感想> 岩波岳人
9月18日、日曜日に養老山という山にのぼりました。
たまごたけをみました。
おもしろかったです。
ちょっと道をまちがえました。こんどは道をまちがえたくありません。
またよろしくお願いします。(岳人)
(上の文章は岳人がパソコンで打ちました。 34期 岩波 宏)
<感想を絵で>岩波美穂
<感想>52期 尾崎 稔
最近は出張でなかなか思うように休みが取れずに例会になかなか参加できませんでした。舞鶴在住の僕としてはどうしても参加したい例会であり、久々に休みが取れ、参加させて頂きました。養老山の山頂の手前で、東舞鶴の市街地がはっきりと見えました。いつも見ている造船所のタンカー、海上自衛隊の護衛艦、フェリー乗り場なども良く見れてすばらしい景色でした。改めて舞鶴が天然のすばらしい港あることが実感できました。
山本さんからミズナラとコナラの違いを教えて頂き非常に勉強になりました。西田さんからはキノコをたくさん教えて頂きました。サンコダケはよく見れば、密教の仏具である三鈷杵に似ています。昔の人のキノコの命名法は、おもしろいなと思いました。
素晴らしい景色と植物、キノコの勉強もでき、RDBの会の山行を十二分に堪能できました。これからもよろしくお願い致します。
<感想> 48期 井上 純子
山本さんの樹木解説、西田さんのきのこ解説、尾崎さんの東舞鶴解説と、見聞を深めるのに十分でした。が、9月の低山はまだまだ蒸し暑かったです。下山後、和知の道の駅で食べたアイスが自分へのご褒美でした。
<感想> 50期 奥野 淳子
キノコには根が無くて、地面にポコッと乗っていると思っていました。「キノコは菌類が咲かせた花のようなもので、本体はずっと地中にある」と教えて頂いた時は、驚くと同時に長年の謎が解けた気分でした。養老山では黄色い4本腕のサンコタケと珊瑚のようなホウキタケが印象的でした。
<感想> 44期 山本 憲彦
「RDBの会、植生観察は今回は初秋の養老山・三国岳に登ります。特に、京都府がRDBで、「地域生態性・管理維持体制」に入っている「養老山のコナラ群落・落葉広葉樹群落」を観察します。「絶滅しないように!」との思いで、コナラや落葉広葉樹の森を堪能しましょう。初秋の自然に触れながらゆっくり歩いてみませんか?」と「例会案内」に書きましたが、残念ながら三国岳には行けませんでした。また、このリベンジはしたいと思っています。これでリベンジの宿題は由良ヶ岳と合わせて2山になりました。来年においておきましょう。
それにしても、養老山はコナラ群落が尾根筋までずっと続き、またミズナラも尾根筋に群落を作っていました。特に北側=日本海側にはオオイワカガミの群落がつづき、初春にはきっとすばらしいお花畑を作っていると思います。
この日は、雨の後で谷筋は湿度が高く、みんな汗をかきかき胡麻峠まで行きましたが、そこで神の風のごとくに一陣の涼しい風が吹いてくれました。みんなこれで気分を一気に変えることが出来ました。後は頂上までは細い尾根筋をアップダウンしながら縦走する形になりました。右手の日本海を見ながら進みます。途中の見晴らしの良いところで、尾崎さんがすぐ下に見える東舞鶴港に停泊する海上自衛艦の説明や良港の理由などを詳しくしてくれました。舞鶴は今でもある種の軍港なのだと知りました。養老山の頂上はあっけない平らな尾根の一点にありました。
記念撮影をして、Uターンです。帰りに私が途中から、往路に入っていない道を、植生観察のために選びましたが、途中で林道への出口を見失って20分ほど間違った古い山道に入ってしまいました。急な山道で、そこから南にトラバースしようと思ったのですが無理でした。すぐに引き返したので、時間のロスも最小限で済みました。しかし、先頭に続いて、付いてきてくれた岩波さんの家族のメンバーには少ししんどい目をさせてしまい、申し訳ないです。しかし、そのきつい斜面で、あるランの群落を見つけました。また行ってみたいと思っています。
