京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

<個人山行>南八ヶ岳縦走

2019年2月9日(土)~2月11日(月) 

【メンバー】

CL中尾諭、高橋秀治、土井司

【行程】

○2月9日(曇り、雪)

 美濃戸口(7:00)→美濃戸山荘(8:00)→赤岳鉱泉(10:20)→行者小屋(11:00)    テント泊 

  *ジョウゴ沢で沢遊び

○2月10日(晴れ)

行者小屋(8:00)→赤岳(10:00)→横岳(12:00)→硫黄岳(13:20)

赤岳鉱泉(14:20)→行者小屋(3:20)     テント泊

○2月11日(曇り)

 行者小屋(7:45)→美濃戸山荘(9:30)→美濃戸口(10:30)

【山行概要】26期 中尾

・若干トレーニング不足のメンバー(筆者)がいるため、全体的に歩くのはゆっくり目の行動となった。

・入山初日は、計画では、阿弥陀岳を北稜からの登頂を予定していたが、山はガスっており、雪も舞ってきたので無理せず登るのをやめ、ジョウゴ沢でトップロープを張り、プチアイスクライミングの体験をして遊んだ。

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・2日目は、今回の山行のメインである縦走。文三郎尾根から赤岳、横岳、硫黄岳を踏み、赤岩の頭から赤岳鉱泉に下る一般ルート。天気が良く、文三郎尾根の登りでは、阿弥陀岳が朝日に当たり、白く輝いているのが印象的。また、赤岳のダイレクト尾根を登るパーティがー何組か寒そうに順番待ちをしているのが見えた。赤岳の登りでは下山者も多く、多少混雑していたが、地蔵尾根の下り口を越えると、人も少なくなった。稜線からの眺めは、南には富士山の頂が雲の上にみえ、南アルプス中央アルプス北アルプス等の白い峰々もきれいに見ることができた。横岳への岩場のトラバースは鎖は出ているが、足場も悪く、高度感もあり、若干緊張気味に進む。硫黄への登りは、強い西風を受けながら進み、爆裂火口を覗き噴火の凄さを感じる。硫黄からはは、赤岩の頭を経由し赤岳鉱泉へ下り降りた。 

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 ・最終日は、美濃戸口への下山のみ。行者小屋から少し下ったところで、大阪府山岳連盟が積雪訓練を行っていたのを、横目に見ながら無事下山。

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【感想】26期 中尾

一昨年、暫く持っていなかった冬靴を購入し、約15年ぶりぐらいに冬の南八ヶ岳に入った。昨年末にインフルエンザにかかり、それから体調を崩し1月に漸く復帰した体で、体力が十分回復していない中での山行となったため、ゆっくりしたペースで登り、パーティーには多少迷惑をかけたあと思います。個人的には、今シーズン初の登山で、久々に、稜線から、北や中央、南アルプスなどの白く輝く峰峰が見渡せる天気の良い日に歩くことができ、しんどいながらも楽しい山行きになりました。

 

【感想】53期 高橋 秀治

3年前に土井さんと厳冬期の赤岳に登り、次回は赤岳から硫黄岳を縦走しようと話していました。また、「富士山と八ヶ岳」の興味深い民話も教えて頂き、尚いっそう縦走して確かめたいと思って、中尾会長を巻き込んで実現できました。

京都を出発直前に、会長より「天候が良くないので中止しようと思う」というメールが来ましたが、「とりあえず行きましょう」と出発。

現地に着いた時には、雪交じりの天候で明日の縦走が出来るのか心配しながら、行者小屋に昼過ぎに到着。その後、阿弥陀北陵を登る計画でしたが、天候等を考慮して「ジョウゴ沢」を見に行こうという事になりました。そして、トップロープを掛けてくれて、プチアイスクライミングを体験することもできました。

翌日の天気予報では、昼頃から晴れるという事で、8時に幕営地を出発しましたが、既にその時には光り輝く阿弥陀岳が微笑んでいました。

また、核心部の横岳を通過する時には、ダイアモンダストで歓迎してくれていましたが、私は緊張のためにそれを楽しむ余裕はありませんでした。

気が付けば快晴の縦走を楽しんで硫黄岳のピークに立っていました。そこから歩いてきた白い稜線を振り返った時に、歩いたからこそ実感できる充実感で涙がこぼれそうになりながら、「これだから冬山はやめられないな!」と再度痛感しました。

