京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉  秩父・奥武蔵

20120107秩父6

写真(1/8): 富士山(酉谷山より)

 

 

[個人山行]  秩父・奥武蔵  平成24年1月6日(金)~10日(月)    48期 山本浩史

 

1月三連休を利用して飯能プリンスホテルに連泊し秩父・奥武蔵の山々を巡った。今年は冬型の気圧配置が続き、北日本は雪の日が多い反面太平洋側は晴れの日が続く。秩父市の最低気温は連日氷点下3~5℃で風の通る稜線は身を切るように冷たかった。

 

1日目(1/7) 高ワラビ尾根・大持山

【行  程】 (1/6)京都19:54-22:09金沢22:29-(▲急行能登)-5:22熊谷6:11-7:28浦山口7:30~8:20城山~11:18小持山~11:06大持山11:27~11:39横倉山~12:32鳥首峠13:33~13:56滝入ノ頭14:00~14:12ヤシンタイノ頭~14:28橋小屋ノ頭~14:49蕨山~14:54蕨山東峰~15:53名郷16:18=17:18△飯能

【山データ】  天候 快晴 歩行 18.0㎞ 8時間23分 延登高 1,836m 延下降 1,748m 9座登頂

20120107秩父地図1

 

浦山口7:28、都心から始発で来ては辿り着かない時間だ。11年に武甲山縦走で歩いた道から秩父さくら湖へのバス道に出る。橋立川の上空を渡り越すと高ワラビ尾根の先端で取付点を探す。少し回り込んだところのフェンスの切れ目に階段がある。登山道の表示や其の先に明瞭な道は無く、林業の作業用に開けられた入口であることが知れる。杉林で下草は無く歩きやすそうな所を適当に選び稜線に這い上がった。微かに踏み跡があり稜線を外さなければ問題ないだろう。ひと登りして城山(705m)山頂に達するが展望は利かない。3等三角点「久那」が置かれている。山名から推し量ると何らかの山城の跡だったのだろうか。

 

高ワラビ尾根を進むと左手に浦山ダムに堰き止められた秩父さくら湖が垣間見え開けたところはないかと期待したが遂に湖は見えなくなってしまった。P785に達すると樹林の向うに武甲山、小持山が確認できる。標高900m位の処で北側の展望が開け、武甲山の全姿を見ることができた。P1055の肩に乗ると90°左に進路を変えタワ尾根分岐のピーク(標高約1,090m)に近づくに連れ岩場が目立ってきた。タワ尾根は高ワラビ尾根から南に分岐し雄山、大掴山を従えているが登山道は武士平と秩父さくら湖に下っている。初めて現れた指導標には登って来た道が「山道進入禁止」となっておりそうだったのかと納得した。

 

P1160を越えた小持山との鞍部は南方向の展望が開け長沢背稜天目山から酉谷山等を望むことができる。高ワラビ尾根の急坂を登り詰めると小持山(1,273m)に達する。展望は良く武甲山、武川岳、外秩父の山々などが望める。山頂で初めて人に会った。此処からは武甲山と長沢背稜日向沢ノ峰を結ぶ主稜線で人気の山域だ。主稜線を南下して大持山を目指す。若干岩場があり、高ワラビ尾根とは違い所々展望の利く処もあり気持ち良い。大持山(1,296m)は今日の最高峰で3等三角点「持山」が置かれているが一寸破損していた。山頂からは長沢背稜や明日歩く予定の熊倉山、その先には和名倉山(2,036m)が鎮座している。

 

此処から2.8㎞南の鳥首峠で東京の友人Fと13時に合流する予定だ。峠までコースタイムは1時間10分、早く行ってしまうと冷たい風の中待つのは辛いのでペースダウンして時間を調整しながら歩く。妻坂峠への分岐点は展望が良く南側が一望できる。東京都心方面が良く見え新宿の高層ビル群から左に視線を移せば今春開業するスカイツリーが一際高い。大持山山頂を立ち止まらず通過して行った男性は此処で休憩していた。妻坂峠は其の下の二の鳥居から大持山~小持山~武甲山を周回登山する人が多いようで小持山で出合った人もこのコースのようだ。写真を取っているとまた一人登って来た。