ずいぶん前にこの近くの青葉山に初春に行ったことがありますが、植生としてはここに似ていると思われます。日本海から吹き付ける冬の雪と風。そこに、春には豊富な雪解け水を頼りにたくさんの早春の花が咲くものと思います。今回はもう花はなく、もっぱらキノコ類の天下でした。以前に大江山で見たものには及びませんが、ここでも新鮮なタマゴダケを見つけることができました。みんなでしっかり鑑賞できました。
ゆっくり鑑賞したこともあって、帰りの時間には、三国岳への往復登山を断念しました。胡麻峠からその方角を見るとやはり同じような植生ですが、また行かないと分からない植生があったと思います。次回を楽しみにしましょう。
いずれにしても、京都府北部の山々はすばらしい。このような自然をできればそのまま残して欲しいと願わずにはいられませんでした。帰りに車をおいた地点まで、地元の人たちが道の両側の草刈りをしていました。我々にすると、この山には入りやすくなります。
途中で、今回はヌルデの解説をしました。ウルシ科ヌルデ属の木本(もくほん)です。山で見かけるウルシやハゼと区別がつかないという人も多いので、見分け方を解説しました。葉は互生し、奇数羽状複葉(羽のような葉で、先に一枚の葉が付いている)で小葉は3~6対。小葉は長楕円形または卵状長楕円形で、無柄、縁は粗い鋸歯あり。小葉の間の葉軸に、翼があるのがこの木の特徴です。この「翼」が決め手です!若枝、葉軸、葉裏には褐色の毛が密生。このヌルデはウルシ科のなかでもまだ毒性は軽く、さわっても大抵は大丈夫ですが、ウルシ科に弱い人は要注意です。果実は、4mmほどの扁球形の核果で長い房となって垂れ下がり、紫黄色あるいは白緑色で短毛を密生。果実が熟すと、実の表面が塩味のする白い粉がふきます。信州では昔はこれを塩の代用にしたそうです。また戦時中もこれを塩の代わりになめたとの記録を見たことがあります。岩坂さんが、「子供の頃にはこれを塩の代わりに顔をはらしながらなめていたよ」と紹介してくれました。しかし、調べると、塩分はなさそうですね。
ヌルデミミフシというアブラムシの1種が寄生してできる袋状の虫こぶを葉軸の翼に作ります。虫こぶの中にはアブラムシがたくさん詰まっています。この袋状物質には、タンニンが含まれており、これを乾燥させて染料にし、昔はお歯黒や染色に用いたそうです。
ヌルデはウルシ科ですが、ウルシの樹液は採れないので高価な価値はありません。しかし、中国では「五倍子」と呼んで、これからタンニンを取って産業化しています。現在では日本ではタンニンを「フシ」と呼んでいます。医薬品、インクや染料の原料、革なめし用などいろいろ使われています。他に果実にタンニンを含むものにキブシやヤシャブシがあります。「五倍子」=「フシ」と覚えてください。
有毒植物ウルシ科のハゼ(ハゼノキ・ヤマハゼ)から和ロウソク用のロウを取り、ウルシ(ヤマウルシ)から樹液を取って漆にし、このヌルデからは染料を取るのですから、いくらカブレで避けられる植物とは言っても、ウルシ科の植物は本当に人間の役にしっかり立っているのです。
ただし、いくら親しみをもっても最も毒性の強いツタウルシだけには近づかないでください。紅葉で真っ赤な色の三枚葉(3出複葉)が「さわって!」とあなたを誘惑するかもしれません。一度図鑑で確認しておいてください。これから晩秋にかけては要注意です。
みなさん、お疲れ様でした。今年いっぱいは京都府北部の山に登ります。
養老山山頂にて