中尾会長、土井さんありがとうございました。

そして、硫黄岳の爆裂火口を間近に見た時には、太古の時代は富士山より八ヶ岳が高かったと確信できた山行きでた。

 

【感想】56期 土井司
 今回天候が冴えない予報であった為、験を担ぐ意味も含め諏訪湖SAで仮眠&朝食を取る提案をした。(今シーズン二度、同様の前泊方法で共に素晴らしい天候に恵まれた)
 初日は曇りのち雪であったが、この験がものの見事に的中し縦走本番である二日目の天候は風も弱く快晴となり、且つ前日の雪が一層素晴らしい景色を作り上げていた。 雪を被った樹林の奥に朝日を浴び輝く阿弥陀岳、赤岳頂上からの権現岳とその奥に横たわる南アルプスの山々、これから向う横岳の岩壁、その横岳から見る急峻な赤岳の山容などなど言葉を失う程の景色を目にすることができた。今シーズン3度目の3000m級冬山登山であったがそれを締めるにふさわしい山行となり、帰りの車中では来年の厳冬期山行の山をどこにするかで大いに盛り上がった。

中尾さん、高橋さん、お世話いただきありがとうございました。来年も宜しくお願いします。

 

〈個人山行〉京都百名山シリーズNo.63 牛松山

平成31年2月2日(土)


牛松山(636m)は、亀岡盆地の西に位置するどっしり落ち着いた山で山頂にはしっかりした社殿を持つ金毘羅神社が鎮座している。山麓には愛宕山の総本社愛宕神社の根源の愛宕神社が鎮座している。保津町の長閑な田園地帯を歩き雪山ハイキングを楽しんだ。

 【メンバー】 山本浩史L、梅村重和

【山  域】 京都市右京区亀岡市

【行  程】 京都7:35-8:06八木8:25=9:04原9:14~9:43送電鉄塔~10:39標高点~11:09牛松山11:38~12:23元愛宕神社~13:30保津小橋~13:52馬堀13:55-14:19京都

【登山データ】 歩行12.9㎞ 4時間38分 延登高 597m 延下降 949m  1座

 

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JR嵯峨野線京都駅7:35発の快速は山屋が多く乗る。山屋は八木駅で降り午前中1本だけの京阪京都交通バス“原”行に乗り換える。この日は10人程が乗り込んだ。一般客は残念ながら誰もいない閑散路線。我々を除く全員が越畑で下車した。地蔵山を目指し芦見峠からの一般道を目指すのだろう。細い道を一杯になってバスは進み終点の原に到着すると20m程先の回転場所で方向転換し26分後の発車まで待機に入った。

バス停で登山準備を整え府道50号線を南に少し行くと愛宕神社の鳥居があり、樒ヶ原からの登山道に続いている。樒ヶ原は棚田が美しくその奥に千歳山(630m')が鎮座していた。バス停から0.9㎞程進むとロープの張られたゲートがあり牛松山への登山道が分岐した。積雪は5㎝程で心地よい明瞭な道の新雪を踏んで倒木を避けながら進んだ。送電鉄塔のあるピークに到り南の稜線に戻ると展望が良く先にあるP643が前方に見え、西の方には南半分を伐採された地蔵山(948m)が雪景色で美しい。

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送電線から辿って来た京都市亀岡市の境界がP643の手前で西の稜線に去って行った。その地点に「界」の標識があり、側面には「元千歳国分~」と書かれているが下部は判読できなかった。縦走路はピークの脇を掠り南側で西の方から来た林道に飛び出した。略々稜線の直下を進んでいたが徐々に稜線を離れ谷へと入って行きそうになった。此れは違うと稜線に復帰すると登山道が続いていた。

稜線を進みP578に達すると送電鉄塔があったが樹林で展望は利かなかった。50m程下り登り返すと最後の登りで牛松山(636m)に達した。山頂にはパラボラアンテナが設置され広場となっていた。先客の男性と挨拶を交わし昼食休憩とした。此処まで南下してくると積雪も少なくなりパラボラアンテナの向こうに雪化粧の愛宕山(924m)だけが望めた。山頂の南東側にある金毘羅神社に立ち寄り参拝、しっかりした社殿があり休憩舎も備わっていた。巻道を東に進み山頂域の端にある3等三角点「金毘羅」を見て千歳町国分への下山路に入った。

