京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉台高の沢 奥ノ平谷

〈2017年8月12日(土)~13(日)  【参加者】CL小松久剛 長野浩三 W.S. 計3名

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仙人滝をフォローする長野

 

【天候】8月12日(土)雨のち晴れ

    8月13日(日)晴れ

【記録】52期 小松

(注記)今回、多くの遡行記録を参考にさせていただき、ようやく遡行を成し遂げることが出来たことから、この谷については特に詳細に記録を残す。長文になることについてご容赦願いたい。なお、メンバーはクライミングレベルとしてはジムグレード4級程度3名で構成されており、靴は全員ラバーソール。登攀、巻きの難易度はこのメンバーの感覚をもとに記載している。

また、滝の名前は山と渓谷社「関西起点沢登りルート100」吉岡章著を参照している。

8/11 烏丸六角を20時に出発。途中湖南トンネル付近で事故渋滞があったものの、おおむねスムーズに進み、23:20蓮ダム着。少し宴会をして翌日に備え、すぐ寝る。

地面も平らで蛭の心配もなく、涼しく、快適に眠ることが出来た。

8/12 4:30起床、6:00発。快晴。車で千石谷林道に入り、ヌタハラ谷の橋を越えたところの左手に駐車。6:45装備を整えて出発するも、空が真っ黒な雲で覆われ、突然雨が降り出す。川への降り口を探しがてら様子を見るも、青空も見えていることから一時的な雨と判断し、出発。6:50林道の車止めから数m進んだ箇所から明瞭な道が下っていたのでここから川に向かって下り始めた。踏み跡は明瞭。

6:55奥ノ平谷出合着。最初はガレた感じの広い河原だが、徐々に巨岩が現れ始め、7:20初音滝着。事前の下調べ通り、岩と岩の隙間をすり抜けるが、思ったよりも高い位置であり、ザックも引っかかりやすく、しょっぱなから緊張する。登り自体は容易。

ここを過ぎると徐々に両岸が立ち始め、うねうねとした怪しげな暗い廊下が始める。

7:40戻滝前着。右岸に固定ロープが下がるのを確認しつつ、せっかく来たので魚止めの滝を見るため、戻滝の突破を試みる。最初は多くの遡行記録で見られるように泳いで取りつこうかと考えたが、左岸側水面付近にステップが続いており、戻滝右まで容易にトラバースすることが出来た。そこからは戻滝右上の岩まで簡単なクライミングをして戻滝上に上がることが出来る。泳ぎによる体力消耗やロープを出す時間等を考えるとこれが最短かと思われる。

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魚止滝の深いゴルジュを進む

 

深いゴルジュから深淵に落ち込む魚止滝を見てから、戻滝右岸を飛び込んで下り、8:00から巻きに入る。

巻き始めが垂壁で、かつ、ホールドも甘く、滑っているので、ロープをつけ、全体重をかけない程度に固定ロープを使いつつ3m程度上の木まで空身で進み、ザックを引き上げ、そのままロープを引いてバンドの上まで這い上がる。途中ややバランスを要する箇所もあったので、ロープを出しておいて良かった。8:35分頃に歩いて谷に下りることが出来た。このあたりから空には青空が広がり出した。

続いて目の前に3段8mがかかるが、左岸をトラバースできる。登攀自体は容易だが、激流の横の登攀で、緊張する。ゴルジュはうねうねと続き、8:50、すぐに仙人滝の深い淵が現れる。

圧倒的な沢の狭さと暗さにたじろぎつつ、トップがロープをつけて淵を泳ぎ、淵の奥の岩に乗り上げる。天気も良く、日がさしているはずだが、周囲は真っ暗で目を凝らさないとホールドもよく見えないほど。

左岸からトラバースをトライするも、1段目の滝の右側の甘いステップに乗り込むのに苦労する。

滝横はずっと左岸側をトラバースするが、結構急な傾斜をノーハンドで靴のグリップ頼りにトラバースする箇所もあり、かなり緊張した。

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仙人滝をリードする小松

 

後続のトラバースのために仙人滝の手前のテラスにハーケンを1本設置。

仙人滝の水量は多く、水流をまたぐのに躊躇するが、ぎりぎり手が届くところにスローパーがあり、これに両手を置いて、水流に負けないギリギリの足場に足を置き、気合一発で右岸のバンドに乗り上がることができた。右岸にわたってしまえばガバホールドも多く、容易に安全地帯に入ることが出来る。

仙人滝を越えると一瞬沢が明るくなるが、6m滝を左側から簡単に超えると、また一気に沢が狭まり、洞窟のようなゴルジュに入り、10:10、ほら貝の滝前に至る。

この直登はできないので、先ほどの6m滝すぐ上の岩の切れ目から右岸のバンドに乗ると、10:40、ほら貝の滝の上の河原に懸垂なしで降りることが出来た。

少し進むと、10:50、息つく間もなく、巨瀑がはるかな高みから降り注ぐ。ドーム状の釜に一気に直瀑が降り注ぐ鎌滝だ。

滝の巨大さもさることながら、滝周囲のドーム状の空間があまりに圧倒的で、しばらく見とれてしまう。

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鎌滝の左岸を巻く

 

巻きは左岸から。最初の数mが微妙なクライミングとなるが、後は容易。11:00に巻き始め、11:30に巻き終わる。

滝上はこの沢にしては珍しく普通の小滝と河原の連続となり、しばらく癒される。

11:50、直瀑20m。左岸から巻き始めるも、途中出てきたルンゼを避けようと、上へ、上へ、と上がり過ぎ、旧道らしきところまで達してしまう。そこからトラバースを始めるも、ルンゼを越えることが出来ず、もう一段上に上がろうとして、尾根に達してしまい、少し上がりすぎていることに気づき、懸垂で下降、なんとか本来の巻き道らしきバンドに戻り、ほぼ切れているトラロープが張られている箇所をバイルを突き刺しながら通過し、13:30、佐助滝前にたどり着いた。

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佐助滝

 

佐助滝も写真などで見るよりも圧倒的に大きく、逆くの字状の滝とすだれ状の滝が両方かかっており、荘厳なたたずまいを見せる。ここは左から入るワサビ谷から巻き始めるが、ワサビ谷から入る滝はツルツルのスラブなので、佐助滝の下部を左に一段上がったところから、ワサビ谷の滝の右側の溝状をクライミングで上がることになる。

13:50から登り始め、10分程度でビレイ点となる木にたどり着いたが、溝の中が非常に滑りやすく、足場もホールドも不明瞭で、いかにも沢っぽいクライミングとなった。途中、ハーケンを1本打ったが、ラストがどうしても抜くことが出来ず、打ち直して残置することとした。溝状のクライミングさえこなせば、あとはややズルズルの登りではあるが、容易に滝の落ち口に向かって歩いていくことが出来る。

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佐助滝巻き。溝状を登る長野

 

