京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3941 百里ヶ岳 スノーシュー

2022年2月12日(土)

百里ヶ岳山頂にて

【メンバー】CL 秋房伸一、鹿嶽真理子、木内真佐子、梅木一利 会員4名

【行程】2月12日(土)晴れ/曇り ロッジ前6:30=朽木生杉(デポ地)8:10~10:10 P805~10:40高島トレイル合流地点~11:25百里ヶ岳12:00~12:53 P805~14:30デポ地=京都

【記録】52期 秋房伸一
以前もスノーシュー例会で百里ヶ岳に登ったが、その日は雪も降って、ラッセルで時間が押したうえに、山頂は真っ白で何も望めず、山頂を確認して急いで引き返したことを覚えている。
今年は、積雪量が多いので、大変かもしれないと、半分心配していたが、大量の雪が締まって、スノーシューの沈みはわずかで、誠に歩きやすいコンディションだった。
登り口の集落をスタートして、地図の夏道では小川を右岸から左岸に渡るようになっていたが、小径の終点である堰堤のところまできたところ、渡渉地点が見つからない。
地形図アプリでよくよく見ると、堰堤の上を渡るようになっているようだが、堰堤には雪が山のように積もっており、不可。地形図をみて、今いる堰堤の山側斜面を直登した支尾根を登って夏道ルートと合流することにした。支尾根へは急登であった。
合流地点に来てみると、なんと、スノーシューの軌跡があった。人の軌跡の無い雪面を進むのがスノーシューの醍醐味だと私は思っているので、ちょっとがっかりしたが、雪が締まっていて軌跡も見苦しくなくて気持ちを立て直した。フカフカの雪に先行者の跡がボコボコ付いていたら、とても残念だが。
1ヶ所、若干手間のかかるギャップがあったが、他は歩きやすい斜面で、予想していたよりも断然早く、山頂に着いた。山頂では男女4人のパーティーと出会った。360度の眺望で、伊吹山や白山の姿が神々しかった。
復路は、車道の峠付近に出る夏道正規ルートに降りるのか、往路と同じルートにするか思案したが、夏道ルートだと車道歩きが長くなるので、往路ルートにした。といっても急斜面を降りることはせず、尾根に忠実に進んだところ、困難なく出発地点に戻れた。
住民の方が、パワーショベルで除雪作業をされていて、それをみると、改めてすごい積雪量だとわかった。背丈ほどあり、スノーシューでは楽々だったが、なければとても歩けないだろう。

穏やかな尾根で眺望が広がる

【感想】64期 梅木一利
天候にも恵まれ、雪の百里ケ岳はとても気持ちの良い山でした。
この時期にあっても山には新雪のような深い雪が残っているものだなと思っていると、中腹あたりから素晴らしい眺望が目の前に現れました。雲海に覆われた琵琶湖にはかすかに竹生島がぽっかりと浮かんで見え、雲海の上では雪をかぶった伊吹山や霊仙山から連なる鈴鹿山脈の山々が威風堂々と佇んでいました。 
百里ケ岳とは、雄大百里四方が見渡せることから名付けられたようですが、はたしてその名に違わず、山頂ではさらに奥にある白山連峰までくっきりと見渡せました。遠方にばかり気をとられていると、手前にいる武奈ヶ岳あたりが俺もいるぞとばかりに山容を表していたのは少し可笑しく感じました。
今回の例会では、急斜面での下降時の足の力点に改善を意識してみました。
前回の経ヶ岳で氷化した湿り雪の急斜面の下降に窮屈さを感じたので、今回急斜面でのトラバースや湿り雪状態での足の置き方について、秋房リーダーからアドバイスをいただき実践で確認できたのは勉強になりました。ありがとうございました。
歴史小説好きの私にとって、この朽木村という土地はとても興味深いところです。その朽木村をとり囲み息づいている蛇谷ケ峰、三国岳、経ヶ岳、そして百里ケ岳にて冬の雪山登山を始め、スノーシューを履いて歩き回ることができて嬉しかったです。
秋房リーダーをはじめ、例会でご一緒させて頂いた皆さまには色々とアドバイスを頂き、また楽しい時間を過ごさせていただき本当にありがとうございました!

