2019年1月11日(金)夜~13日(日)
【メンバー】
CL土井司、高橋秀治、TW 計3名
【行程】
1月11日(金)晴れ
21:00 京都出発 ~ 25:00 諏訪湖SA仮眠
1月12日(土)晴れ・夜に雪 無風
6:00諏訪湖SA出発 ~ 7:30尾白川渓谷駐車場出発 ~ 7:30竹宇駒ヶ岳神社 ~ 9:20笹の平分岐 ~ 11:10刃渡り ~ 11:30刀利天狗 ~ 13:15五合目小屋跡 ~ 13:20屏風小屋跡 ~ 14:50七丈小屋(泊) (休憩含む:7時間20分)
1月13日(日)晴れ
7:20七丈小屋出発 ~ 8:20 八合目御来迎場 ~ 9:50駒ヶ岳神社本宮 ~ 10:00甲斐駒ヶ岳(写真撮影)10:15 ~ 10:20駒ヶ岳神社本宮 ~ 11:20八合目御来迎場 ~ 11:50七丈小屋(荷物撤収等)12:55 ~ 14:10屏風小屋跡 ~ 14:30五合目小屋跡 ~ 16:00刀利天狗 ~ 16:15刃渡り ~ 17:15笹の平分岐 ~ 19:00竹宇駒ヶ岳神社 ~ 19:10尾白川渓谷駐車場 (休憩含む:11時間50分) ~『甲斐駒ヶ岳温泉・尾白の湯』入浴・帰京
【記録と感想】57期 TW
快晴無風。このたびの2日間の山行は、甲斐駒ヶ岳の神様が迎え入れてくださって登れたのだと思っています。
一日目。仮眠場所の諏訪湖SAを出発。雪が薄くついた甲斐駒ヶ岳を見ながら、順調に尾白川渓谷駐車場へ到着。装備を整えていると、かっこいい山ウェアのさわやか☆イケメンが・・・!!七丈小屋管理人で登山家の花谷泰広さんでした。ちょうどこれから花谷さんの甲斐駒登山ツアーが始まるとのこと。しめしめ、危ない所は先に行ってもらい登るコツを見せてもらいましょう、と目論みましたが、登山ツアーの参加料金を知って甘い考えは捨てました。風も弱くて最高のお天気、自力で登らねば。(そうは言いつつ、似たような速度・似たような休憩で、登頂するまでの2日間ほぼ一緒に行動する結果となったのですが・・・)
7:30竹宇駒ヶ岳神社で安全登山をお祈りして出発。吊橋を渡ると展望のないつづら折りの急登がスタート。雪も、踏み跡の凍結もなく、歩きやすかったのですが、予想以上に笹の平分岐までの行程が長く歩くペースが早かったのも重なり、早々に汗をかいてしまいました。4回程小休憩を入れながら、夏道のコースタイムより少し早く、9:20笹の平分岐、11:10刃渡り。刃渡りも、ところどころ踏み固めら雪がある程度で鎖も使え、難なく歩けました。
11:30刀利天狗で昼休憩。この日は一日雪も風もなく、座っていても寒さを感じませんでした。行動食(パンやチーズ等)の凍結もなし。座ってお昼を食べられて元気が出ました。結構な汗をかいてしまったね、と話していると、途中で追い抜かす形となった登山ツアーが到着。すずやかで汗一つないご様子でした。小さい歩幅・ゆっくりした歩行とこまめな休憩で汗をかく事なく、楽々と登ってこられた感じでした。とても勉強になりました(なお、この度の山行でトップを歩いていたのは私です)。
感心しながら、12:10刀利天狗を出発。急角度の梯子を何個か登り進むと、土の下に氷が隠れていたり、氷でつるつるに光っている道が。五合目小屋への下りが始まってすぐで、十二本爪のアイゼンを着用しました。五合目付近からは甲斐駒のピークが見え、気持ちが昂ぶりました。
13:20屏風小屋跡、噂に聞いていた垂直な梯子が登場。雪も凍結もなく大変ラッキーでしたが、アイゼンで雪のない梯子を上るのはなんだか不思議な感覚で手に汗を握りました。この上に小屋がある!!と思い、特に慎重に登りました。
14:50七丈小屋到着、ビールで乾杯!黒戸尾根ステッカーを買い、それぞれの水筒に貼って記念にしました。夜ごはんはスパイシーカレー。土井さんは1.5杯、高橋さんは2杯、私も1.5杯。食後、花谷さんと写真を撮らせていただき20時に就寝しました。
(七丈小屋で花谷さんと)