14:40佐助滝落ち口右岸に到着。時間も押してしまったので、予定通りここで幕営とした。

場所的には若干狭いのと、落ち口付近ということで水をくむのにやや注意を要したが、この沢の長さを考えると、この地点に幕営適地があるのは非常にありがたい。

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落ち口すぐ横の幕営

 

タープを張り、いつも通りたき火と串焼きを楽しみ、沢の夜を楽しむことが出来た。

 

8/13 4:30起床、6:00発。朝一から3m、5mの巻き。3m滝上から左岸の岩に乗り、そこから垂壁を数mモンキークライムすると、歩いて上流に抜けることが出来た。上流に少し進むと、6:15、美瀑15mとされる滝が現れる。どう見ても右岸からしか巻きようがないが、いまいちよいルートが見当たらないまま、滝から10mほど下流の斜面をロープを引いて上がったが、ルートを誤ったようで、とんでもなく悪いズルズルの斜面を腐った根やあんまり効いていないバイルを頼りによじ登る、という精神力を消耗する巻きとなってしまった。なんとかバンドに至り、7:20、上の4m滝も合わせて巻き、歩いて沢に戻る。

続いて、両岸立ち始め、7:30、右から支沢の小滝が、左から8m滝が落ちる箇所につくが、少し戻って右岸から容易に巻くことが出来た。巻き終わるとすぐ、25m滝が右から降り注ぐが、これは右岸側のガレた斜面を10分程で容易に歩いて越えることが出来る。

25m滝を越えるとしばらく巨岩のゴーロとなり、左岸側からすり抜けると、8:00、右岸から二つの滝が並んで落ちる大石滝にたどり着く。二つ並んで落ちる滝が朝日に輝き、虹もかかって非常に美しい。数多くの困難を乗り越えた者だけが見ることが出来る絶景だ。時間的にも順調なので、しばらく大休止する。

8:20出発。ここは奥のルンゼに入り、そこから左側の土の斜面をよじ登って水際に進路を取ると大石滝上の連瀑帯の際にたどり着くので、リッジをよじ登る。

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大石滝

 

リッジはややバランスを要する箇所もあり、落ちたらただでは済まないのでロープを引いた方が良いが、これまでの悪い登攀や巻きを考えると、容易な方だ。

9:10、歩いて上流に至る。

ここからはしばらく小滝を乗り越す程度の穏やかな渓相となる。幕営地となりうる箇所も何か所か見当たった。

9:25、25m滝前に到着。まだまだ水量多く、美しい。この巻きも大きくなりそうだったので大休止し、左岸を巻き始める。左岸側はすぐ5mほどの岩壁が現れるので、一段乗り越えられそうな箇所はないか探してみたが、いまいちよい所が見当たらないまま、ルンゼ付近までバックして岸壁の切れ目を上がる。

そのまま上流に向けて斜面を歩き、支沢を一つまたいで歩いて、10:10、上流に降り立つことが出来た。25m滝の上流は小川の横に平らな草地が広がる幕営適地で、どこでも寝られそうな場所だ。これまでの厳しい渓相とは打って変わった景色に心を癒される。

何本か支沢が現れるが、基本的に西に進路を取れば問題はなく、最後は全く藪漕ぎもなく、11:10、台高の縦走路にたどり着いた。

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上流部の穏やかな流れ

 

そこからは千石山まで約1時間ほどの急登をこなし、12:25、笹ヶ峰通過、笹ヶ峰から東南東の急な尾根を下ると13:30、千石谷と赤嵓滝谷の出合に着く。ここまでの下りは基本的にテープがあるが、一部不明瞭な個所もあるので、GPSを多用した。また、1か所ボロボロの固定ロープを伝う箇所があったが、安全のため懸垂下降を行った。

出合いから千石谷林道終点までは赤テープが設置されているので、容易。14:00林道終点に到着。もう安全地帯か、と思いきや、途中林道が崩壊しているどころか、完全に滝の中になってしまっている箇所が3か所程度あり、全く気の抜けない下山となった。15:10、駐車場所着。 無事遡行を完了した。

 

【感想】46期 長野浩三

今までで一番凄い沢だった。小松さんらに誘われなければ行くことはなかったでしょう。仙人滝の登攀,いくつかのやばい巻きのリードなど小松さんの突破力がなければ遡行は完成しなかったでしょう。たき火も盛大にできて本当に充実した沢でした。

W.S.さんには詳細な調査をしていただいた。小松さん,W.S.さん,本当にありがとうございました。次の沢があれば,ついて行きます。

 

【感想】52期 小松久

冒頭に挙げた吉岡氏の本に「悪絶をもって聞こえる」と表記される上級の沢だけあって、心・技・体のいずれにおいても我々のパーティーの実力のギリギリまで要求された遡行でした。

逆に言えば、パーティーの3人でそれぞれの力を補い合ったからこそ完遂できた遡行だったと強く感じています。

終始トップでパーティーを引っ張り、巻きでも適切な判断をして下さった長野さん、事前準備で数限りないメールのやり取りをして、遡行情報を収集し、何よりもこの沢に対する熱意で、心が折れがちなリーダーの背中を押してくださったW.S.さんに感謝したいと思います。

2011年に上坂さんに白川又川本流に連れて行っていただいた時に感じたのと同じ充実感を感じるほどの沢にいつか行きたいと毎年少しずつ高みを目指し続けていますが、今回の沢で少しは手ごたえを感じることが出来ました。引き続き、少しずつ、高みを目指していきたいと思います。

 

【感想】59期 W.S.

奥ノ平谷は滝を巻けばすぐ奥にはまた滝が出てくるような贅沢な沢だったが、先月の堂倉谷に比べるとかなり難しかった。美しく、印象的なところばかりだったが、1日目のハイライトは仙人滝ゴルジュだらう。

仙人滝は左岸から容易に巻けるらしいのだが、gorge strong styleの小松さんに巻きという選択肢はなかった。核心と言える箇所が複数ある長いルートで水量も多く、あの激流の突破は素晴らしい。5日前には大型台風、前日にも大雨が降っていたというコンディションの中、真のゴルジャーと言えるだろう。しかし、そうまでして貫いたGSSも、翌日には冷たい水につかりたくないといって簡単に捨て去ってしまっていた。

テン場で焚き火をしていると、少し酔った長野さんが、切りたくなってきた、と言って倒木から直径20cmはこえるであろう巨大な薪を切り出してきた。もう木こりやんと思ったがそんな長野さんは素敵だった。

2日目は寝起き早々出てくる15mの巻きだった。

比良の奥深谷の高巻きを木の根ホールドを無くして、ズルズルにしたようなルートでフォローで登るのも一苦労だった。帰ってから調べるとどうも巻き道は違うところにあるらしく、ただの崖を小松さんのクライミング力にまかせてゴリ押しで登ったというに近かった。