 

集落の方が、ショベルカーで除雪中

【感想】54期 鹿嶽眞理子
今期二度目のスノーシューハイクに参加させていただきました。晴天に恵まれ、雪質はちょっと固めでしたが、伊吹山や白山等の素晴らしい景色も見えて最高でした。途中からスノーシューの踏み跡があり、バージンスノー好きのリーダーにはちょっと物足りなかったかもしれませんが、体力のない私には楽に行けて助かりました。百里ヶ岳は山頂の景色も抜群だし、冬場も割と登る人がいるんですね。最近軟弱な山に登ることが多かったせいか、下りで足が攣り、だましだまし下りました。もうちょっと体力をつけないとだめだなあと思った山行でした。


【感想】64期 木内真佐子
今シーズンは雪が多く急遽追加された秋房リーダーのスノーシュー例会に参加させていただきました。
百里ヶ岳の名前はよく聞くと思っていたら6月の小前さんの例会で行く予定が天候で中止となった山。アクセスが不便なイメージで更に積雪時となると個人では行きづらいので例会で行けるのはありがたいことです。
車を停めた集落は豪雪地帯で道路脇は雪の壁が出来ていました。登山道へ行くのに堰堤が積雪で渡れないため近くの急斜面を激登りして尾根に出ました。私は最後尾でラクさせていただきました。
尾根に上がると急斜面からは想像出来ないくらい気持ちいい尾根に出ました。一回目のスノーシュー例会のときと違って雪は固くて沈みにくく歩きやすい状態でした。私は前日大山で足の疲れが残っていたため正直ホッとしました。
途中から正式な登山道に合流するとそこからはトレースがあり、途中は伊吹山や琵琶湖や武奈ヶ岳などが見える展望ポイントがたまにあり、風もなく寒くないのでその度に写真を撮ったり楽しみながら歩くことが出来ました。
山頂では白山も綺麗に見えて最高の景色でした。お昼ご飯を食べて下山しました。
参加された皆さん、秋房リーダー、ありがとうございました。

No.3939 朽木 経ヶ岳 スノーシュー

2022年1月29日(土)

朽木経ヶ岳山頂にて

【メンバー】CL 秋房伸一、TW、梅木一利 会員3名

【行程】1月29日(土) 曇り ロッジ前6:30=朽木桑原(デポ地)8:12~8:35桑原橋(高島トレイル便所前スノーシュー装着)~10:35丹波越(稜線)~11:00経ヶ岳11:28~11:46丹波越~12:33桑原橋~13:00デポ地=京都

【記録】52期 秋房伸一

3週連続のスノーシュー例会。今年は、雪がちゃんとあって、予定通り開催できて本当にありがたい。

先週と同じ場所にクルマをデポ。

積雪はたっぷりだが、春山のように雪が締まって重くなっていた。登山口からいきなりの急登をこなす。新雪ラッセルが無く、予定よりかなり早く山頂に着いた。

経ヶ岳の山頂はわかりにくく、一度通り過ぎてから、地形図アプリに頼って、山頂を同定し、注意深く周囲を探すと小さな山名標がみつかった。山頂は平らで、積雪期ならどこでも歩けるので、山名表示から離れたところを通過してしまっていたのだ。

眺望はさほど得られなかったが、静かな真っ白の山頂を満喫して、下山した。3人でサクサク進み、下山時刻は予定通り山頂を踏んだ例会の中では、自分史上、最も早かった。

気持ちの良い尾根

 

【感想】57期 TW

久しぶりの例会。バテてご迷惑をおかけするのではと心配していましたが、軽快なお二人の足取りにつられるまま、快適に登下山できました。

経ヶ岳ピークは樹々が塞がり展望は望めませんでしたが、行き来にすれ違う人もなく、足跡のないまっさらな雪面をフカフカ浮かび歩く感覚、サクサクと思いのままに進める開放感を味わえて満足の一日でした。スノーシュー、やっぱり楽しいですね。

秋房リーダー、梅木さん、ありがとうございました。

下山で、ほっこり。

【感想】64期 梅木一利

大雪を降らせた寒気もちょっとひと休みといったところで、晴れ間が続いたせいか、

朽木桑原集落を覆っていた積雪も随分と溶けていました。経ケ岳に残る雪質は、前週までのそれとは明かに異なって、湿り雪の状態でした。

今回の経ヶ岳スノーシュー例会は参加者が少ないため、これは絶好の機会とばかりに、先頭者となりトレースのない雪の中をどの程度の距離を登り続けることができるものか挑戦してみることにしました。