 

次のピークは横倉山(1,197m)で大持山が木の間から少し見える。時間調整に10分ほど休憩したが余り休むと体が冷えるので10分が限界、再び歩き出すが下り続きで体が温まらないので止むなくスピードを上げた。稜線にウノタワと先のP1059が見渡せる処がありまた写真撮り休止。ウノタワに下ると雪が付いて木漏れ日もあり、何とも穏やかな景観、テントを張るには持って来いの地形だ。小休止していると山中から登ってくる人と鳥首峠から縦走して来る人が通り掛ったが此の風景に何の感動も示さず行き過ぎてしまった。ピークを2つ越え鳥首峠へ下降するところで再び展望が開けまた休憩、もう抵抗することも出来ず鳥首峠に12:32到着してしまった。

 

友人Fは未だ着いていない。金倉橋BSからのコースタイムは2時間、コースタイム通りならあと10分で来る。斜面東側で吹き抜ける風を避け、ジャケットも着込んで待つ。15分、30分、約束の時間が来ても未だ現れない。バスに乗った所まではメールが来ていたが此処は圏外、40分、50分、終に1時間に達した。寒くてもう待てない。もし事故だったらと躊躇しながらも先へ行くことにした。

 

登り返して西に流れる尾根との結節点より南は西側が大規模に伐採され滝入ノ頭からヤシンタイノ頭まで続く。しかも伐採された“跡”ではなく、将に伐採された直後で、ワイヤが張られ滑車が回り運び出し作業の真っ最中だった。お陰で展望は最高で長沢背稜や両神山、大持山、武川岳などが一望できた。滝入ノ頭(1,071m)は三角点峰で3等三角点「鳥頚」がある。ヤシンタイノ頭(1,100m)で伐採地は終わり再び樹林帯となり橋小屋ノ頭(1,163m)に到る。総称山名としての有間山は橋小屋ノ頭も含まれ山頂標識には「有間山(橋小屋ノ頭)」と記されていた。主稜線のこの先は2年前に長沢背稜から縦走しているので東に折れて蕨山へと向かう。

 

友人Fの事が気になるので急ぎ足で下り、逆川乗越までは10分で達した。蕨山は展望が利き山頂標識のある処は東峰で1,133m、最高点(1,044m)は其の手前にあるが何の表示もない。最後の展望をと思い下山路から外れるが東峰にも立ち寄り関東平野の展望を見ると既に傾きだした日を浴びてスカイツリーがより鮮明に見ることができた。下山は蕨山から北に続く尾根を通り名郷集落に下りる。2.5万図には2ルート描かれているが歩いてみると分岐点は既になく実際の登山道は谷筋を通るルートになっていた。名郷BSに到着し25分後のバスで飯能に向かった。

 

気になっていた友人Fと連絡が付き、道が分からなくなり金倉橋BSに戻り西武線に乗った処と云う。遭難ではなくひと安心。登山地図に赤実線で書かれた道だったが谷ルートで台風などにより道が荒廃し、遂に分からなくなってしまい登山を断念して引き返したそうだ。その後17:30頃、飯能で合流し居酒屋で反省会を行った。

 

2日目(1/8): 酉谷山・赤岩尾根

【行  程】 △飯能5:32-6:54白久7:56~7:44城山~9:41熊倉山~11:26小黒~11:58酉谷山12:23~12:41日向谷ノ頭~12:56坊主山~13:36立橋山~13:53赤岩ノ頭~14:30矢岳~15:10篠戸山~15:48大反山~16:03若獅子山~16:23国見の広場~16:37浦山ダム~17:08浦山口17:20-18:19△飯能