長く厳しいゴルジュを抜けると一転して、木漏れ日の射す林の中を小川が流れるような平穏な場所にかわって、地獄から天国に来たかのような気持ちになる。暴力を振るった後に優しくしてくるDV彼氏と別れられないという人の気持ちが少しわかった気がした。

今回の沢は、長野さんの的確なroute findingと小松さんの突破力に必死でついて行く格好となり申し訳ない限りですが、濃密な時間を過ごさせていただくことが出来、本当にありがとうございました。

これぐらいの沢をゆとりを持って遡行出来るために、もう少しダウングレードして着実に力をつけて行きたいと思った。

No.3677D 夏山合宿D 「徳本峠と霞沢岳」

 2017810日(木)~13日(日)

 

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写真:徳本峠への道

 

【メンバー】L秋房伸一、横川陽子、山形真知子、会員3名、会員外1名、計4名

 

【行程】

10日(木):阪急西院15:3022:30島々林道広場(車デポ)

11日(金)曇 デポ地4:506:30二股6:558:58岩魚留小屋9:1311:08力水11:1512:11徳本峠(幕)

12日(土)曇 徳本峠5:456:40ジャンクションピーク6:467:18池塘9:10尾根2560m付近(ATさん合流)~9:15K1ピーク~9:54霞沢岳10:0510:42K1ピーク~11:57池塘12:35ジャンクションピーク~13:18徳本峠14:2015:38明神(三叉路)~16:20徳沢16:3517:26横尾(幕)

13日(日)/7:389:26明神(徳本峠三叉路)~10:18河童橋上高地BT10:4011:36安曇支所前~11:52デポ地=竜島温泉=京都

 

 

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写真:徳本峠

 

【記録】52期 秋房伸一

 夏合宿(横尾集中)参加のため、クラシックルートである徳本峠に霞沢岳ピストンを加えた例会を企画した。

 徳本峠への道は、20097月にも例会で訪れているが、その時よりも断然整備されていた。特に危険を感じるところは無い。

 冷たくて美味しい「力水」で力を頂き、峠へは昼頃に着いた。

 午後は昼食と夕食を兼ねてゆったりと過ごし、早めに就寝した。テン場は混雑しておらず、快適であった。雲に阻まれて穂高の眺望が得られなかったのは残念。

 翌日は、霞沢岳ピストン。道はしっかりしているが、アップダウンの連続。途中、朝に横尾を出発した会員に追いつかれた。横尾からノンストップとのこと。その後は5人パーティーとして行動した。

 雨の心配はなかったが、穂高連峰の眺望は得られなかった。山の日3連休ではあったが、出会ったパーティーは数組で、静かな山行が楽しめた。

 徳本峠小屋の昼食時間に間に合い、とても美味なうどんを食べたが、時間がかかってしまった。

 横尾集中テン場到着が17時半になってしまい、何の手伝いもできないどころか心配をかけてしまい、真に申し訳ない次第であった。食当をはじめ諸準備に携われた皆さん、ありがとうございました。

 メンバーの足も揃っていて特に何かトラブルがあったわけでもないので、朝の出発時刻を早くするべきだった。

 翌日は、上高地での待ち時間がほとんどなくバスに乗れて、温泉入浴後に昼食をとることができた。

 

【感想】59期 山形真知子

 私にとって、山は静かに心を癒されに行く所です。(本人は少々賑やかなのですが)

 徳本峠は、一度は越えてみたい峠でした。 予想通り、静かな登りやすい峠でした。

 霞沢岳は、忘れていた夏山の楽しさを、思い出させてくれました。お花畑、ハイ松、稜線のアップダウンなどです。

 でも、もっと忘れていたものがあったのです。テント生活の楽しさ。仲間との交流の楽しさ。

 合流を目的に霞沢岳まで登って来て頂いた会員さん。自分達の荷物だけでも重たいのに、すき焼きの材料をボッカして頂いた小西パーティーの皆様。

 合宿の楽しさを、十分に味わえた横尾の夜でした。

 

 

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写真:徳本峠テン場

 

 

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写真:霞沢岳への縦走路

 

 

 

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写真:霞沢岳ピーク

No.3677A 前穂高岳屏風岩東壁 雲稜ルート

2017年8月9日(水)夜 ~11(金)※12~13日は予備日

【メンバー】L A.T 会員2名

 

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【行程】

08月09日(水)夜

京都→平湯(仮眠)

08月10日(木)曇りのち小雨

平湯→あかんだな駐車場→上高地→10:20横尾山荘(テント設営・登攀準備など)→11:30横尾谷渡渉→12:151ルンゼ押出し→14:00T4テラス→15:30扇岩テラス(幕)

08月11日(金)曇りときどき晴れ

05:00扇岩テラス→08:40雲稜ルート終了点→09:40屏風の頭→12:30パノラマコースを経て涸沢小屋→14:40横尾(幕)

 

【記録と感想】51期 A.T

屏風岩というと、15年?くらい前はじめて訪れた北アルプスで、横尾谷から見上げたときがはじめて見た時だった。

その時にたまたま奥穂高山荘のテント場で知り合ったシミズさんという方と一緒に下山しているところで、シミズさんが屏風岩の方を指さし「昔あそこを登ったことがあるのだ」と言う。

当時、自分は岩登りもしていない時で、本当にあんなところを人間が登れるのかと、信じがたい気持ちで屏風岩を見上げたのだった。

また、その大岩壁に屏風岩という名前が付いていることも、その時に初めて教えてもらったのであった。

そういう第一印象がだったから、自分のなかで屏風岩というのは必要以上に大きな存在としてずっと心にあって

その気になればもっと早くに登ることも出来ただろうが、何故か「あれを登るのは、まだ先の話だ」という思い込みがあり、ずっと登らずいたのであった。

ところが今回、合宿が横尾になるというので、屏風岩を目の前に知らぬふりをする訳にもいかなくなった。

登るとなったらルートは前から決まっていて、定番の人気ルート「東稜雲稜ルート」を登ることにする。

 

つぎに相棒となるが、辻さんや比留間さんはご都合悪いとのことで断られたが、粟田さんに話をもちかけたところ、「ぜひ行こう!」と快く引き受けて下さった。

粟田さんというと、勇敢で力持ち。技術も高く、一緒に屏風岩を登るにはこれ以上頼もしいパートナーはいない。

 

雲稜ルートだが、大部分のパーティーは一日目に横尾泊、二日目に雲稜ルートを登り、終了点まで行ったらそのまま懸垂下降で降りてくるのが一般的である。

それなら横尾から日帰り装備で登れるので、荷物も軽く出来て効率が良い。

上まで抜けて屏風の頭まで行くとなると、もし何かトラブルで時間がかかった時に、途中で日没になる可能性が高い。

そのため、その場合は何らかの計画的ビバーク装備を背負って登る必要があるので、登攀はあまり楽しめなくなってしまう。

 