いきなり角度のある急登から始まり、足場に崩れ落ちるずっしりと重い湿り雪を振り払いながらの登りには労力を費やしましたが、繰り返すうちにすこし要領を得たようで雪山スノーシューの楽しさが増し始めています。

ふと思いました。夏山などでは決められたルートを歩くことが多いですが、雪山は自分の意思でルートを刻むことができます。雪山を歩くことは、意思が試され、山の自由さを強く実感できるのがその醍醐味に感じました。

新年スノーシュー例会を三週連続で参加しました。秋房リーダーが推奨される「MSRライトニングアッセント3本ストラップ締め」男性用25インチはすでに市中在庫がなく、今後の入荷見通しも立たない状態です。日本全国でも数セットしか残っていない「メッシュ式最新モデル」を急遽購入しての例会参加となりました。

秋房リーダーには装備購入の段階からいろいろとアドバイスを頂き、本当にありがとうございました! ひとつ冬の楽しみができたようです。

No.3938 朽木 三国岳 スノーシュー

2022年1月22日(土)

カフカの雪面を下る

【メンバー】CL 秋房伸一、丸山 弘、NH、梅木一利 会員4名

【行程】1月22日(土) 曇り ロッジ前6:30=朽木桑原(デポ地)8:40~9:02桑原橋(高島トレイル便所前)-スノーシュー装着-9:20~登山道地点9:45~12:30三国岳~13:38林道~14:00桑原橋~14:32デポ地=京都

【記録】52期 秋房伸一
地形図には朽木エリアに「三国岳」が2つ記されている。どちらも「高島トレイル」エリアにあり、ややこしい。
北方にある776mの三国岳は、今でいうところの京都府滋賀県福井県丹波と近江と若狭の国境に位置するので、もっともだが、今回の目的地の959m「三国岳」は何故にそうなのかと思って調べたら、近江(朽木)と丹波(美山=南丹市)と山城(左京区久多)の境だからだと判った。久多が山城というのはピンとこない。幕藩体制期には久多は近江朽木藩領であったが、明治になって京都府愛宕郡編入され、山城の最北端ということになっている。
今年は積雪状況に恵まれ、久々の圧雪走行。除雪車とすれ違ったりしながら、ソロソロと走り、デポ適地を探した。
デポ地から登山口までも、道路沿いには雪の壁があり、ワクワクした。
除雪していない箇所には即刻スノシューが必要な状況で、高島トレイル便所前ですぐに装着。
丸山さんのスノーシューのストラップが切れたが、用意していた結束バンドでことなきを得た。
針畑川右岸の林道歩行の後、地形図アプリを頼りに三国岳に取り付く。登山道もあるようで、案内の杭もあったが、積雪が多くてどこが道なのか判らず、適当に斜面を登った。
カフカの雪を先頭交代しながら登り、三国岳には昼頃に着いた。山頂からは伊吹山や比良の山も望めた。おにゅう峠等北方の展望が開けた箇所もあった。
下りはサクサクと小一時間で登山口に到着し、余裕の行程で帰宅した。

先頭交代しながら登る

【感想】43期 丸山 弘
久しぶりに出動させたスノーシューが、持ち主同様の経年劣化でバンド8本中4本が切れてしまい、いきなりリーダーの結束バンドのお世話になる羽目に。帰宅して早速バンドを全て取り除いて細引きとリユース型結束バンドで修理しました。ビンディングも劣化すると早晩破損するようなのでシビアな山域に行くなら買い換えた方が良さそうです。
高島トレイルは無雪期も含めてほとんど歩いていないので琵琶湖と若狭湾の両方が見下ろせる展望が新鮮で、しかも新雪がのった直後の無人のルートを歩けたのはラッキーでした。リーダーやメンバーの皆様お世話になりました。