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展望箇所もなく単調な道を下り林道に飛び出すと登山道の入口には「牛松山ハイキングコース→」や「オートバイ乗り入れご遠慮ください」の標識が立てられていた。「ご遠慮ください」ではなく「禁止」とは書けないものだろうか。少し下ると比較的大きな神社があり、杉の古木が神々しい。此処は愛宕神社で「元愛宕神社」や「愛宕神社本宮」などと通称されている。案内板によると継体天皇元年(507)創祀とあり、天武天皇の頃京都鷹ヶ峰に分霊され、大宝年間(701~704)に役小角と泰澄によって創建されたのが現在の総本社の愛宕神社で親元はこの神社だと云う。本殿は鎌倉時代(1280年頃)のもので国の重要文化財に指定されている。

今日は保津町の里を歩き保津小橋を渡り馬堀駅をゴールと目論んでいる。なるべく府道に出ないように田の畦道のような所を辿ったが保津ヶ丘の住宅地前で止むなく府道に出てしまった。溜池の処で再び里道に入り長閑に歩いていると田圃の畔から牛松山や愛宕山が美しく眺められるスポットがあった。保津町訳目では旧亀山城の新御殿玄関を移築したと案内板のある風格ある木造建築があった。残念ながら門は閉ざされ公開されていないようだった。私有地なのか公道なのかよく分からないので何時しか保津橋に近い保津八幡神社に出てしまった。

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請田神社への道を通って河川敷の工事中エリアの中を歩き保津小橋で保津川桂川)を渡った。年谷川も渡り田圃の畦道のような道を真っすぐ南下した。東の方、保津峡の入口方面に目を向けると完全な田畑と山の織り成す風景で人工物がなく素晴らしい。JR嵯峨野線を潜ると旧街道の街並み歩きで馬堀駅に達し軽いハイキング山行を終えた。予定通り13:55発の列車で京都駅に戻り、京都タワー大浴場で汗を流し、ビアホールで反省会を行い17時過ぎに解散した。

No.3780 大黒山スノーハイク例会

2019年1月27日(日)

【メンバー】

ⅭL高橋秀治、SⅬ土井司、秋房伸一、辻春見、鹿嶽眞理子、TW、近本かずみ 会員7名

【行程】

27日 ロッジ前7時00分集合→三条山科FM集合→10時00デポ地出発~12時00分椿坂峠~14時00分大黒山~15時00分椿坂峠~16時00分デポ地→入浴→京都 

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【感想】57期 TW

今年初のスノーシュー山行と聞き、すぐさ参加をお願いしました。ラッセルできるね、もふもふの初雪が踏めるね♪と、行き道の車内から盛り上がりました。

事前に聞いた行程から気楽な山行になるのかな?とのんびり考えていましたが、予想とは違う山行になりました。大黒山は行程も短くスノーシューの練習に良い山でしたが、その登山口までの行程にかなり手ごたえがあり、椿坂峠登山口に着いた時点で正午になっていたのには驚きました。ショートカットをする形で一般道から沢筋に沿って林道を歩くコースを進んだのですが、真っ白な雪と倒木で、行先が分かるような分からないような。雪の山道は自分の気持ち次第でどの方向にでも行けちゃう事、そのぶん冷静に地図読みしないといけない事、ラッセルはやっぱりキツイ事、でも雪にまみれて歩くのはワクワクする事、いろいろと思い出すことが多く大変だけれど、やっぱりスノーシュー山行は楽しいなぁと感じながら歩きました。

新雪ラッセルし、ラッセルしてもらい、ご一緒させていただいたメンバー全員の共同作業で道を作っていくのも雪山ならではの一体感が感じられて、なんだか嬉しい気持ちになった山行でした。高橋リーダー、ご一緒させていただいた皆様、どうもありがとうございました。

 