自分としては、登るからには絶対に上まで抜けて屏風の頭まで行きたい。

というのは、終了点まで登って懸垂下降で降りるのでは、なんだかフリークライミングゲレンデの様で釈然としないからである。

とはいえ、楽しく登るためにも、荷物は出来るだけ軽くしたい。

両立するか考えた結果、先に屏風の頭に登って荷物をデポすれば良い、という単純な結論になった。

この単純なプランがどうして多くの人に採用されていないのかというと、そんな面倒なことをわざわざする人があまりいないからである。

ともかく自分は、涸沢まではこれまで何度も足を運んだが、屏風のコルを経由するルートは一度も歩いたことが無かったのでそのあたりの興味もあり、山行の10日ほど前に1泊2日で屏風のコルまで歩いて荷物をデポしておくことになった。

そんな山行なので、当然一人で行くつもりをしていたが、辻博史さんがご一緒いただけることになった。

これは本当にありがたく、おかげさまで楽しい山旅となった。

このとき、屏風の頭まで歩いたり、今度は下から1ルンゼ押出しのアプローチを詰めて屏風岩基部まで歩いたりして、周辺の概念などもよく理解することが出来た。

屏風岩の周囲を上から下から歩いてみて、その大きさ、迫力には圧倒されるばかりである。

「いったいこんな大きな岩壁を登ろうなどと、はじめて思いついた人はどんな人物なのだろうか」と思って調べてみると、はじめて屏風岩を登ったのは石岡繁雄という人物で、このときの様子を綴った「屏風岩登攀記」という本がある。廃刊なので古本をアマゾンで注文して読んでみたところ、これが本当にすばらしい本で、たいへん感銘をうけた。

後日、考えてみればせっかく荷物を上げたので、そのまま北尾根まで継続して前穂高の山頂に抜けることも出来るな、と思いつき、そのまま北尾根継続で北穂高に登る計画をたてた。

ところが、日が近づくにつれて急に週間天気予報が悪化。

本来11日横尾泊・12日登攀考えていたものを、日程を一日早めて、11日のうちに上高地から歩いて、その足でそのまま登攀するという予定に変更することになった。

そのために、せっかく荷物をデポして来たにも関わらず、結局は野営装備を担いで登らなくてはならないことになってしまった。

ツエルトは屏風のコルにデポしてしまったので、慌ててツエルトをかして下さる方を探したところ、丸山先生が快くかして下さった。

 

8月9日(水)夜

京都を夜中に出発。

だいぶ遅い時間なので、お互いに居眠りしながらと思ったが、いざ目をつむってもあまり眠ることが出来ず。

平湯で仮眠。

8月10日(木)晴れ

平湯からあかんだな駐車場へ。

あかんだなからいつものようにバスに乗って上高地へ移動。

すごい寝不足なので、バスの中もうつらうつら居眠り。

上高地に着くと、早歩きで横尾まで急ぐ。

ともかく天気が良いうちに登ってしまいたいので、徳沢でご飯を食べた以外は、休まず早歩きで動いた。

徳沢に着くと、手早くテントを張って、あらかじめ分けておいた登攀具とツエルト・シュラフなどをザックに入れて出発。

横尾からのアプローチは調べてあるので、迷うことなく取り付きへ向かう。

冷たすぎて悶絶する渡渉をして、1ルンゼ押出しを詰めてT4尾根基部まで到着。

一休みしたあと、すぐに登攀準備。

T4尾根の出だしは、下から見ると支点がよくわからなかったが、登ってみるとハーケンやボルトなどがあってルートがわかりやすい。

登攀は特別難しいことはなく、天気が崩れる前にと、とにかく急いで登る。

2ピッチほど登ると、あとは歩いて登れるようなところが続き、T4テラスに到着。

T4テラスには、ストックとヒモが残置してある。ツエルトを張るために、公共物として誰かが置いていったものだろうか。

上を見ると、3ピッチ目の人口登攀のピッチあたりに先行して登っているクライマーの姿が小さく見える。

上高地からここまでほとんど休まず来ているので、さすがにくたびれ、少し長めに休む。

このテラスから上がいよいよ雲稜ルートのスタート。

水などを飲んで、登攀を再開する。

粟田さんがどうぞと言うので、1ピッチ目をリードさせてもらう。

 

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顕著な凹角をステミングで高度を上げる。

最後の乗越しは、落ちるかもしれないと怖かったので、迷う前にさっさとA0で乗り越す。

今回このルートは、3ピッチ目でどのみち人口登攀が入るので、フリーで登ろうというこだわりは全くなくて、その点プレッシャーがなく気楽だ。

凹角を登り切ったところの終了点らしきところでピッチを切る。

2ピッチ目、1ピッチ目を切ったテラスは偽だった様で、少し上がったところにもっとちゃんとした終了点があった。

ちょっと前でピッチを切ったせいで2ピッチ目を登る粟田さんがすぐに見えなくなってあまり良いピッチの切り方ではなかったと反省。

粟田さんの姿は見えないが、澱むことなくスルスルとロープが伸びてゆく。

いつもながら恐怖とか迷いがないのがすごい。

自分だったら簡単なところであっても恐る恐る登るし、本当に大丈夫かと迷いながら登るのですごく時間がかかるところだが、粟田さんは一切迷わない。

自分がミスしない限り、今回の登攀は間違いなく成功しそうである。

あっという間にビレイ解除のコール。

2ピッチ目をフォローで登るが、はじめの方で上の遠いところにホールドがあり、そこまで上がるには飛ばないといけない。

背後はすごい高度感。ここは迷わずA0で通過する。そのまま右上してピナクルから左上し、扇岩テラスへ。

粟田さんに出だしのところはどうやって通過したのか尋ねると、飛んでホールドを取りに行ったという。

飛んで取ること自体は難しくないが、支点も良くない、背後は落ちれば遥か下まで、のあの状況で躊躇することなく飛んでしまえるのは本当にすごい度胸です。

扇岩に着いてもまだ昼過ぎくらい。スピード重視のクライミングで想像以上に早い時間に着いてしまった。

早く登らなければ!という思いで急いで来たが、こんなことならもっと大事に味わって登攀すればよかったかもしれない。

扇岩テラスは2畳も無い、1.5畳分くらいの広さで狭い。

時間もまだ早いので上まで登ってもちょうど良かったくらいだが、万が一登攀の途中で日没になると困るため、やはりここは大事を取って扇岩泊とする。

ここで丸山さんにお借りしたツエルトを張るが、普通に貼ると狭くて居心地が悪いので、ツエルトをひろげてタープの様に上に張り、下にマットをしいて寝ることにする。

ひととおり寝る準備が出来たがまだ昼過ぎ。

扇岩で一杯やりましょう!と言って持ってきたウイスキーを取り出そうとすると、ザックを探しても無い。

どうやら横尾のテントに置いてきてしまったらしい。

扇岩で腰かけて、下の景色を眺めながらウイスキーを、と頭に思い描いていたのでこれには大変ガッカリし、ひどく寂しい気持ちになった。(粟田さんからもだいぶ非難された)

