一合目では上坂Lより雪崩の危険性を調べる弱層テストのやり方についてレクチャーしていただく。
弱層テストのおおまかな手順は下記のとおりである。
[NO.3088]2011年1月29日(土)-30日(日)
スノートレッキングin 伊吹 テント泊/読図ポイント
【参加者】
CL上坂淳一 AT 米山佳秀 亀島文子 本田勇樹 酒井敏行 計6名
【天候】29日晴れ、30日雪
【記録】T
【29日】(晴れ)
9:40登山口→10:19 一合目(弱層テスト)→12:00三合目(幕)
【30日】(吹雪)
9:20三合目→10:25一合目(雪崩捜索訓練)→12:40登山口
【29日】
午前7時、山科駅に集合。午前9時40分に伊吹山登山口を出発した。
積雪は多いが、しっかりしたトレースがついており問題なく一合目に到着。
一合目では上坂Lより雪崩の危険性を調べる弱層テストのやり方についてレクチャーしていただく。
弱層テストのおおまかな手順は下記のとうりである。
① 積雪した斜面から直径30cmほど(テスト内容により大きさは様々)のきれいな円柱を掘り出す。
② 掘り出した円柱を両腕で抱きかかえ全体的にずらすように力をかける。
③ 強度の低い部分があるとそこから円柱がずれる。そこが積雪の弱層であるとわかる。
④ 残った下層の円柱を同じように抱きかかえてテストする。(時には弱層がいくつも存在する)
積雪は80cmほどあり、一合目でこの積雪は例年より多いとのことである。
スキー場跡を通ってゆっくり登り、お昼頃に三合目に到着。
ここで上坂Lより雪山におけるベゼル付コンパスの使い方についてレクチャーをもらう。
(ホワイトアウトに備え目標物に対して方角を記憶あるいは記録しておき、トラックバック出来るようにしておく等)
昼過ぎから寒波襲来の予報なので、雪崩の危険性ありとみて今回は登頂をあきらめることにし、疎林帯に移動してテント設営の準備をする。
今回は訓練の意味合いもあって、上坂Lの指導のもと防風壁を作成した。
防風壁作成の大まかな手順は下記のとおりである。
① 雪面を踏み固め、テント設営に必要なスペースを整地していく。
② 雪面が踏み固まったらスノーソーで碁盤の目状に切れ込みを入れていき、スコップで雪をブロック状に切り出す
③ 切り出した雪のブロックを風が吹いてくる方角にレンガのように積んでいき、壁をつくる。(壁が積まれると同時に、ブロックを切り出した地面も低くなるのでより壁が高くなる。)
複数いるなら、スノーソーで切れ込みを入れる役・スコップでブロックを切り出す役・ブロックを積んでいく役とに分かれると効率がよい。
防風壁が出来ると、4人用テント二つを設営し、その後キジ場を作る。
以上でテント設営が完了したので、ブロックを切り出し、掘りごたつ風の即席テーブルを作成。ブランデーと軽食を楽しむ。
ピクニックを楽しんでいると昼からの寒波襲来予報にもかかわらず、折しも天候が回復し、快晴のもと伊吹の山頂が姿を現した。
その後テントに入り、少し早いが午後五時半ころに夕食をとり、七時ころ就寝。(夕食:石狩鍋)
【30日】(雪)
風強く、時折目が覚めると、山頂に吹き付ける風がごうごうと唸りをあげているのが聞こえる。
幸いにも我々は、三合目で幕営しているうえ防風壁を作成しているため、テントに風が吹き付けることはほとんど無かったが、降雪激しく、起床するまでに二度も雪かきをする必要に迫られた。
本日は下山するだけなので、朝食(茶がゆ)を食べゆっくり支度し午前9時半ころ出発。三合目を後にした。
天候悪化により視界はホワイトアウトしており、これ幸いと上坂Lからの指示で、読図ポイントが未取得である酒井さんが先頭に立ち読図しながら下山開始。