【感想】61期 近本かずみ

今回、私は初めての雪山となる大黒山スノーハイク例会へ参加しました。

スノーシューやストック、スパッツなどの雪山必需品はお借りして望むこととなり不安もありましたが、現地へ到着すると前日の降雪によって一面が銀世界であり、わくわくや楽しみの方がより強く感じていました。皆さんに教えていただきながら準備を行い、いざ出発!ところが少し歩いただけで息が上がり、景色を楽しむ余裕もありませんでした。途中、初めてのラッセルを行い、ふかふかの雪に悪戦苦闘。最後尾になったときの歩きやすさに、人数分の愛情を感じ有難く思いました。ラッセルを行った距離はあまりありませんでしたが、少しでも皆さんの役に立てたと実感しています。

頂上での記念撮影と、魚拓ならぬ人拓を取って撮影し満足の山行となりました。参加された皆さんにはたくさんの事を教えていただき、またいろいろグッズを貸していただき本当にありがとうございました。

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【感想】56期 土井司

今シーズン初のスノーシュー山行であり、前シーズン終了後に新スノーシューを購入し、それのこけら落としでもあった。

天気は雪の予報から曇りに変化。今雪山山行は全ていおいて天候に恵まれている。実は体調はあまり冴えなかったのだが、皆さんとお話しながら道なき道を進むと不思議なことに次第に復調してきた。やはりスノーシューは決まった道を進むのではないのが楽しい。今回、当初の取り付き口までが核心部となったが、それはそれで面白かった。道なき道を進むのがスノーシューの醍醐味なのだから。予定とは随分ずれた山行となったが、それはそれとして楽しい例会になった。

高橋リーダー 次の企画お願いします。ご一緒くださいました皆さん、次回も宜しくお願いします。ありがとうございました。

PS:今回いつもと違う豆大福を持っていったのだが、不味くはないのだが今までの豆大福の方が数段美味しく一般的にもレベルが高いのだと思った。次回では同行いただいた皆さんにも豆大福を食していただき、私の味覚がずれていないか確認しようと思う。

 

【感想】53期 辻 春見 

今季初めてのスノーハイク。

前日に雪が降り、期待通りの雪量でした。旧道に入れなかったので、しばらくの間国道を歩き、そこからは谷伝いに登山口へ。

ネットでのGPSの軌跡は持っていましたが、とても一人ではたどり着けないスタート地点だったと思います。閉鎖されていた自動車道を歩けば、難なく到着したでしょうが、面白くない道が小一時間も続くので、地図読みが難しいけれども、楽しいアプローチでした。(先頭が大変!)椿坂峠からは急登だと聞いていたのですが、積雪のため、のぼりはそれほどストレスなく登れたと思います。帰りに下る際に、急坂だったんだ。と気づいた次第です。サングラスのいる晴天には恵まれませんでしたが、参加者皆さんが、思い思いに楽しんでおられて、大変心地よい山行を共有できました。リーダーはじめ、皆様にはお世話になりました。ありがとうございました。

 

【感想】52期 秋房伸一

 スノーシューは楽しいです。無雪期には目立たない山も、雪が付くと、断然魅力的になり、ルートのバリエーションも増えます。登りはトレインを組んで皆で進み、下りはホイホイと割と自由に降りられます。

 同行の皆さん、ありがとうございました。

また、雪山へ行きましょう!

 

【感想】54期 鹿嶽眞理子

今期初めてのスノーシューで、ワクワクとして出かけました。事前の地図確認で、結構距離短そうと思っていました。ところが、車を登山口まで入れることができず、なんと駐車と登山口までの道がこの日の核心部となりました。林道歩きでぐるっと回るより旧道でショートカットをしようと入った道が雪でわかりにくく、みんなであっちだこっちだとルートファインディングしながらでなかなか楽しかったです。やっと登山口に着いたときはなんとお昼時で、軽く食べてから登山開始。残念ながら目的地までは行けませんでしたが、これはこれで楽しい1日でした。

 

【感想】53期 高橋秀治

 大黒山は、余呉川と高時川の支流の源流の山です。雪が付いた斜面を直登したく、土井SⅬと相談してスノーハイク例会として企画致しました。

 昨年の綿向山例会で嫌な思いをしたため、駐車スペースを探し、地元の方に確認して駐車しようとするも、「ここに止めるな」と言われ、さらにさまよい、ようやくここなら大丈夫だろうと、再度地元の方に確認して車をデポしてのスタートとなりました。