【山データ】  天候 快晴 歩行 24.0㎞ 10時間12分 延登高 2,256m 延下降 2,316m 13座登頂

20120107秩父地図2

 

飯能からだと秩父鉄道の始発に乗ることができ、終点ひとつ前の白久駅で下車した。早速、谷津川沿いの林道を南へ進む。直ぐに白久温泉があり下山に使えば入浴ができ良いかもしれない。熊倉山へは谷津川林道コース、城山コース、日野コースの3ルートあり今日は山数を稼げる城山コースを取る。先ず谷津川林道コースが分岐しているが、しっかりした林道ではなく林道跡のような登山道だ。しかも途中に崩落があり通行止めで熊倉山へは到達できない。林道コースが分岐するとこちらの林道も傾斜が急になりヘアピンカーブを繰り返す。斜面を攀じ適当にショートカットし城山の南直下に達した。斜面を這い上がとうと取付きを物色するが急過ぎて取り付けそうもない。林道が尾根を乗越す少し手前に取り付き点を求めて何んとか這い登った。稜線に到ると整備された登山道に飛び出した。

尾根分岐点からしっかりした道があるようだ。山頂部は熊倉城本丸の跡で人工的に平坦にしたような地形に空濠で仕切られ南曲輪が付随している。案内版によると中世の山城で文明12(1480)年6月扇谷上杉氏の家臣大田道灌が長尾景春の籠るこの城を攻め落としたとされている。この城には井戸がなく谷津川から引水している水路を発見され断たれのが落城の原因だったそうだ。

 

来た道を引き返し尾根分岐点に下りると広場になっていて此処まで車で来て登りだすこともできそうだ。熊倉山登山道に入ると暫くはなだらかだったが直ぐに急登が始まる。熊倉山までの3㎞は目標物もなく標高差820mを只管登る。2.5万図ではP1238の直前で谷津川を登って来るもう一つのコースが合流するはずだが最早完全に失われたのか案内はなく道形も全くなかった。熊倉山(1,427m)直下はまた更に急登で這い上がり山頂に達した。3等三角点「蝉」が置かれ和名倉山方面が展望できる。昨日に続き寒風厳しく秩父市の最低気温が氷点下3.6℃なので熊倉山では氷点下10℃、酉谷山では同12.6℃と云う計算になる。何時もの軍手では耐えられず、防寒手袋と耳あてはするが汗をかくので上はシャツ1枚で縦走を続ける。

 

この先酉谷山までは4.4㎞、目立ったピークは4ヶ所、名前のあるのは最後の小黒(1,650m)のみだが山頂を示すものはなく展望もない。テープに従い大血川峠に下るが赤テープを辿ると東尾根に行ってしまい断崖に阻められてしまった。無理にトラバースを敢行し何んとか大血川峠に出ることができた。酉谷山(1,718m)への登りもまた厳しい。白久駅から5時間掛けて漸く長沢背稜に達した。酉谷山は平成14年以来10年ぶりだが殆ど記憶に残っていない。2等三角点「小川」があり南側の展望が良く奥多摩の大岳山、御前山や石尾根の山々、そして富士山も見渡すことができる。昼食休憩とするが風が凪いで太陽が暖かい。

 

前回は東側の酉谷峠から稜線南側の巻道を歩いたので日向谷ノ頭と坊主山はピークを踏んでいない。今回は稜線を忠実に辿り登頂しなければならない。酉谷峠から登り返して日向谷ノ頭(1,702m)に達するが木立の中で展望はなく、山頂を示すものもなかった。坊主山も同様だが若干木の密度が低く、山頂標識がある。引き返して日向谷ノ頭との鞍部から赤岩ノ頭、矢岳の尾根(赤岩尾根と仮称する)に入る。登山道は赤テープがあるだけで指導票は無い。しかも登山地図は赤点線道で「この山域は遭難事故多し、初心者のみの入山は危険」と書かれている。2.5万図からは読み取れないが岩場のアップダウンが続き確かに険しい。

