京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No. 3149  弥仙山

久しぶりに雨の中を歩くことができ、また、様々な花やキノコに出会え、とても楽しかったです。 

P1010084弥仙山山頂 金峯神社

弥仙山山頂 金峯神社

 

 

[No. 3149] 2011年10月23日(日)弥仙山

     48期 井上 純子

 

【メンバー】 山本憲彦L、西田和美SL、安井一枝、岩波宏、葛城美知子、井上純子、岩坂弘、(体験)根岸慶子(非会員)谷由美子、岩波ファミリー3名 計12名

 

【行  程】8:10京都駅=10:17登山口~10:20水分神社~10:59大本開祖修行の滝~11:12於成神社~11:55弥仙山山頂~(昼食12:30まで)~13:09三角点(576.2メートル)~14:25登山口=15:15京都駅

【天  候】曇り時々雨

 

【記  録】

 あいにくのうす曇りの天気で、午後から雨が降り出すとの予報でしたが、京都駅からレンタカー&岩波号の2台の車で現地に向かいました。登山口へ向かう途中、右前方にこんもりとした小山が見え、あれが弥仙山と教えてもらいました。なるほど丹波富士(丹波槍ヶ岳とも言うらしい)の名にふさわしい秀峰でした。

 ぽつぽつと小雨が降り出しましたが、ゆっくりスタート。気温は暑すぎず寒すぎずのいい感じでした。修験道の山だったようですが、傾斜はゆるやかで歩きやすい道。登山道は近畿自然歩道と重なっているようで、随所に標識が見受けられました。水分神社を通過後、大本開祖修行の滝に出会いましたが、ここもすぐ通過。於成神社も越えて、ほどなく弥仙山山頂金峯(こんぽう)神社に到着したときにはしっかり雨が降り出しました。神社の社殿を昼食場所にお借りして、しばしの休憩を取った後、雨具を着こんでの記念撮影となりました。

 下山路は少し北側に大回りしての周遊コース。小雨は降っていましたが、樹林の中を歩くので、それほど気になりませんでした。植生はといえば、標高550メートル付近までは杉木立で展望もききませんでしたが、550メートルを越えたら、自然林が広がる優しい水彩画のような世界。少しばかり紅葉した葉っぱが雨水を受けて瑞々しく、そのシルエットが際立つさまに少しばかり酔いしれていました。

  今回は道迷いもなく、予定どおり下山。京都駅で反省会の後、解散となりました。

 

【感想】   体験山行 根岸慶子

久しぶりに雨の中を歩くことができ、また、様々な花やキノコに出会え、とても楽しかったです。

名前も注意深く聞いて覚えたつもりが、帰宅後思いだそうとしても思いだせず、残念です。

特に、トチノキ等の大木とサラシナショウマの実、木の枝についた小さなキノコとカニノツメが印象的でした。

次回参加することができたら、メモ帳は絶対に忘れないようにしたいと思います。

ありがとうございました。

 

【感想】34期 岩波 宏

弥仙山の子供らの記録です。

これは岳人の記録です。

<感想>岩波 岳人

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RDBの会「弥仙山の植生観察」

【感想】       48期 葛城美知子

山頂近くの、サラシナショウマの群生地が一番印象に残りました。いつも咲いている花を見るので、黄緑の種が面白く写真に収めました。

車窓からの弥仙山(丹波槍)は、三角錐ですが山頂まで樹木が茂る優しい感じの山でした。

 

(感想)

40期 西田和美

  雨の中の下山、松の朽木に立派なサマツモドキ(早松擬)が出ていました。サマツモドキ(早松擬)は初夏から秋、針葉樹特に松の倒木や根株に発生するキシメジ科のきのこです。傘の大きさは10cmくらいで、黄色の地に赤色の細かい鱗片があり、若い個体はビロードのような感じがします。ひだも柄も黄色く、柄には傘と同じように赤い鱗片がついています。食べると人によっては中毒するそうです。

 サマツモドキは毒キノコの仲間入りをしていますが、サマツ(早松)という食用のきのこもあります。一般的にはニセマツタケ(贋松茸)と呼ばれており、こちらはシイやコナラなど広葉樹林内地上に発生します。同じ環境下でバカマツタケ(馬鹿松茸)などという名前のきのこもあり、食用になります。また、マツタケモドキ(松茸擬)というきのこもあります。マツタケモドキ(松茸擬)は、マツタケに少し遅れてマツタケと同じように赤松林内地上に発生し、もちろん食用になります。京都ではオバマツタケと呼ぶそうです。

ややこしいでしょう…?