 前日より雪が降り、ふかふかの新雪を踏んでの例会になりました。

雪が付くと登山道はわからず、登れそうなルートを見つけて進むというお決まり。

ラッセルしながら先頭が疲れると交代し、ピークを目指します。交代の時は、先頭を行ってくれた事に感謝の言葉を交わし、次の控え選手が進む。

その結果、汗をかく事無く、何とかピークを踏む事が出来ました。

参加者全員で力を合わせ、目的地を目指す喜びを皆で感じる事が出来た例会でした。皆様ありがとうございました。

 

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〈個人山行〉京都百名山シリーズNo.60~62 地蔵山・竜ヶ岳・愛宕山

平成31年1月19日(土)

 毎年恒例の正月愛宕山行を今年は京都百名山シリーズの正規開催として実施した。一昨年大雪で樒ヶ原までバスが走らず断念した地蔵山西尾根を登り京都百名山の地蔵山、竜ヶ岳、愛宕山の3座を縦走し、黒門西尾根を下り水尾に達した。

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【メンバー】 山本浩史L、小泉賀奈子、土井司、TW、小前竜吾

【山  域】 京都市右京区

【行  程】 京都6:37-7:12八木7:20=(タクシー)=7:40宕陰出張所前7:44~9:10地蔵山9:19~9:49滝谷~10:25竜ヶ岳10:37~11:10愛宕三角点11:19~11:38愛宕山11:51~12:00社務所前12:18~(黒門南西尾根)~13:26水尾辻の家16:55=(送迎バス)=17:03保津峡17:07-17:27京都

【登山データ】 晴れ一時曇り 歩行8.3㎞ 5時間42分 延登高876m 延下降1,057m 3座登頂

 

濃い霧の立ち込める八木駅に到着すると時間短縮のためタクシーに乗った。6人乗りの車があり1人あたり700円と経済的だった。嵯峨樒原右京区宕陰出張所前で下車し、出張所北側の道から登山道に入った。鹿除けネットの扉を開け山道に入ると倒木や斜面崩壊で荒れていた。谷を渡り地蔵山西尾根に取付くと道は不明瞭で鹿ネットを回り込んで取付いた。道と思しきところは急で大変そうなので迂回しながらジグザグに急斜面を登って行った。

標高が600mを越えると雪が現れ徐々に深くなりだした。道形は殆ど無く倒木を迂回しながら這い上って行った。標高740mで送電鉄塔に達し展望が開け美しい霧氷が見られた。八木の平野部には雲海が広がり、三郎ヶ岳(616m)の姿も確認できた。再び急登斜面を這い上り地蔵山(948m)山頂に到った。山頂では展望は得られないが素晴らしい霧氷が見られた。積雪は10㎝程あり、ケルンも雪を纏っていた。その足元には18㎝角の1等三角点「地蔵山」があり存在感を示していた。

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写真1: 地蔵山山頂にて

 

暫し休憩して芦見峠からの明瞭な縦走路を南へと進むと霧氷の花咲く道で格段に歩き易くなった。300m程進むと電波反射板に到った。此処でも木々に霧氷が付き素晴らしい。反射板から縦走路を離れ東へとすすみ滝谷へと下って行った。所々固定ロープがあるが薄い踏み跡は不明瞭で急斜面を慎重に下った。滝谷の二俣に下り、渡渉して反対側斜面に取付いた。此方側は殆ど踏み跡がなく、雪の着いた木を潜りながら這い登り、稜線に達した。但しこの稜線は竜ヶ岳に続く稜線ではなくなだらかな谷を越えて竜ヶ岳南尾根に乗った。トレースはなく此処も処女雪を踏んで山頂に到った。

竜ヶ岳(921m)山頂からは地蔵山、愛宕山の展望が利き、京都市街の桂川が蛇行する様子も見られた。大きな看板の文字は「岳」しか読み取れなくなっているが木の高い処に付けられた小さなプレートは綺麗で3つ掲げられていた。

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写真2: 愛宕山(924m) 竜ヶ岳より

 