しばらく休んでいると上からさきほど登っていたパーティーが懸垂下降で降りてきた。

ここで落石されるとけっこう危ない。今回は無事だったが、扇岩テラスで寝るのはいつ落石があるとも限らないので、けっこう危険かもしれない。

元々寝不足のところに強行軍だったので、少し座っているとウトウトしてきて、そのうち居眠りをした。

しばらくして目が覚めると、あたりはガスが上がってきて、そのあと暗くなると小雨になった。

横になっているとトイレに行きたくなったが、場所が場所なので用を足すのが非常に困難である。

ズボンを下ろすのにはもちろんハーネスを外さないといけないので、ビレイを取ることが出来ない。

しかし用は足さなければいけない。

考えた末、持ってきていたチェストハーネスを装着し、スリングでセルフビレイを取りながら用を足すが、実に生きた心地がしない。

その後横になってウトウト眠ったり目が覚めたり。

やがて夜になるとガスも晴れて、月が綺麗に輝いたり雲に隠れたりしているのを横になりながらぼんやり眺める。

時々遠くの方で雷がピカッと光ったり、1ルンゼの方から落石が落ちるガラガラという大きな音が聞こえたり、そうこうしているうちにまたウトウトして眠ったりして時間が過ぎたのであった。

こんなところでまともに眠れるのかと思っていたが、案外よく眠ることが出来た。

 

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8月11日(金)晴れのち曇り

寝たり起きたりなので、なんだか昨日の続きの様な日。

日の出前からツエルトを撤収して登攀の準備。

3ピッチ目を登り始めてなかばくらいで壁が朝日で照らされて明るくなった。

3ピッチ目をフリーで登る強者もいるらしいが、壁の様子を見て即刻無理と判断しアブミで登る。

アブミ用の支点は、下から見る範囲では新しいものに打ち変えられている様だったので、これは楽勝かと思っていたが、上の方はけっきょく古い支点になっていて、最後はドキドキしながら登る。

4ピッチ目は粟田さんにリードを交代。

脆い壁を直上し、ハングにあたったところで右にトラバース。

ここもリードは結構怖いセクションだが、粟田さんはどんどん進んでいった。

トラバースした先のルンゼ状でピッチを切る。

5ピッチ目・6ピッチ目はジメジメと濡れたスラブ。

これをまともにフリークライミングにこだわって登れば怖い思いをするところだが、支点は豊富でA0まじえて登るので、たいして時間はかからない。

6ピッチが終わるとその先7ピッチ目はところどころ草付きの階段状に思えたが、いざ登ると支点もあまり取れず草と泥は滑るし、だいたい6ピッチで終わっている人が多いためか岩も脆く、ここまで来てけっこう怖い思いをさせられる。

7ピッチ目が終わり、最後は左側に見える踏み後の様なところを登るが、ここもドロドロ、岩モロモロで危険。

念の為確保して登る。

そこを登りきったところでようやく、これは明らかに終わったという雰囲気になり、ロープを解く。

終了点には広めのテント場があり、解っていれば昨日のうちにここまで登ってきたのにと思ったが、扇岩で一晩を過ごすこともなかなか貴重な経験なので良しとしたい。

途中一泊して、ついに登ってきた、と粟田さんとがっちりと握手を交わした。

その先は1時間の藪漕ぎ。

藪漕ぎといっても、足元は踏み後になっているのでそれほど厳しいものではないし、迷うような要素もない。

藪についた水滴が服について、服がびしょぬれになってしまうが構わず歩く。

1時間くらい歩いて、ついに屏風の頭に出た。

空は雲ってはいるがところどころ青空も見えて爽快。

また粟田さんと固い握手を交わす。

ここまで登ってこられて、感激した。

一緒に登って下さった粟田さん、荷物をデポするための登山に付き合ってくださった辻さんには、本当に感謝である。

穂高の山々はぜんぶ上の方だけ雲で隠れていて、眼下の涸沢小屋とテント村の部分だけが晴れて日が差している。

 

屏風の耳でまた一休みして、このあとはデポした荷物を回収して5・6のコルまで行く計画だったが、粟田さんが「疲れたからのでやめよう」と言う。

そう言われると自分としても疲れていない訳はない。

明日の天気も悪い予報だし、そこだけ日が差し込んでいる鮮やかな色とりどりのテント村を見ていると、自分もすっかりこれ以上登る気が無くなり、下山する算段となった。

 

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屏風のコルにデポしてあった荷物は無事に手つかずで置いてあったが、その全てがお荷物となってしまった。(水などは持ち切れず、買った水をわざわざ捨てることになってしまい大変遺憾であった。)

涸沢までの水平道の雪渓は、以前に辻さんと来た時はアイゼンが必要だったが、わずか10日間でほとんど溶けていて、アイゼンや確保もなしで歩いて渡ることができた。

その後涸沢小屋でコーヒーを入れ、カレーを食べて大休止のあとにまた下山。

横尾谷を歩いていて、屏風岩東壁がよく見えるところに出たので、腰かけて東壁を見上げ、登ってきたルートを眺めていた。

すると通りかかった年配の登山者の方が声をかけて下さり「屏風岩に登ったんですか。私も若いころに登った。怖かった。」という話をしてくださった。

岩に登ることに限らず、山登りをすると、あとからそれを見上げたときに、「ああ、おれはあの時、あそこに登ったな。」ということが、思い出と一緒に蘇ってくる。

山とかルートに登ると、そういう思い出の記念碑みたいなものが、またひとつ増えた様な気持ちになる。

これからも、何度も通り過ぎるだろう横尾谷、またこの壁を見上げて「あの時」という風に思い返せることは、とても幸せなことだと思う。

 

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【感想】54期 粟田 直和

5〜6年前に涸沢行った時にふと見上げた屏風岩、荒々しいその姿だけはずっと頭に残ってました。クライミングを始めて丸4年半、ついに屏風のお誘いがかかりました。なんでも雲稜ルートを登り屏風の頭まで抜けるとの事、僕も以前から同じ事を考えてたんで二つ返事でOK。

情報見てみると、渡渉あり「なんとかなるやろ」ビバークあり「始めてやわ」A1あり「問題なし」てな感じで日が迫る。事前準備でリーダーと辻さんが屏風のコルに非常食をデポしに行くとの事「ありがたや」と感謝する。前日くらいにリーダーA.Tさんから「とても熱い文章がありますよ」と戦中戦後に屏風岩を登攀された石岡さんという方の記録を見せていただいた。草鞋、投げ縄と今では考えられない装備、方法で登攀されており歴史の深さに感慨深くなりつつ当日を迎える。