三国岳にて

【感想】64期 梅木一利
前週の朽木蛇谷ケ峰例会に続き、二週連続で三国岳例会に参加しました。三国岳の深い新雪はまるで真綿の上を歩くようで、天候にも恵まれたせいか、清しいものを感じました。なにか長い間忘れかけていたものを見つけた時のような感じです。
今回の例会では、前週のスノーシュー初挑戦での気付きや不足していた装備を揃えて、ひとつひとつ改善を確めながら、雪山歩きを楽しむことができました。
スノーシューを装備している時の足の運び方や身体の捌き方に意識をむけながら、
できるだけ労力を使わない省力歩行を自分なりに試してみました。少し身体が装備の扱いに馴染んできたかと思います。
今回の例会では、秋房リーダーをはじめ、丸山さん、NHさんとご一緒して、車中での数々の冬山雑談や四方山話がとても楽しくいろいろと勉強になりました。
精進いたします…。次週の経ケ岳例会も雪山歩きを楽しんでみたいと思います。

No.3935 南八ヶ岳テント泊例会 ※テント泊ポイント

2021年12月29日(水)~30日(木)

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行者小屋前のテント場

【場所】長野県 南八ヶ岳

【メンバー】CL 43期 丸山 弘 62期 FD 63期 TM 64期 KM 計4名

【行程】29日(水)〈晴れのち雪〉

3:30 山科丸山宅出発―5:30 S.A.で朝食―9:00 やまのこ村駐車場―11:30 行者小屋前テント場 テント設営―13:00 文三郎尾根を登る―14:30 赤岳主稜へのトラバース点まで登ってから下降開始―15:30 テント場帰着 夕食・就寝

30日(木)〈雪〉

4:00 起床 朝食―6:20 テント場発―6:50 中山展望台着 簡易ハーネスと補助ロープを用いた雪壁での確保練習、ビーコン操作練習―8:00 テント場帰着 天候回復せず撤収開始―9:20 テント場発 南沢を下山―11:00 駐車場着―11:30 原村もみの湯で入浴―12:30 帰路につく―19:00 山科駅解散

【記録と感想】CL43期 丸山 弘

近年は合宿がなかなか実施できないため、新人カリキュラムの「合宿ポイント」は「共同テント泊2回」で代替できる規定になっています。

ソロキャンプを楽しむ会員は多いと思いますが、多人数でパーティーを組んでテント泊で登る場合(特に冬季)は共同テントを使わざるを得ません(狭い雪尾根に4人で4張りのソロテントを張るとするとスペースも不足し固定や防風壁づくりなど設営作業が大幅に増えるのに、それぞれの耐風力や耐寒力は低下)ので、その際の「共同テント特有の生活技術・ローカルルールとマナー、共同装備・共同食などの準備や分担のしかたとチームワークを学ぶ」のがテント泊ポイントの趣旨です。

今回はアプローチが短く、風雪等の条件が緩い行者小屋前のテント場を利用して例会を実施しました。

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中岳の彩雲

美濃戸口の駐車場はもちろん、美濃戸も赤岳山荘駐車場はすでに満車、一段下の「やまのこ村」になんとか駐車できて助かりました。恐らく数百人入山していたと思われますが、大半は赤岳鉱泉小屋+テント場に行ったようで、営業していない行者小屋前はテントも十数張りと余裕がありました。今回はテント泊ポイントですので、練習した内容と注意点を参加者の復習用に記録しておきます。

【設営から就寝までの注意点】

① 整地 出入口の向き

前日に積もった新雪が膝程度あり、前日のテント跡も使いながら整地して拡張。吹きおろしの風向きを考慮して入り口は西向きにしたかったが、通路が東側にしかなく、やむなく東向きに設営(やはり吹き流しが中に膨らんで厄介だった)

②テントの固定

稜線は雪煙が上がっていたが、テント場も5m程度の風はあり、装備点検会での深雪・強風下での設営練習の意味を理解していただけたと思う。今回は土嚢袋は用いず、十字ペグを埋める方法を練習した。踏み固めにくい柔らかい雪なので、踏み固められた場所の硬い雪を掘って運んでペグにかぶせる方法をとった。

ピッケル・アイゼン・ストックなど

夜間の積雪で埋もれた場合に備えて、見失わないようまとめて刺す。(ピッケルをペグの代わりに使うこともあるが、翌日テントを置いて行動する場合は不可)

④靴とスパッツ

凍結防止のためテント内へ入れる。(雪を払うタワシ必携)