竜ヶ岳南稜線を南下し愛宕ジープ道に達する手前で振り返ると地蔵山と竜ヶ岳が見通せる処があった。ジープ道は雪が踏み固められており足元に注意が必要、時間に余裕があるので三角点に寄ることにした。三角点への道はアイスバーンになっておりアイゼンなしでは危険だった。愛宕山は山頂に神社が鎮座しているので三角点が打てずこの地に3等三角点「愛宕山」が置かれのだろう。展望が良く登山者の休憩場所としてよく利用され、この日も2組が昼食中だった。

三角点からは来た道を戻らず短絡道を南下し首無地蔵への道からジープ道に戻った。愛宕山東面のジープ道は展望が素晴らしく比叡山から比良山系京都北山が一望できるが今日は霞が掛かりはっきりしない眺めだった。白髭神社から短絡して山頂を目指し石段途中の門に出た。雪が多いと一番危険になる石段も今日は大した積雪はなく、愛宕山(924m)山頂の愛宕神社に到った。本殿では団体さんがお祓いを受けている処で賑わっていた。若宮、奥宮にも参拝し神社を後にして社務所前の休憩舎で一息入れた。昼時だが水尾での鶏鍋を期待し行動食だけに留めた。

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 写真3: 地蔵山(948m) 愛宕ジープ道分岐付近より

 

下山は、道は無いが黒門西尾根を歩く。黒門を越えると右手の斜面に大規模な倒木群があり、参道は処理されているが斜面はそのままなので目論んでいた箇所より早めに登山道を離れた。修正の為少し下って南にトラバースした。手入れされた杉の植林帯で枝打ちされた小枝が散乱する状況で、道は無いが歩行に支障はない。地形図では明瞭な尾根ではなくコンパスを合せて下っていたが北にずれてきたようで方向を修正しようとしたが雑木林となり南に振り難く突然現れた作業道が比較的明瞭だったので恐らく社務所裏道に続いているものと確信し進んで行った。

思った通り標高520m辺りで社務所裏道に合流し、600m程進むと正規の登山道、水尾参道に合流した。水尾参道登山口で谷を渡り車道を少し下ると今日の最終目的地“つじの家”に到着、柚子風呂と鶏の水炊きを賞味し至福のひと時を過ごした。

No.3779 荒島岳雪上訓練

2019年1月12日(土)〜13日(日)

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【メンバー】

CL江村一範、平川暁朗、小前竜吾

 【行程】

12日

07:15 旧勝原スキー場駐車場

08:50 トトロの木

09:30 深谷の頭

10:30 シャクナゲ平 幕営

 

13日

06:40 シャクナゲ平出発

07:15 西荒島岳

07:35 荒島岳1523mピークハント

08:22 シャクナゲ平 テント撤収

09:25 シャクナゲ平出発

09:55 深谷の頭

10:24 トトロの木

11:09 旧勝原スキー場駐車場

 

[記録]59期 江村一範

山岳会では、厳冬期の山に挑む前に雪上訓練というトレーニングを行う。 実施するのは難易度の低い雪山で、訓練の内容はビーコンの使い方や雪崩の捜索、ビバーク訓練、ピッケルや雪上での生活技術などの全般だ。ここ数年の比良山岳会では、厳冬期の高所登山に行く人が少なくなり、雪上訓練も開催されなくなっていた。

そんな中、私は2月に比良山全山縦走を企画した。私も含めて参加メンバーの雪山経験が少ないので、比良全縦に向けて雪訓をやろうと声をかけ今回の企画につながった。

本来は昨年11月の立山で関西岩峰会と合同で雪訓を行う予定にしていたのだが、雪不足で流れてしまった。急遽1月の連休に代替で荒島岳で雪訓を行うことになった。

 

1月12日

直前になってメンバーのYKさんが風邪で不参加となり、メンバーは平川さん・小前さん私の3人となった。前日の山科に集合し1台の車に乗り合わせ、福井県大野市の道の駅で車中泊をした。

6時に道の駅を出発し、20分ほどで旧勝原スキー場の駐車場へ到着。駐車場には既に10台以上車が停まっていた。雪山装備に着替えて共同装備などを3人で振り分ける。

久々の雪山装備は恐ろしく重い。7時15分に駐車場を出発。

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(写真1 旧スキー場の最初の登り)

 