二日目。5時起床・6時出発…の予定が、5時の時点で山小屋内は真っ暗、出口付近で小屋の人が2人就寝されており出るに出にくい空気。仕方がないので布団の中で待機することになり、結局7:20発となりました(朝食は、ちらしずし弁当とお味噌汁)。要らない荷物を小屋に置いて外に出ると、正面に富士山と鳳凰山のオベリスクがくっきりと見えました。この日も快晴。夜から朝にかけて雪予報でしたが、さらさらの雪が1㎝程度積もっただけでした。二日目は山頂まで登り駐車場まで下山、13時時点で七丈小屋まで戻れていない場合はもう1泊小屋に泊まる予定でした。ここまで1合1時間ペースで進んだので、山頂往復は6時間(13:30着)の計算です。今日も小屋に1泊する気持ちで行きましょう、と土井リーダーから言っていただき、何やらほっとした気持ちで出発しました。薄い新雪を踏みながら、汗をかかないよう丁寧に登りました。
8:20八合目御来迎場。ここから先が特に危険と名高い場所ですがヤマレコで見た通り雪が少なく、まだ夏道が通れる様子。それでも心配しながら行ってみると、夏道への踏み跡がしっかり残され鎖も使える状態でした。風も止んで、最高のお天気。いよいよ甲斐駒ケ岳の神様が私たちを招いてくださっているのだな、と感じました。慎重に岩場を通過し9:10に二本剣の岩の下、9:50駒ヶ岳神社本宮。無事にここまで登れたことが嬉しく、熱心にお参りしてしまいました。
(二本剣)
10:00、念願の甲斐駒ヶ岳登頂。山頂も風が無く寒さを感じませんでした。空は甲斐駒ブルー、日本アルプスの山全部見えるんじゃないかな、と思うほどの大展望でした。初めてのアルプス厳冬期、しかも甲斐駒ヶ岳。連れてきてくださったお二人に感謝し、頂上を味わいながら全員で写真撮影をしました。
10:15頂上発、10:20駒ヶ岳神社本宮。ゆっくり降りたらいいよ心配だったらすぐにロープを出すから、と高橋さんに言っていただき緊張がほぐれました。おかげで一番の危険個所を脅えることもなく通過、11:20には八合目御来迎場に着きました。ここで土井リーダーから「もしかしたら今日中に駐車場まで戻れるかも」とのお話が。ゆっくり慎重にとアドバイスを頂きながらも速足気味で降り、11:50に七丈小屋へ到着。このまま下山が決定しました。
アイゼンを外し小屋で水を貰って、駐車場へと出発。ところが歩き出して5分ほどで私のザックから水漏れが。小屋の人に水を入れてもらった際、水筒の蓋が緩かったようでした。意外なアクシデントに驚きながら小屋まで引き返し、再度アイゼンをつけて12:55再出発。高度感満点の垂直の梯子を震えながら降り、苦手の木道をへっぴり腰で通過しました。私にとっては頂上付近上よりも、この梯子が最も怖かった箇所でした。
14:10、屏風小屋跡からは登り道。道が平たんそうになった所で一旦アイゼンを外しました。しかしその後も、ツルツル道の下りが続き、私だけアイゼンを履かせてもらう事となりました。私の度重なるアイゼンの付け外しによる時間のロスが、下山時刻の遅れにつながったのだと反省しています。
16:15刃渡りを通過。凍結した道もなくなってきたため、アイゼンをしまってヘッドランプを出しました。長い下りを降りて19:00、真っ暗な竹宇駒ヶ岳神社に到着。無事に帰ってこられた御礼参りをし、ほっとしすぎた?せいか、最後に駐車場への道を間違えました。
その後、冷静な土井リーダーのアドバイスにより19:10尾白川渓谷駐車場に到着。慣れないアイゼンや夜間歩行、垂直階段。緊張しながら一生懸命歩きつづけた為か駐車場に戻っても落ち着かない気持ちでいましたが、土井リーダーと高橋さんとが握手をしてくださった時、念願だった甲斐駒ヶ岳に私は登れたんだ、という達成感が沸き上がりました。
土井さん、高橋さん、ご一緒させていただき本当にありがとうございました。
おかげさまで新年初山行、最高のスタートになりました。
(急斜面を四ツ足で登る)
【感想】53期 高橋秀治