 

<感想> 岩波 美穂

弥仙山の美穂の記録です。

岩波

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<感想> CL 44期 山本憲彦

RDBの会 第32回「弥仙山の植生観察」―自然と歴史を訪ねる―

「RDBの会、植生観察は9月の養老山・三国山に続いて、京都府北部の山々の植生観察を続けます。今回は綾部の槍ヶ岳とも言われる弥仙山に登ります。弥仙山の秋の森ばかりでなく、隣の君尾山のモミ群落も見えると思います。また、自然観察と共に修験道の山としての弥仙山の歴史にも触れられたらと思います。」

と会報に書きました。

あいにくの雨で、四方リーダーの例会も同じ頃に長老ヶ岳に取り付いているはず。出発地点では、ぱらぱら、でも行くか!で出発。出始めに沢の縁にヨメナが…。

雨が本降りになりそうで、気もせくようになりつつ、今日はRDBなのだ!先ずは植物系の解説。お題は「ヨメナノコンギクの見分け方」。

 村田源監修 解説永井かな先生の「京都の野草図鑑」(京都新聞社)では、キク科の植物を京都府内で71種挙げています。その中にしっかりと、この両方とも収録されています。キク科のこのような花は識別が難しいですね。でも、ここでは、「ノコンギクは房状になった小枝に頭花がつくのに対して、ヨメナは小枝1本に頭花は一つ。そして、ノコンギクの葉はザラザラしている。ヨメナの花ツルツルしている。これで分かる。」

キク科の花はどこにでもあり、知っているようで知らないことの多い植物です。もともと、菊という花は中国が原産ですが、今では、日本の皇室を始めご紋が菊である事は多いので、菊は日本原産かなと思われる人も多いのですが、違います。

あれほど多い野生の菊の種は発見しつくされたと思われていたのに、牧野博士は「野路菊」と命名された新種(異説あり)を見つけています。今では我々はそうとは知らずに「ノジギク」と言っていますが。

私は小菊を畑の縁に植えていますが、必ず毎年咲きます。菊の花は、小さな花の集まりで大きな一つの花に見える頭花(頭状花序)を作っています。そして、一番進化した花と言われています。たとえば、タンポポもキク科ですが、この頭花は全部「舌状花」です。この他にキク科の頭花では、舌状花と管状花が混じったもの、管状花だけのものがあります。キク科の花は昆虫に対してうまく作ってあって、頭花の真ん中だけに蜜を用意しています。

昆虫が来ると周りの雄花の花粉を身体に付けてくれ、それを他の雌花に運んでもらいます。自分の頭花の雄花がしぼむと、今度は真ん中から雌花の雌ずい(しずい)が伸びてきます。そして、他の頭花の雄ずいの花粉を受けるのですね。なぜ、自花の花粉を受けないかは、前に由良ヶ岳にてシデの雄花と雌花の位置を説明したときに「なるほど!」と言っていた人はおわかりでしょう?

でも、不思議なもので、自分の雄ずいの花粉を雌ずいに付けて、実を結ぶものもいるのです。そのパターンを、自家交配といいます。自家受粉とすると、人間の手で交配させる意味になりますから、それと区別して、自動同花送粉といいます。自分の花のおしべの花粉をその花のめしべの先に付ければいいのですから、受粉が楽なのは良いのですが、近交弱性という危険性は避けられません。けれど、確実に受粉できます。ハコベタネツケバナツユクサオオイヌノフグリなどがそうですね。その中でも、花が開かずに閉じたままで、その閉じた中で自動同花送粉するものに、スミレ(属)、ツリフネソウ、ホトケノザ、センボンヤリなどがあります。でも、完全に閉鎖花ではなく、開いているときもあるので、完全とは言えないかもしれません。

しかし、その中でも、特に面白いのが、ツユクサ

ツユクサは、先ずは昆虫に他花のおしべの花粉を運んでもらう。それがダメなら、自分で受粉する。その場合、さらに面白いのは、めしべより長いおしべが花を閉じるときに、くるくると巻き込んで丁度めしべの先にその花粉をこする付けるように丸まっていくのです。見ていると必ずめしべの先に接するように1回、2回とこすりつけます。(この様子はよくTVの動画でもやります)念には念をいれて(危険を覚悟でも)子孫繁栄を図るのですね。受粉率はなんと100%に近くなるのですね。

遺伝子が弱くなっても確実に実を結ぶか、不確実でも長い目で強い遺伝子を維持していくのか?どちらが良いのでしょうか?植物の不思議です。

さて、弥仙山の頂上までに出会った花はかなり多く、アキチョウジ、アキノタムラソウ、アキギリ、ゴマナ、クロバナヒキオコシ、イヌコウジュ、カワミドリなど。

これは特別に記録。頂上直下にサラシナショウマあり。最初、イヌショウマでは?と近づいていくと、まず花柄がしっかりついている。葉は、2-3回3出複葉。確かにサラシナショウマだ。私は、京北のある谷筋で群落を見たことがあるが、それ以外では今回が初めての大きな群落。新しい木の杭で囲ってあるところを見ると、保護の意思ありと見る。ぜひこの群落は残して欲しいと思いました。これは今回の大きな発見でした。サラシナショウマは昔、ヨメナと同じく大切な食糧のひとつでした。春に若菜を水にさらして食べるところからサラシナ…と名前が付いたそうです。

 後半は、雨の中、参加メンバーにはカッパを着ての下り。お疲れ様。岳人君、美穂さん、今回はスリルある道迷いの楽しみがなくてごめんなさい。