既に結構な先行者が居ており、トレースは踏み固められていたのでつぼ足で歩けた。だが私のザックが重すぎて息が上がってきた。おまけに私は年末に腸脛靭帯炎(※膝近くの靭帯の痛み)を患っていたので、それがまた発症するかわからないので戦々恐々とゆっくり登らせてもらった。9時前に倒木したトトロの木を通過。私以外の二人はとても順調だった。深谷の頭を過ぎたあたりで、私の膝がピキーンと痛くなる瞬間が出てきた。やはり腸脛靭帯炎は完治していなかったのだ。まだ歩けるくらいの痛みで納まっていたので、私のザックを平川さんに変わってもらい、膝に負担をかけないようにゆっくりと歩いていく。10時半シャクナゲ平になんとか到着。今日は、ここで幕営荒島岳へは明日朝アタックすることにしていた。

昼ごはんを食べて、早速テント設営から雪訓のスタート。幕営地を足で踏み固めてテントが沈み込まないようにする。この踏み固める際にやっとスノーシューを使う。風向きに気をつけてテントを張った後は、風よけ用にスノーブロックを切り出し風上に向けて積上げた。テント設営が完了し、ガスストーブで湯をわかし、コーヒーを飲んで一息をついて、昼から雪訓を行った。

今回の雪訓のメニューは以下のとおりである。

・滑落停止訓練

・ビーコンを使った捜索

・ツェルトと半雪洞を用いたビバーク練習

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(写真2 滑落停止訓練)

 

まずはシャクナゲ平の北側の斜面に移動して、安全そうな斜面にて滑ってみようと雪面に飛び込んでもほとんど滑らない。これは訓練にならなかった。

テント設営地に戻り、ビーコンの操作法をメンバーに行う。古いビーコンと新しいビーコンでは操作法や使いやすさに大きく差があった。さらにビーコンをアタックザックの中に入れて二人にわからないように雪面に埋めて探してもらう。ビーコンの癖のある位置特定に戸惑いながらも、ゾンデ棒を差していって場所を特定し、丁寧に雪面を掘り下げて発信元のビーコンを見つけた。続いてはビバーク練習。まずは木の根元に一人が座れるくらいの竪穴を掘り、マットを敷いて座りツェルトを被ってもらう。体験者はこれだけでも温かいと言う。続いては仰向けに横になれるくらいに穴を広げ、その穴に寝てツェルトを被せる。体験者は風を感じなくなり、寝られるかもと言う。最後に、斜面に移動し半雪洞を作り、マットを敷いて座りツェルトを穴に被せて風を防ぐ。中に座ってろうそくに火をつけてもらう。ろうそくは火の上に手をかざすと僅かながらも暖がとれ、酸欠の防止になり、火を見ていると精神的に落ち着くとの事だった。

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(写真3 半雪洞ビバーク練習)

 

14時頃に雪訓が終わり、それからはテントに入って雪から水を作り続けた。雪を溶かす事より容器に移し替える方が気を使って、大変に感じた。お茶用に持ってきたトランギアのケトル(やかん)は移し替えるのにとても役に立った。ひたすら2時間、雪を溶かしては容器に入れる作業を機械のように繰り返した。夕方頃、晩ごはんを作り始める。今日の晩御飯は「豚しゃぶ」だ。風邪で欠席したYKさんが集合場所まで持ってきてくれた食材を鍋に投入していく。日が落ちてテントの中も寒くなってきていたのだが、鍋を食べると汗が出てきた。やはり冬は鍋ですねと皆で言い合った。食事が終わって明日の山頂アタックを打ち合わせて20時頃に就寝した。

 

1月13日

朝4時45分に起床。今回が初雪山でのテント泊だった平川さんは穴空きエアマットのせいで冷気を感じてあまり寝られなかったと呟く。4シーズン用のシュラフだった小前さんは少し暑かったようだ。朝食の棒ラーメンを食べて2人が山頂アタックの準備を始める。私は膝がまたいつ痛みだすかわかないのでテントキーパーとなった。6時40分に2人が出発し写真を撮って見送る。シャクナゲ平から荒島岳まで2時間はかかるんじゃないかと話していたが、出発してから1時間後、小前さんから山頂到着の電話を貰う。それから50分後の8時に20分には帰ってきた。山頂はガスっており視界はほぼなかったようだ。