途中、少しルートを見失いかけることがあったが無事一合目まで戻ってきた。
一合目にて上坂L指導のもと、ビーコン・ゾンデ棒・スコップを使用した雪崩捜索訓練を行う。
雪崩捜索の要領はおおよそ以下のとうりである。
① パーティーが雪崩に巻き込まれたとき巻き込まれなかったメンバーは、すぐにゾンデ棒を用意する。ゾンデは根本を引っ張りながら斜面の下側に向かって投げ、棒を振りながら素早く組み立てる。
② ビーコンを発信モードから受信モードに切り替え、シグナルに従って遭難者の位置を特定していく。(複数遭難時のために各社のビーコンスイッチOFF方法を知っておく)ビーコンのシグナルは8の字状に発信されているので、その特性を知った上で捜索をすること。アナログビーコンの場合、シグナルに従っていくと渦を巻くように遭難者に近づいてゆく様になる。
③ 遭難者の埋まった地点に近づくとさらに正確なポイントを割り出すため、地面にビーコンを当て、角度・高さを一定にしたまま平行に動かす。ビーコンの信号が弱まった2m地点のあたりにゾンデ棒など目印を挿す。そこから今度は反対側に動かし同じくビーコン信号が弱まった2m地点あたりに目印を挿す。二点の目印の中間地点から、今度は垂直方向にビーコンを動かし、同じく上下に二点の目印を付ける。そうして付けた四点の目印の中央に遭難者が埋まっているものと推測される。
④ 雪崩に巻き込まれなかったメンバー(複数の場合)のうち1名を二次雪崩の見張りに残して、残りのメンバーでゾンデ棒を使った捜索をする。遭難者が埋まっていると推測される地点付近に、横一列に肩が当たるくらいピッタリとくっついて整列し、足を肩幅ほどにそろえ、全員で動きを揃え右足前、左足前に交互にゾンデ棒を刺していく。両足の前を指したら靴一つほど前進し再度左右にゾンデを刺す。遭難者発見までこの動きを繰り返す。このとき、事前に別の場所を刺して地面を刺した感触を覚えておくこと。ゾンデ棒が人間を刺した感触があったらスコップで掘り出して応急処置をする。なお、15分以内に発見すれば蘇生する確率は80パーセント。しかしそれは呼吸困難からの蘇生の場合であり、雪崩のさいに頸椎を骨折していた場合などは即死するのでこの限りではない。ゾンデ棒は3mくらいのものが望ましい。雪崩のさい、2mゾンデ棒では遭難者に届かない恐れがあるし、また4m以上埋まっている場合、生存救出の確率が低い(ゾンデ棒の重量も重くなる)からである。
なお、我々の捜索練習では、理屈通りうまくいかず、目標発見まで大変時間がかかった。訓練を重ねて習熟する必要がある。
積雪は昨日より大きく増え、掘った場所も違ったが1m30cmほどになっていた。
捜索訓練を終え、12時40分ころ下山。無事帰京した。
【感想】51期 T
今回は三合目までしか行けず、上坂さんからは「日和った」との言葉がありましたが、個人的にはこのようなピクニック的な山行は大好きで、とても楽しめました。
ビーコンは、高価なので購入をためらってきましたが、やはり必要なので出来るだけ早く揃えたいところです。今回は上坂さんがかしてくださいました。ありがとうございました。
捜索訓練はまったく素早く動けなかったので、もっと練習しとかないといけないと感じました。
上坂さんには今回もいろいろと御指導いただき感謝感謝です。
また、ご一緒いただいた皆様のおかげでワイワイと楽しく過ごせました。
どうもありがとうございました。
【感想】 48期 上坂淳一
積雪期の伊吹といえば、天候が悪いのが取り柄のような山で、冬型ともなれば、日本海から吹き付ける重く湿った雪と風に、本格的な冬山気分を味わえるところです。