 

まずは牛首への100m余りの下降、登り返したピークからは小黒(1,650m)の全姿が初めて見ることができた。展望のない立橋山(約1,530m)からは北西に立橋尾根が分岐する。赤岩ノ頭(1,448m)は赤テープに書かれた山名表示でお粗末。山頂の北で烏帽子谷を下る登山道が分岐するがこれも赤点線道だ。矢岳(1,358m)は3等三角点「南山」があるが最高点より1m程低い処に設置され山岳標高としては1,359mはあるだろう。デンゴー平の鞍部までは小さなコブはあるが370mの下降、この鞍部の辺りから北600~700mの間は東側が伐採され展望が良く武甲山、小持・大持、有間山、長沢背稜が遮るものなく見えて素晴らしい。伐採木の運び出しは既に終わり裸山として次世代の植樹が待たれている状態だった。伐採地帯の最高所P1040は思いがけず山名があった。“篠戸山”とテープにマジック書きながら記されていて此処も登山数に加えた。

 

赤岩尾根も漸く行程半ば、標高も1,000mを切り送電線を潜ると“クタシノクビレ”、「クタシ」とは何だろう片仮名では全く意味不明、名前があるくらいの括れなので登り返しも100m弱あり、クたビレる。登り返すと大反山(854m)で杉林の中に3等三角点「大反」がある。時刻は15:50、冬の日差しは傾き、日の入りまであと1時間、行程はまだある。此のエリアの登山地図はコースタイムが辛い。大概のエリアなら休憩込みで相当時間短縮できるが此処は短縮できる幅が小さい。昨日もそうだった。陽が暮れるまでに里に下りたい。

 

北に下ると鳥居があり、祠が3つ祀られている。此処から登山地図では武州中川駅に向けて下りていくが赤岩尾根は右に続いている。此処まで来れば尾根の先端まで行ってみたいし先には若御子山もある。登山地図から道は無くなったが赤テープは続き踏跡もある。問題なく若御子山(730m)に達し、その先の峠で再び登山地図に描かれた道と合流した。此処を左に行けば当初の予定通り武州中川駅だが、更に先端迄行くと浦山ダムに下りられる。時刻は16:15先端部の魅力と車道に早く下りられそうなので直進しP606に向かった。しっかりした道で展望台に達する。国見の広場と標識があり展望台もあるが木が育ち余り展望は良くない。ピーク性があり名前があるので此れも1座としてカウントした。

 

遊歩道で尾根の先端近く迄進み東側の急斜面を大きくターンを繰り返しながら下り16:37暗くなる前に浦山ダム登山口に下り立つことができた。対岸には昨日登った城山(705m)とダムも見え、山端には月齢14.4日の満円い月が登って来た。後は車道歩き2.9㎞、浦山口駅に到着したのは17:08、既に薄暗くなっていた。そして今日の10時間を超える長丁場の山行は誰も人に会うことがない孤独な山行だった。

 

3日目(1/9): 伊豆ヶ岳

【行  程】 △飯能6:35-6:45武州横手6:47~7:09三角天~7:12カマド山~8:20天覚山~9:08大岩~9:20大高山~10:27板谷ノ頭~10:45堂平山~11:16久々戸山~11:50子ノ山12:10~12:59中ノ沢ノ頭~13:16高畑山~13:43古御岳~14:00伊豆ヶ岳~14:17五輪山~10:28小高山~14:58正丸山~15:06川越山~15:49正丸16:08-16:40武甲温泉18:10=西武秩父18:25-15:06東京22:10=(▲プレミアム・ドリーム)=5:38京都

【山データ】  天候 快晴 歩行 23.8㎞ 9時間02分 延登高 2,231m 延下降 2,041m 17座登頂

 