野崎さんからヌンチャクを預かってるんでこれをてっぺんに掛けますとリーダーから聞きさらに胸が熱くなる。

午前中に横尾着、リーダーから本日中に扇岩テラス着が目標との御達しがあったのでテントをチャッチャと張り渡渉に向かうがこれが核心でした。「流れ早いし水量多いし下ツルツル!」入ると冷たい通り越して痛い!「コケたらスマホ壊れるっ」こればかり考えながら必死で渡りきりホッと一息。ガレ沢を詰めてT4取り付き着。ここから屏風岩を見上げると「デカイ‼︎」の一言。さっさと準備してクライムオン!T4尾根をチャッチャと登り雲稜ルート取り付き着。諸先輩方登らせていただきますと挨拶し扇岩を目指す。15:30に扇岩着。大人2人が横になって丁度くらいの広さのテラスで初ビバーク。なんでもツェルトは丸山さんからの借用品との事「丸山さん有難うございます」と思いながら準備する。「夜明けまで12時間以上か、退屈やなー」と思いましたがリーダーが酒を持って行くと聞いていたのでそれを楽しみにしていたが「すみません忘れました」とな。「なんやと 」しょうがなくオッサン2人横になり寝る事にする。小雨とルンゼの崩落音で何度か目を覚ましながら翌朝4:30頃起床、準備して登攀の続き。その後特に問題なく雲稜ルートを遂に登り切った!嬉しい‼︎リーダーと握手を交わし小休止、屏風の頭を目指すがここから1時間の藪漕ぎとの事。「ひーっ」、ヘタヘタになった頃に頭に到着!「屏風岩を完全に登りきった!」またも握手を交わし感動に浸る。涸沢を見下ろす景色が美しい。予定ではここから5.6のコル〜前穂高まで行く筈でしたが藪漕ぎで疲れ果ててもう歩けん!「絶対ムリです」と宣言し涸沢〜横尾行きに変更して頂く。屏風のコルにデポ品の回収に向かうがこの時点で水も食料も有り余っていた。「辻さん、すみません」と言いながらドボドボ水を放す。その後涸沢で「辻さん、有難う」と言いながらデポ品のカレーとコーヒーを頂く。途中岩屋跡から見上げた屏風岩は何だかわかりませんが荒々しさが抜けたように見えました。帰りの車中で「野崎さんのヌンチャクどーしたんですか?」と聞いたら「掛け忘れました」と聞きやっぱりなと思いました。

A.Tリーダーとの珍道中ばりの登攀、とても楽しゅうございました、有難うございました。またよろしくお願いします。

 

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No.3679  武奈ヶ岳ボッカトレーニング ※ボッカポイント

2017年8月6日(日)

【メンバー】小西幸一郎CL、藤松奈美、YT、梅村重和(車)、江村一範、山形真知子、YN(車)、YK(体験)

8

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【行 程】

86 晴れ

国際会館駅()7:10=葛川市民センター駐車場8:10

出発8:25武奈ヶ岳山頂12:00~坊村1530=(朽木フロ後)帰京

 

【記録】56期 小西幸一郎

F 15.1kgYT 21.2kg、梅村重和20.2kg、江村一範22.0kg、山形真知子15.1kgYN23.0kg、小西幸一郎20.4kgYK(体験のため計量なし)

 

 

 

【感想】  55 YT
 
昨年仕事中に怪我をし、ほとんど山に行けていなく1年ぶりの例会山行で他の参加者について行けるか不安で、2週間前比叡山~鞍馬迄一人で20キロボッカトレ等をし参加させて頂きました。登山口から途中の御殿山まではなんとか20キロボッカで登れましたが、太ももがつりそうになり皆さんにボッカ用のペットボトルを持って頂き、なんとか武奈ヶ岳山頂迄たどり着くことができました。山頂で景色をながめながら 江村さんから頂いたかき氷は格別においしかったです。
  
今回参加させて頂き、秋にむけて課題も見つかり、好きなテント泊縦走を楽しむ(復帰する)為にも体力強化や減量を頑張りたいと思いました。
   
会の方と一緒に久しぶりに登れ、凄く充実した楽しい1日でした。小西リーダー、皆様ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

 

【感想】 59期 梅村重和

~歩荷にはカキ氷が良く似合うの巻~

歩荷ポイントの獲得と、夏山にそなえてザックの重量にカラダを慣らすのが目的で参加した。

たまに歩荷トレーニングをやったところで急に体力が付くわけでもないが、アルプスに行く前にやっておくと重量に対する感覚をカラダが覚え、何もやらずにいきなり大きなザックを担いでアルプスに行くよりも少しはラク。水の入ったペットボトルをザックに詰め20Kgとしたが、あれっ、20Kgってこんなに重かったっけ?こりゃ、途中でヘバリそう 大きな不安を抱えての出撃だった。

坊村の駐車場にて、小西隊長より厳正な計量。ズルは一切許さないぞ、と決意のこもった隊長の真剣な眼差しがデジタル秤の目盛に注がれるのであった。私も恐る恐るザックを差し出す。かろうじて20Kgをクリア。ホッとするもやはり重い!

山形隊員を先頭に御殿山コースを行く。つづら折れの急登にも拘わらず、山形隊員はなかなかのいいペース。普段の自分のペースより少し早い。直ぐに汗だくとなり、このままじゃ山頂まで持たない、もはやプライドなんてどうでもいいと隊長に懇願して少しペースを落として貰う。それにしても山形隊員の体力には感動した!途中、西南稜で当会の会員と偶然の出会いが有ったりして、ともかく無事に武奈ヶ岳山頂に辿り着いた。

山頂では、なんと、江村隊員の心づくしのカキ氷大会。このクッソ暑い所で魔法のごとく、おもむろにテルモスから氷を取り出し、組み立て式のカキ氷器で日本の正しいカキ氷が隊員に振舞われたのであった。フラッペなどと言うまがい物ではない、イチゴかみぞれか選択に悩ましい、かの日本の正しいカキ氷である。

美味しずぎる!このカキ氷のためなら大和魂のひとつやふたつ、悪魔に売り渡しても構わない。暫しカキ氷の余韻を噛み締めつつ、山頂を後にする歩荷隊であった。

小西隊長はもとより、参加者皆さんのおかげで何とかクリア。どうもありがとうございました。また、やりましょう。次回はスウィーツ歩荷もいいかも。おしまい。

 

【感想】 59期 江村一範

 昨年、八雲ヶ原で作ったかき氷が美味しかったので、今年もかき氷を比良で食べたいと思い参加しました。この日の武奈ヶ岳は快晴ながらも心地よい風が吹いて歩きやすいものでした。それでも22キロのザックは肩に食い込み、全身から蛇口を捻ったように汗がこぼれ落ちていきました。背負っているのは14リットルの水の他に8人分の氷(テルモス3本に詰めたもの)とかき氷機で、氷菓を背負うのはボッカ時の精神衛生上とても良いなと思いました。武奈ヶ岳の山頂でシャリシャリかき氷を作るのは酔狂で面白かったです。来年はどんな氷菓をボッカしてやろうかと夢が膨らみました。