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(写真4 荒島岳山頂)

 

テント内で寛いでいた私は慌ててパッキングをした。シャクナゲ平には早朝に出発した登山者が続々と集まってきた。テントを撤収し8時20分シャクナゲ平を出発。周囲を覆っていた雲は消えて、青空が広がり北北東には白山が見えた。11時過ぎに駐車場に到着した。

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(写真5 シャクナゲ平)

 

汗を流すために車で10分ほどの場所にある九頭竜温泉 平成の湯に立ち寄る。日帰り入浴可で大人600円。サウナ、水風呂、露天風呂もあり泉質が良い。私と小前さんは大の温泉好きなので1時間半も温泉に浸かった。温泉からは荒島岳が正面に綺麗に見えた。14時に大野市を出発し18時に帰京した。

今回は私も含めて雪山に慣れないメンバーだけでの雪訓となった。雪訓前に資料を作成し、読み込んではいたが、机上と実技では違うのがよくわかった。今年はロープワークや要救助者のライジングシステムをしなかったので、メニューを増やしてまた雪訓をやりたいと思う。今回、小前さんと「長風呂の会」を結成したので、温泉巡りが中心の山行も企画しようと思う。

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(写真6 温泉から見える荒島岳

 

【感想】 59期 平川暁朗

私にとって四度目となる荒島岳登山だった。そのすべてが勝原からのルートなのは自身の望むところではないのだが、行動時間が短いということでこのルートを選ばれることは多くなる。

これまでこの山は日帰りばかりであったが、今回はあえて標高1200mのシャクナゲ平でのテント泊をし、雪上訓練を行った。

この時期の雪山でテント泊ははじめてだったが、Inertia O Zoneの穴あき軽量マットでは冷気が下から吹き上げてしまうためお奨めできなかったとだけ述べておこう。ただシュラフカバー内に収めていればあるいはという気もしなくはない。

スノーソーでのブロック作り、雪洞掘りとビバーク、ビーコンとゾンデ棒の取り扱いなど、どれも私にとっては初めての作業で勉強になった。何かトラブルがあって下山できなくなった時こういう知識があるのとないのとでは生存率は大きく変わるだろう。

滑落停止訓練については雪がパウダーすぎてまったく滑らず、ただのでんぐり返りの練習だったが、パウダーだとそこそこの斜面でも止まるという確認にはなったのではないだろうか。

江村さんは膝の調子が良くなかったようで、シャクナゲ平から先の登頂には参加しなかったが、小前さんと私のふたりでピークハントを行った。

同じルートでも積雪量によってその印象は大きく変わる。昨年も三月に当会の例会で訪れたが、その時は非常に好天でダイナミックな稜線が印象的だった。今回は雪の斜面をよく感じる登山で、同じ山だとは思えないほど違っていた。雪壁は中々の反り具合だったが、トレースもよくあって登りにくさはなかった。距離も思いの外短いように感じた。好天予報だったが山頂は霧に包まれていて、時折うっすらと太陽が望める程度であった。

数枚写真を撮って即下山し、テントで待っていた江村さんが驚くほど早く戻ってきてしまった。

テントを撤収し麓まで下山、下るほどに天候は良くなり、風呂から出た頃にはピーカンの山頂が見えていたのはありがちなことだ。

 

【感想】61期小前竜吾

昨年末に雪上訓練を経験する予定だったが、天候不順により流れていた。2月の比良全山縦走を考慮すると今回は必ず経験したいという思いで臨むと、天も味方したのか天気予報は「晴&ほぼ風なし」となり絶好の山行日和となる。江村Lから事前配信の訓練用資料は12ページに及ぶもので、全てに目を通すことはできなかったものの、弱層テスト、半雪洞ビバークなど興味あるところは予習した。荒島岳は昨年3月に登頂していたのでピークハントにさほど興味はなかったが、シャクナゲ平(1200m)での雪訓は期待以上のものとなり、私にとっては収穫の多いものとなった。江村Lに大変感謝している。登山に限らず、座学と体験学習は双方大切であることはわかっているが、どちらが欠けても成立しないものと再認識した山行となった。雪山を登る方はこのような訓練を受けるべきで、毎年恒例の山行にしていきたい。