西武秩父線の南に連なる山脈は総称して名前はあるのだろうか、武蔵横手の南西にあるカマド山から伊豆ヶ岳を越えて旧正丸峠へと縦走する。仮に西武秩父線南尾根としておく。今日の日の出は6:50、その3分前に武蔵横手駅を出発しカマド山(293m)に登る。登山地図に道も載っていないほんの里山で関西から来る人などいないだろう。山頂域に達すると“三角天”と標識のある小さなピーク、地元の通称とある。標高は約290m、1座としてカウントした。カマド山は3等三角点「白子」が置かれ少しだけ展望がある。P303でその西武秩父線南尾根に乗り北西に進む。この尾根は伊豆ヶ岳(851m)を最高峰とする低山ばかりだが詳細に2.5万図を見ると何んとも細かいアップダウンが連続している。殆ど樹林帯で展望もなく只管歩くだけ。

 

徐々に標高が上がり最初の“仕事”は東峠から天覚山(445m)への登り返し、トレイルランナーが追い越して行った。山頂に着くと追いつき“早く行けよ”と視線を向けると意思が通じたのかそそくさと出発して行った。反対方向から来た女性は名古屋マラソンに出るので練習がてら来たけれど此の地形で殆ど走れないとこぼしていた。トレイルランナーが練習するにはこう云うアップダウンは練習には最適の地形なのかもしれない。3等三角点「天覚山」があり南方向が開かれ丹沢や奥多摩、長沢背稜の山々が見渡せる。次の大高山までの2.4㎞の間に2.5万図でも判別できるピークが7つはあり一筋縄ではいかない。アップダウンを嫌う人用に巻道が付けられている処が多い。折角縦走しているのだから丁寧に稜線をトレースして行くべきだろう。大高山直前のピークに大岩と標識がある。此れもピーク性があるので山数にカウントした。忠実に歩くと拾い物があり楽しいものだ。

 

大高山(493m)も樹林帯で特段何て云うこともない山だが、歩き始めて3時間、もうお腹が空いてパンを齧った。車道が横断する手前のピークは北側が少し開けている。前坂では吾野駅から中沢に通じる道が横断し、少し進むと石灰石を掘る吾野鉱山の上部に出る。発破を警告する看板があり登山道は稜線を外し南側に付け替えられたようだ。一旦車道に下り200m弱進み採掘跡のような囲いの横から登山道に戻る。北側が切り立っており樹林の薄い処からは此れもまた何んと云うのか分からないが八高線西武秩父線の間の尾根(仮に西武秩父線北尾根としておく)が光線状態も良く見ることができる。3等三角点「吾野」のあるピークに達すると「板谷ノ頭」とマジック書きで記されこれも1座とカウントした。

 

進路を南西方向に取り縦走路からはみ出したこんもりした山、堂平山にアルバイトする。板谷ノ頭から900mだが小ピークを3つも越えねばならない。堂平山(520m)の広い山頂域の最高所に木のプレートが括り付けられてあったが展望はない。縦走路に復しアップダウンを根気よくこなし西に進むが登山地図には前坂からこの辺りは赤点線道で所々“迷”マークがある。だが道はしっかりしており迷うようなことは無い。P538のピークには“久久戸山”と表示があり又もや1座儲けた。お寺の鐘の音が近づいて来た、子の権現の鐘のようだ。連続して登りが続き子の権現参道の車道に出た。此処は天台宗のお寺で正しくは大鱗山雲洞院天龍寺と云い延喜11(911)年創建のお寺。大わらじや鉄の大下駄が本堂脇に祀られている。子ノ山(653m)山頂には奥の院がありその傍らの鐘楼の鐘は誰でも撞くことができるので不規則に時々聞こえていたものだ。注意書きに「2分以上間隔を空けろ」とあった。連打は山火事や緊急を知られる意味があるかららしい。

 

