京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

NO.3609 夏山合宿 Cプラン 北アルプス岩井谷・赤木沢  

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(赤木沢)

 

2016年8月10日(水・夜)~14日(日)  ※合宿ポイント

【参加者】CL 52期小松久剛  46期長野浩三 58期吉田史和  計3名

 

【天候】いずれの日も晴れ

【記録】

 2年前に悪天候のため敗退した同コースに再度挑戦した。

 2年前はそもそも前線がアルプス北部にかかり、全く天気が読めなかったが、今回は全ての予定日において晴れの予報が出ており、それだけでかなり気が楽であった。

10日 2030分に御池ロッジ発、1時前に有峰林道亀山料金所に到着しゲート前に車を並べたまま前夜泊。

11日 6時ゲート開門、第2駐車場に駐車。上坂隊、田中隊とも挨拶し、730分に岩井谷林道に入る。825分岩井谷出合着。

 今回は3名ともラバーソールであったが、よく岩にグリップした。

 鳶谷出合まで遡行した後は竿を出すが、直近に人が入ったのかあまり食いつかず。

 13時頃二俣着。この時点で釣果4。ゴルジュ付近は幕営地に乏しいと判断し、河原に幕営地を定め、荷物を置いて吉田、小松が釣りに出る。長野は幕営地で昼寝。

 二俣付近はコンスタントに釣れ、1430分頃までにさらに釣果5が出たので、幕営地に引き返す。今回渓流釣り初体験の吉田も小松の道具で釣りをしたが、釣果4と好調だった。

 このあたりでガイド2名と女性3名のパーティーとすれ違う。女性3名は全くの初心者のようで、大変そうだった。

 幕営地では毎度おなじみの各種串焼き、飯ごうで炊いたご飯に加え、岩魚の塩焼きも並んで、焚き火を囲み、贅沢な夜となった。

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(焚き火でイワナを焼く)

 夜は河原で各自露天で寝た。満点の星空の下、気分は最高だったが、夜風が寒く、時折目が覚めた。

 

12日 4時半起床、6時半出発。二俣を左に入ると巨岩のゴーロ帯となる。北アルプス入門の沢と思ってやや油断していたが、巨岩の乗り越しは結構渋い箇所もあり、ショルダーやお助け紐を適宜出した。長野の的確なルート読みでスムーズに突破することが出来た。

 740分頃ゴルジュ入り口に到着。ゴルジュは入り口から両岸スラブの中に排水溝のような水路が走り、引き返すことを考えるとゴルジュに入ることすらためらわれたため、745分頃から巻きに入る。

 

 

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(ゴルジュ)

他会の記録では右岸巻きという記録が多かったが、ゴルジュ入り口まで来てしまうと右岸巻きルートは見出せず、ゴルジュ入口横の左岸の斜面を巻き上がった。概ね容易だったが、一部バイルを泥にさして登る箇所もあった。

 小尾根に乗って少し上がると緩斜面が見えたので、笹薮をこいで下ると、835分頃ゴルジュすぐ上の滝の上の河原に歩いて出ることが出来た。おそらくこれ以上短く巻くのは無理ではないかと思う。

 ゴルジュの上はひたすらに長い河原歩きが続き、小滝は複数あるものの、特筆すべき点はなく、水に浸かって体を冷やしながら遡行し、1150分頃、薬師峠のトイレ横に出て遡行終了となった。

 その後は先着していた上坂さんと談笑したり、太郎平小屋に行って生ビールを飲んだりしてダラダラ過ごし、7時半頃就寝。今回はモノポールテントで幕営したが、夜はやや肌寒かった。

13日 4時起床、540分頃出発。610分頃太郎平小屋着。ここで帰京する長野と別れ、薬師沢小屋まで登山道を下降、720分頃薬師沢小屋着。

 740分頃入渓。黒部川上流は水量が多いと渡渉が大変そうだったが、今回は水量が少なく、途中2m程度の滝がある箇所のみ、お助け紐を出した。それ以外は特筆すべき点もなく、830分頃赤木沢出合着。途中、岩井谷で見かけたガイドパーティーを追い抜かした。その他4パーティーほどが入っている様子であった。

 

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(赤木沢出合の泳ぎ)

 赤木沢は入り口が滝と深い淵になっているため1mほど泳いで中に入ることになる。岩井谷もそうであったが大峰などと比べると水が冷たく、長い間水に使っていることができないほどだ。