ところが、スキー場の休業によって、頂上まで行かなくても無立木の適度な傾斜の斜面を思いのままに歩きまわれる、つまり
三合目周辺は雪中キャンプの適地に、また旧ゲレンデはそのままBCゲレンデとして、新たな利用価値が生まれたようです。
三合目までなら、食材や嗜好品もたっぷりあげられるので、今回のように災害級の寒波(なんと北陸道が通行止!)が迫っているときは、下手に動かず食っちゃ寝ぇして過ごすのが良いようです。
積雪期のテント泊山行としては予想外の6名パーティとなりました。車も2台、テントも2張と大所帯で、何かと至らないリーダーでしたが、ベテランの米亀コンビをはじめ、皆様のご協力を得て、雪中キャンプ、ビーコン訓練も順調にこなすことができたことに心から感謝します。
【感想】53期 本田勇樹
今回初めてBCスキーを見ることができました。山頂まで多少重い荷物を担いでも一瞬で降りて、サッサと帰れるのは魅力的だと思いました。
ビーコン捜索はとても難しかったです。動きながら考えるというがちょっと難しい。なかなか覚えられそうにないです。
後悔先に立たずが冬山の鉄則という教えは肝に銘じて、視界があるときにコンパスを当てとくとか、テントはしっかり立てとくとか、雪山で途方に暮れることのないようにしたいです。上坂リーダー、皆様ありがとうございました。
【感想】 53期 亀島
風邪気味での伊吹山。昨夜から咳きがとまらず、咳き留めとトローチなめての登山。
登山口から雪のある伊吹山は久しぶりで、3合目のテント場は雪が多く、立派な防風壁ができ琵琶湖を眺めながらの、雪のテーブル、雪の椅子に座り乾杯。
日が沈むころには寒さが肌身に射し、テントに逃げ込む。バターたっぷりの石狩鍋で温まり、お腹いっぱいで座っているのが辛い。皆そのままごろ寝、直ぐに寝息が聞こえ(このまま寝たら凍死だー)各自テントに帰り熟睡。
風が強く雪も多い。Tさんがテントの雪降ろしをしてくれていた。新雪で昨日の足跡も無く、ワクワクと楽しい雪道だ!スノーシューでの下山も新雪に埋もれて滑る事無く一合目到着。
一合目でビーコン・ゾンデ棒の講習会。治っていたかに思った風邪が、咳きと鼻水が止まらない。下界では風邪ひきやすいのかな?
楽しい雪山でのテント泊。
弱層テスト(ハンドテスト)
ビーコン・ゾンデーレンの講習会
有難う御座いました。
【感想】53期 酒井
相当厳しい山行を覚悟していただけに、上まで行けなかったのは少々残念ではありましたが、一日目夜の積雪量や二日目の天候状態などから、正しい判断だったということが身にしみてよくわかりました。自分もそういう判断力を身に付けられるよう、経験を積んで行きたいと思います。視界があまりきかないなかでのルートファインディングはかなり難しいもので、この点はもっともっとトレーニングせねばと思いました。また、ビーコン捜索訓練ではまったく手際よく動けず、もともと性格的にこうした作業が苦手なこともあって、何度もくり返し練習することが必要だと思いました。一方、雪中でのテント生活は比良縦走に続いて二度目でしたが、何もできなかった前回に比べればだいぶ要領がわかってきたような気がします。他方、重い荷物を背負っての雪の中での行動など、体力面ではもっともっとトレーニングせねばなりませんが。雪のテーブルの小宴会の素敵な語らい。石狩鍋のテントの夜。とても楽しい思い出です。一日目、二合目あたりのきつい登りで、ふと振り返ったさいに目に飛び込んできた奥琵琶湖の素晴らしい風景も忘れられません。冬の山は不思議ですね。寒いししんどいしつらいことだらけなのに、なぜかまた行きたいと思わせられる…。私のような初心者をパーティに加えてくださったみなさま、ありがとうございました。