 

【感想】 59期 山形真知子

不安を抱きながらの参加でした。

40代までしか荷物を担いだ事がなく、諸事情により、日帰り山行を細々と続けて居りました。

おまけに、雨の日、暑い夏はいつもお休みです。

そんな私が、ポイントを消化して行く目標を持ったのです。

でも、人間の体って不思議ですね。15キロの荷物が、背中で語りかけて来るのです。あの楽しかった山行の数々を・・・・

懐かしい人々を・・・・・

夢いっぱいの江村さんの、冷たいかき氷を食べているのに、望武小屋の在った辺りを見ていると、なぜだか、温かい物が込み上げて来るのです。

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【感想】 60期 YN

真夏の歩荷例会、こんな時期にするものかなとか、疲れ過ぎないかとか、また先週の北穂縦走練習例会で肩の持久力に不安を感じていたこともあり、渋々で参加しました。

いざ出発してみると参加者の皆さんは自身の課題や目標のため真摯に取り組まれている姿に最初の自分が恥ずかしくなりました。

御殿山から荷を増やしたのもそんな気持ちを紛らせる為だったかもしれません。いつも明るく話される山形様、話題の豊富なF様、いろんな山行をご存じの梅村様、余裕の亡い僕はそれらを聞きながら肩の痛さに耐えていました。

ただ、快晴の武奈ヶ岳山頂では涼風と眺望と江村さんのかき氷のサプライズは登りの辛さをを良い意味で忘れさせてくれました。辛いけど楽しくおわる。

小西リーダーと皆さんに心から感謝致します。

 

【感想】 体験 YK

86日(日曜日)、比良山地武奈ヶ岳ボッカ例会に体験参加させていただいた。 初参加のためボッカは免除してもらったが、参考までに計ると私の荷物は4.3kg。女性のノルマ15kgの約4分の1だった。
登り口は「く」の字に折れ曲がる細い急斜面の九十九折の山道で、一列に並んで登りながら、昔話に出てくるような山道だと思った。森の中の道では、先頭のYさんに、花の名前を教えてもらいながら歩いた。しかし「小あじさい」しか覚えてえおらず残念 キノコ鑑賞も楽しみながら歩いた。
森を抜けると、高い木がなくて低木と草花だけの、開けた尾根の道に出た。雲が流れるのがよく見え、天上の庭のような素敵な場所だった。 
山頂では、Eさんお手製のかき氷をナタデココをトッピングしていただいた! ごちそうさまでした。 
普段は1人もしくは友人2人と山登りをすることが多いが、皆さんとお話したり楽しみ方を見せていただいて、重い荷物を持てる体を作りたい、山頂で湯を沸かしてみたい、道具を揃えたい、山のおしゃれも楽しみたいなど、いろんな目標や欲が出てきた。 
帰りは「くつき温泉」で汗を流して帰途に着いたが、帰りの電車でご一緒したYさんに「60代までは体力も技術も上がっていく。これからなのでがんばって」と嬉しい励ましの言葉をいただいた。
F
さんには「涼しい顔をして登っていた」と言っていただいたが、まだまだ下りに慣れてないようで、以降5日間、筋肉痛に苦しめられた。
今後は、楽しみながら体づくりもしていきたいと思う。

 

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No.3678 沢練習 ツメカリ谷遡行

2017年8月5日(土)

 【メンバー】CL高橋秀治、SL辻 博史、鹿嶽眞理子、藤田哲陽、藤井康司、土井司、TW、TS、平川暁朗 会員9名

【天気】曇り後小雨後晴れ

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【行程・記録】平川

集合ロッジ前 7;00~神崎川林道前 8;45

林道からの下降点10:10~ルートに迷い引き返す10:45~ツメカリ谷出合11:30~ 6mスダレ状滝13:00~ツメカリ谷出合 14:50~赤坂谷下り終了点16:20~神崎川林道前17:10~八風の湯18:00~帰京

  

【感想 59期 平川暁朗】

4月にUリーダーに連れられて行った比良の白滝谷以来2回目の沢登りでした。

 事前に聞いていた感じではゆるいと思っていたけど、沢に慣れていないせいか思いのほかワイルド。

 初回よりは川の流れに対する耐性もできたし、時期的に寒さもまったく感じませんでしたが、やはりぬめりは苦手。

今回はサポートしてもらったが、どこを触ってもヌメヌメするホールドはなんとか攻略できるようにしたい。

お釜にダイブできる箇所がたくさんあり、怖かったが思い切って飛び込んでみると爽快でした。瞬間目は閉じていますが。

 渓谷の美しさを内部から見られるのは沢登りの魅力。危険もはらんでいるとは思うが、たまにはこういう別世界を見せてもらえるだけでも山岳会に席を置いた意義があるかもしれない。

 登攀スキルとセンスのなさは実感しているので、あくまで私自身は「縦走屋」として谷より尾根を根城にしたいとは思っていますが、沢エキスパートの皆さま、ご迷惑でなければこんな素人にも時折お付き合いください。

 

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【感想 57期 TW】

ツメカリ谷を遡上したら、どんな景色が見えるのだろう?と、参加させていただきました。事前に高橋リーダーより「今回はアプローチの林道歩きが核心部」というアドバイスをいただき、家で事前に「神崎川ゲート・鍵・番号」、「ダイヤル式南京錠・開け方」等で1時間程グーグル検索するも、諦めて当日。もっと調べたら良かったなぁ・・・と少し後悔する程、長い林道歩きでした。沢への取り付きも、ヒルがぴょんぴょん飛び跳ねている藪の中を、地図を見ながら前進。汗と雨とヒルにまみれて、沢にじゃぶじゃぶ入って全てを流してしまいたい気持ちがピークになった頃に神崎川が見え、喜びもひとしおでした。

目的のツメカリ谷では、楽しみにしていた簾状6M滝の取り付きで泳いでいる最中に両足が攣ってしまい、残念ながら現地待機。一緒に居残りをしてくださった高橋リーダーから身体を温めるようにアドバイスを頂き、川で身体が冷えきっていた事に気が付きました。夏だから、と甘く考えていましたが、泳ぎの沢の場合は温かい装備が要るなと痛感した出来事でした。

帰りは足も治まり、思う存分川に流され、さっぱりして帰りました。ツメカリ谷が途中になり残念でしたが、歩き・地図読み・藪こぎ・ヒル沢登り。探検の楽しさが詰まった山行でした。高橋リーダー、みなさま、どうもありがとうございました。

 