奥の院の裏で昼食を摂った。展望がよく今日歩いて来た山々が見渡せ天覚山は遥か彼方になっている。良く歩いて来たものだ。今日は風がなく割と穏やかだ。藁葺の庫裏は風格がある。其の横から縦走路に戻り暫く歩く林道からは武川岳、古御岳、伊豆ヶ岳が遮るものなく望むことができる。此処からは吾野駅を起点とする関東ふれあいの道(伊豆ヶ岳を越えるみち)のエリアとなり正丸峠まで続く。その先は同(峠の歴史をしのぶみち)で指導標は断然しっかりしている。愛宕神社のあるピークを越え、車道が交差すると其処は天目指峠(あまめざすとうげ・490m)で東屋もある。中ノ沢ノ頭(623m)は3等三角点「南川」があるが展望は無く、高畑山(695m)も展望は無く樹林帯が続く。

 

いよいよ今日の核心部に近づいた。180m余りの登り返しで古御岳(830m)に達する。“御岳”の名があるので信仰の山かと想像していたが宗教施設は無く東屋が設置されていた。遠くから見ると綺麗な円錐形をしており北にある伊豆ヶ岳と双耳峰を為している。木立で残念ながら展望は無い。歩を進めて今日の最高峰、伊豆ヶ岳(851m)に登る。急登の斜面を100m登り返す。山頂直前に山伏峠への分岐がある。平成13年2月に来た時はこの道を武川岳へと歩いた。そのときは結構雪があったのだが・・・3等三角点「伊豆岳」のある山頂からは大持山、小持山、武川岳、甲仁田山などの展望が良い。

 

伊豆ヶ岳からの下りは男坂と女坂があり、以前は男坂の岩場を登ったが、崩落があったとかで通行止め、女坂も一部通行止めで迂回路を通り途中から女坂に入った。男坂と合流した先のピークには思いがけず“五輪山”と標識があり、また1座GETした。小高山(750m)も展望は無いがそのすぐ北で甲仁田山や正丸山が望める。正丸峠は車道が横断しており傍らには茶屋がある。以前はこの道が国道299号線だったようで正丸トンネルの開通で静かになったようだ。峠を越えると展望台があるが殆ど展望は利かず訪れる人もいないようだ。

 

正丸峠の北に登山地図には川越山(ガンゼ山)があるが現地では正丸山(780m)の標識があり、その先の3等三角点「秩父」の位置に川越山の標識があった。どちらも展望は利かずあまり此の違いに関心を持つ人もいないのだろうか。旧正丸峠は正真の山道で此れが唯一の道だった時代は秩父と飯能を往来する人でさぞ賑ったことだろう。今日の縦走も後は正丸駅へ下るだけ。当然気になるのが列車の時刻、16:08発に乗りたい。後55分、コースタイムからすると10分短縮しなければならない。急ぎ足で歩くと案外なもので36分で着いてしまった。

 

今日も良く歩いた。最高峰851mなので軽く考えていたが延登高は昨日とさほど変わらなかった。疲れた体は温泉に限る。横瀬に行って武甲温泉に入ろう。 《山紀行757》

 

【登山データ計】  歩行 65.8㎞ 27時間37分 延登高 6,323m 延下降6,105m 39座登頂

 

20120107秩父1

写真1(1/7): 武甲山(1,304m) 高ワラビ尾根より

 

20120107秩父2

写真2(1/7): 橋小屋ノ頭、有間山(1,214m)  滝入ノ頭より

 

20120107秩父3

写真3(1/7): 藤棚山の向こうにスカイツリー・東京都心(蕨山東峰より)

 

20120107秩父4

写真4(1/7): 秩父さくら湖と城山(浦山ダム登山口より1/8撮影)

 

20120107秩父5

写真5(1/8): 両神山浅間山(酉谷山北尾根より)

 

20120107秩父7

写真7(1/8): 武甲山(1,304m)、小持山、大持山(篠戸山より)

 

20120107秩父8

写真8(1/9): 大高山、板谷ノ頭、堂平山、奥に天覚山(子ノ山より)

 

20120107秩父9

写真9(1/9): 武川岳、古御岳、伊豆ヶ岳(子の権現林道より)