昨年に「今年の12月は何処に行きましょうか」と土井さんに尋ねたら、間髪入れずに「黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳」と提案頂き、早速検索。しかし、厳冬期は八合目から先のルートは夏道が使えなければ断念されるチームが有る様子との事。頭の中が不安の文字で一杯となりハーネスを新調し準備しましたが、結果的にはテントを担いで1泊2日では無理となり中止となりました。しかし、山終いとなった鳳凰山(観音岳)から見た甲斐駒ヶ岳が素晴らしく、再度土井リーダーが小屋泊りで予備日を含めて企画して頂きました。
暮れに腰痛を発症して以来、当日までそれも含めて本当に登れるか不安でした。いよい出発という2時間前に腰にピックと痛み。「どうしよう?今更行けないと言うのも迷惑になる。今回は小屋泊りだから小屋まで行った時点で考えよう。」とお風呂に浸かり腰を温めサポーターを巻いての山行きとなりました。途中までは不安な気持ちから吐き気まで出てきましたが、刀利天狗前でピッタと体が楽になり、無事小屋に着くことが出来ました。
翌日は朝から素晴らしい快晴に恵まれ、夏道を進む事もでき、アドレナリン全開で何とか核心部を抜け、山頂に立った瞬間には、素晴らしい景色に涙がこぼれそうになりました。黒戸尾根をテントを担ぎ黙々と登られる方や、すごい速さで歩かれ、黄連谷でアイスクライミングされる方。それぞれの山スタイルを楽しむ事の出来る魅力に溢れた甲斐駒ヶ岳だと感じました。
最後になりましたが、土井リーダー、TWさん本当にありがとうございました。
(駒ヶ岳神社本宮 後ろが山頂)
【感想】56期 土井司
当初登り納めとしてテント泊での一泊二日にて黒戸尾根からの甲斐駒ケ岳山行を計画したが、副会長より成功率70%とのご意見を賜り見送った。しかし日本三大急登と呼ばれるこの尾根を一度はとの思いは消えず、かといって夏にアタックする気は起らずできれば冬にという事で、山行内容を小屋泊、予備日を設けるというかなりレベルダウンにし登り始めに切替て挑んだ。今回のメンバーにお声掛けをすると皆さん快く受けていただき、正月はわくわくした気分で過ごさせていただいた。
尾根の取り付きは九十九折での登りとなっており笹平につくとその後緩やかなのぼりが続く。三大急登と言われているのに大したことはないなと高をくくっていたが後に大変な思いにさせられる。黒戸尾根では刀渡りの写真がよく掲載されるのでここが核心と思っていたが、五合目小屋跡からの先が長い梯子や鎖場の連続でアドレナリン大量放出、テント泊で来なくてよかったと計画変更した自分をほめていた。屏風小屋跡からの梯子エリアを超えほっとしていると目の前に壁のような山が出現、「これを登るの?」といった思いにさせられた。ほぼ垂直の梯子や垂直の鎖場ここが七丈小屋までの間の核心部であった。
七丈小屋に着き室内へ入ると暖かく正に天国であった。テントであれば幕営地に着くと、疲れていてもまず整地しテントを設営しトイレをつくりようやくテントに入って休めるのだが、そこは極寒の世界。小屋は上げ膳据え膳のもてなしで足を延ばしてくつろげ、山岳会として邪道と言われようが冬の小屋泊を覚えるとやめれそうにない。暖かい部屋で毛布に包まれ熟睡し翌日の登頂を迎えた。
翌日も快晴、頂上を見上げると空は濃いブルー、山はホワイト、日陰の部分は薄暗いブルーと青と白の世界。風もなく最高のコンディション、途中で出会った花谷さんは「年に数回あるかどうかの絶好の日で、今日登らなければいつ登る」と言っておられた。八合目御来迎場の先が本当の核心部、トップを高橋さんに代わっていただき導いていただいた。さすが沢登りで鍛えられただけありアイゼンを付けていようが関係なく岩場を登攀されていった。一つミスを犯すと滑落してしまう鎖場が何か所も現れアドレナリンが出っ放し。二本剣の下に着いてようやくほっとする。山頂へ登頂すると素晴らしい景色が360度広がっており、困難な行程の末たどり着いたこともあって感動ひとしきりであった。
今回の山行は到底一人で行けたものではなく、高橋さん、TWさんがご一緒いただけたから楽しめ達成できました。感謝感謝です。次はどこで感動を共有しましょうか?
(次の目標? 北岳)