【感想 57期 藤井康司】

去年赤坂谷の途中で時間切れとなり、リベンジを兼ねて今回の企画には飛びついてしまった。ツメカリ谷ピストンのお気楽山行ということだったが、いやいや丸一日じっくり遊ばせてもらった。天気は生憎だったが、渓相は、広く明るい。水温に比してヌメリも少なく、邪悪なところはない。遡行後は藪をツメて登山道に出る沢と異なり、ここは下りがハイライト。滝から飛び込んだ後は、ザックにいれているマットと防水袋が浮袋替わりになって空を見ながら流れていく。気分は最高。温泉後のソフトクリームは掟破りだが、今回も自制が効かなかった。リーダー、来年は周回コースでお願いします。(教訓:ジップロックは水圧がかかると中が濡れる。)

 

【感想 54期 藤田哲陽】

7月に赤坂谷とツメカリ谷に行き、大変楽しかったので、今回のツメカリ谷に参加しました。林道歩きと谷の出会いまでの道のりは、思った以上に大変でしたが、その分谷に入った時の気分は最高でした。いつも下ってばかりのツメカリ谷だったので、登りは新鮮さがあり、面白かったです。しかし、今回の沢登りのメインは、滝壺への飛込みだったので、今回も思う存分に飛び込み、仕事のストレスも吹っ飛び、爽快でした。リーダーの高橋さん、ザイルを出していただいたサブリーダーの辻さんをはじめ皆さま方、ありがとうございました。

 

【感想 53期 辻博史】

ツメカリ谷の遡行に初めて参加しました。

メジャーな場所で、過去遡行したメンバーも参加していたので大した下見もせず参加してしまいました。

長い林道歩きに疲れたこともあり、取付に迷い、河原にでるまで一苦労しました。

遡行自身は水温は思ったより暖かく、楽しく遡行させていただきました。

今回、改めて山行前の下調べ・地図読みが大切と思いました。

ご同行いただいました皆様どうもありがとうございました。

皆無事に戻ってこられたことが一番よかったです。

これからもよろしくお願いします。

 

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【感想 59期 TS】

ツメカリ谷は明るい渓相で、頑張れば登れる滝が続く。滝つぼに飛び込むこともできる。

アプローチは楽で、修行のように厳しい源頭へのツメもない。この沢に行けば、誰でも沢登りを好きになると思う。

 入渓地点に着くと、目の前に涼しい、美しい渓が目の前に広がる。気持ちが昂る。日常の生活とは別世界である。渓を見ながら食べる行動食が美味しい。

ヌメリが少なかったことが意外だった。水温は高くて、つらい思いをせずに済んだ。天気が悪く、本降りなったら寒いだろうなと思った。雨具を持って来なかったことを後悔したが、幸い雨は強くならなかった。

 今年の沢登りはこれで終わりかと思うと、名残惜しい。

 

【感想 56期 土井司】

 沢山行と言えば川を遡行し登山道など道を下るというのがイメージされるのだが、今回の沢は林道を上り川を下る(少し遡行したが)という真逆のパターンであった。それもその筈ツメカリ谷、神崎川本流はダイブできる滝が次から次へと現れ川を下る(流される?)のが核心であり、また違った楽しみを謳歌できた。

 出足は曇りの中であったが延々と続く林道歩きで全身汗まみれ。入渓地点についたところで疲れてしまい、そこから遡行できるであろうかと心配したほどであるが腹ごしらえをしたら俄然意欲が湧いてきた。単にお腹がすいていただけであった。

水は暖かくさほど危険な箇所もなく丁度楽しめた遡行であった。時間切れで目的地まで行けずに引き返す。これからがメイン。登った滝をダイブしていく。一発目はかなり緊張し雄叫びを上げてダイブ!飛び込んだ後の爽快感これはやめられない。郡上八幡の子供たちが橋の上から飛び込んでいる映像を何度も見たがその気持ちがよくわかる。ツメカリ谷だけでなく神崎川本流に入っても何箇所も現れる。飛び込んだあとは桃太郎の桃よろしくどんぶらこと流されていく。何とも極楽のような下りであった。

高橋リーダーを始めご一緒くださいました皆様ありがとうございました。まるっきりおまかせの山行でしたが、またご一緒しました機会でもよろしくお願いします。尚、フローティングベストは最高です。外せません!

 

【54期 鹿嶽眞理子】

取りつきまでが、一番の核心ですとのリーダーの言葉通り、なかなか長い林道のうえ、降り口を探し右往左往。それでもようやく川に降り立ったときはホッとしました。

あいにくの小雨交じりの天気でしたが、水はあまり冷たくなく気持ちよく歩けました。次々出てくる滝は美しく、目を楽しませてくれました。泳げない私は、ライフジャケットのおかげで何とか滝下に取りつき、ちょっと弱音を吐きつつもみんなに励まされ、助けられて滝を制覇していきました。

下りは皆さん、気合を入れてドボンと飛び込んでいましたが、私は尻込みしてしまい一度スライダーで降りましたが、あとは懸垂下降をさせてもらったりクライムダウンしたり。

飛び込みが不安な私は、本流を下って行ったみんなと別れて、高橋さんとまた林道歩きで戻りました。それでもすごく楽しかったです。

みなさま、本当にお世話になりありがとうございました。

 

【記録・感想 53期 高橋秀治】

 2年前に土井さんと「ツメカリ谷に行きましょう」と約束していましたが行けず、今回ツメカリ谷のピストンという事で実現できました。

 定番の「赤坂谷遡行~ツメカリ谷下降」は何回か行っていたので、入渓地点がその先にある「ツメカリ谷」の取り付きまでは林道を進めば安易に行けるとタカをくくっていましたが、林道からの道標もなく、釈迦岳・神崎川こちらと言う標識を見つけ、その先は登山道が整備されていたのでそれを進めば神崎川にすぐ降りられると思っていました。しかし、進めど着けず最後は地図を確認してツメカリ谷に一番近い谷を降りる。そこは皆さん慣れたもので突破するのみで、ようやく入渓地点に到着。

 そこで入渓準備をして遡行開始。前を辻さんにお願いしてどんどん進み、核心部の5m直瀑の釜を泳ぎ、左側の岩を掴み這い挙がり、最後をTWさんにお願いしていましたが、釜を泳いでいる途中で足が痙り、それ以上無理を強いると下りが心配と思い、その前で待機して頂く。

 予定の裏見ノ滝までは皆さんも行けなかったみたいですが、皆で協力してスダレの滝までは遡行され、思い思いにダイブして下って来てこられました。その頃には小雨になり、急いで本流出会まで降りて来ましたが、その頃には運良く晴れ間が見え出す。水量も多くないと判断、そして7月に本流を下降したメンバーが3名居る事もあり、辻班は本流を下り、高橋班は林道を戻る事にした。駐車場には辻班よりやはり1時間程早く着いた。

 チームを2班にその場で分ける事にためらい等があったが、そこはSLの辻さんの力量と状況判断で決めた。また、入渓地点までの道迷い等リーダーとして力量の無さを自覚した例会で有ったが、しかし皆さんの協力と笑顔に救われた充実した1日であった。参加された皆様ありがとうございました。