 赤木沢に入ると真青な空に白い滝が映える美しい風景がひたすらに続く。

 

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(赤木沢)

 空の開けた谷に多段のナメ滝が次々と現れ、非常に美しいが、技術的には問題となる箇所はなく、ほとんどの滝が直登できる。

 

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(赤木沢途中の滝)

 一方で、最低限のルートを見極める能力は当然必要で、途中1パーティーが、右岸を巻き上がりすぎて尾根に達してしまい、降りられなくなっているようであった。

 10時頃大滝に到着。大滝も滝のすぐ右側に明瞭な巻き道がついており、5分ほどで安全に巻くことが出来た。

 

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(赤木沢大滝)

 大滝を越えて2本目の沢を右に入ったが、その先でルートをミスし、左から入る枝沢に入ってしまった。途中ハイマツの藪漕ぎなども少し交えたが、概ね笹原歩きで、急登をこなして1130分頃赤木岳すぐ北の稜線に出ることが出来た。

 

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(稜線間近)

途中雷鳥を追いかけたりしつつも淡々と稜線を歩き、1250分頃太郎平小屋に到着。生ビールを飲んだりカレーを食べたりしてダラダラし、1330分頃薬師峠に戻り、合宿と合流した。

 他隊も続々と合流し、談笑したり、酒を飲んだりして楽しく時間を過ごすことが出来た。

14日 3時起床、集合写真を撮ったりして5時発。16人もの大パーティーで太郎平小屋まで進む。

 

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(大パーティーで太郎平小屋へ進む)

 530分太郎平小屋出発。尾根を淡々と下り、730分頃折立に到着した。  

 

【感想】47期 長野浩三

 2年前敗退した岩井谷を遡行できたのよかった。巨岩はあるもののそんなに難しくはないと認識していたが,途中の巨岩の乗り越しや左岸からの巻きなどちょっと渋いのもあって楽しめた。巻きでは小松さんの的確なルートファインディングで最小限で巻けたのはなかなかだった。たき火で串焼きはいつものことだが楽しかった。イワナは2年前は馬鹿釣れしたのに,今回はもう一つで1匹小さいのが釣れ,ある程度の大きさのものはばらしてしまった。久しぶりのアルプスだったが,沢なので暑くもなく快適な山行だった。またご一緒願います。

 

【感想】58期 吉田史和

岩井谷では、遡行途中に渓流釣りを初めて経験。さばき方まで教わり、大変貴重な経験となりました。また、核心部のゴルジュ巻きでは、先輩2人の正確なルート取りもあり難なく突破できました。改めて2人の凄みを実感するとともに、自分の無力さも実感しました。

3日目の赤木沢は本当にきれいな滝、ナメの連続で、心弾む沢歩きを堪能。青空の下、あの素晴らしい光景は一生忘れません!

文句なしの天候のもと、小松リーダー、長野さんという強力な2人に引っ張られ、充実の沢登りでした。本当にありがとうございました!

 

【感想】52期 小松久

 私にとっては初めての合宿参加となりましたが、いろんな山に行っていた仲間が一つのテン場に集まってくる、というのは思った以上に連帯感も感じて楽しい経験となりました。

 同時に、運営はさぞ大変であったろうと思いました。上坂さんを初め、運営に携わってくださった皆様に感謝いたします。ありがとうございました。

 今回は北アルプスの入門の沢を2本まとめて遡行しましたが、岩井谷はゴルジュ付近のゴーロ帯の通過やゴルジュの巻きが思ったより厳しく、ピリッとしたいい遡行となりました。

 赤木沢はどこまでも美しい沢でしたが、思ったよりも短く、また、難しいところも全くない沢だったので、若干物足りなさを感じました。

 遡行そのものの充実度だけで言えば、鈴鹿の赤坂谷・ツメカリ谷のほうがあるように思えるほどでした。

 やはり私は、どこまでも解放的で爽やかな沢よりは、イワナの体臭や苔のにおい、巻きの最中に体中にまとわりつく泥臭さのような、文字通り「泥臭い」沢に愛着を感じてしまうようです。

 イワナがえさに食いついたときに感じる、生き物の手ごたえ、いつまでも眺めていたくなるような温かい焚き火、木のはぜる音、河原でゴロ寝しながら、ずっと眺めていた満天の星空、今年もまた一つ、忘れられない思い出を作ることが出来ました。

 同行して下さった長野さん、吉田さん、ありがとうございました。

 また、沢に行きましょう。