⑤スコップ

氷化した雪も掘れる強度と切れ味のあるものを用意し、テント設営後は夜間の除雪に備えて入口横にさす(靴を履く時の手すりにもなる)

⑥テント内の荷物の置き方

個人装備をザックから出して散乱防止のため40ℓ程度のスタッフバッグにまとめ、生活時は90㎝×90㎝4個の田の字型に分割して荷物を置き、真中を調理スペースとする。 

⑦水の確保

行者小屋前なら凍っていなければ水場があるが、尾根に張る場合は雪しかないので、今回は水場の水を使わずに雪を溶かした。暗くなる前に土嚢袋などにきれいな雪を必要量(今回は約2㎏×4名分=8㎏ 夜間や朝に雪の補充をしなくても良いように計算)とってきて入口横の前室に置く(大き目のポリ袋でもよいが破れたり滑って動いたりするので土嚢袋が最適)

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⑧コンロの使い方

二酸化炭素による酸欠や不完全燃焼による一酸化炭素中毒に注意して、換気をしっかり行う。4人テントでも2台まで、大量の雪溶かし水はぬるま湯までにして、必要分ずつ汲んで、もう一台のコンロで沸騰させて使用した。燃焼中や消火直後のテント内移動や調理中のコッヘル手放しは厳禁。

ガスカートリッジは冬用のもの。寝る時は体で保温。コンロはイグナイターが点火しないことも多いのでマッチか火打ち石式ライターも準備。雪から大量のお湯を低温下で沸かす場合はガス量が増えるので余裕をもって準備したい。

⑨就寝時

就寝時は45㎝×180㎝(実際は底辺60㎝30㎝の台形)の4列になるように荷物を縦長に置く(ザックは中身を抜いて下に敷く)。夜中にトイレや雪かきに出る人を想定して寝る場所を決める。寒さに弱い人は冷える壁面を避けて真ん中にはさむ。調理時に作ったお湯は、最後に各自のテルモスに入れて夜間の飲み水にし、余ったら凍結防止のためシュラフの間に挟む。夜間は荷物を探れないのでヘッドランプと必要なものを手元に準備。スペースの関係で一斉就寝、一斉起床が原則。

【起床から撤収までの注意点】

⑩ 起床時

出発2時間前をめどに一斉起床。人が多いとトイレが混むので出発までに時間差で。トイレの無い場所で張る場合は滑落や迷子に注意。起床と同時にシュラフをたたんで田の字を復元する。朝は寒いのでヤッケ着用も。

⑪朝食時

湯沸かしからスタート。全員ができるだけ同時に食べられるように配慮。

食事とコーヒーが終わった時点で必要なお湯の量を計算して最後に沸かし(熱湯でなくてよい)、テルモスに配給(厳寒時はペットボトルでザックに入れていると凍って飲めない)

⑫出発準備

テント内で靴を履きスパッツを付ける。(雪の無い場所で作業した方が容易で、屋外にいる時間を減らせる)。テントを置いていく場合は必要な装備を確認してザックに入れる。(縦走時は全装備)テントを出てアイゼン装着など装備を整える。凍ったアイゼンは短時間で手をかじかませるので、暗くても冷たくても手袋をして手早くできるように。アイゼンを履いた人はテントに戻れないので待たせて寒い思いをさせないように。

⑬ 撤収

必ずアイゼンを外して撤収。装備を雪の中になくさないように注意して個人装備とザックを外に出し、室内の点検。設営と逆順に風にテントを飛ばされないように撤収。

今回はペグの結びが甘く、夜中にほどけ、一本見失いかけたがFさんの執念で発掘していただき無事回収できた。雪がついたテント類は、風雪時のオーバー手袋の作業では元の袋に入れにくいことが多いので、大き目の別袋を用意しておきざっとしまう。今回は土嚢袋を使用。忘れ物やゴミを残さないよう点検して出発。

前日までの寒気が少し緩んで、次の低気圧が来るまでの初日の15時前にピークを踏めないかと急ぎましたが、私の体力不足で登りペースが遅く、2時過ぎには中岳分岐から上がガスに隠れ、風も強まったため、登頂を諦め、阿弥陀北稜や赤岳主稜、横岳西面の諸ルートの形状や取りつきを観察して終了しました。

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文三郎尾根下部から見上げる赤岳

夕食は各自工夫したフリーズドライ系で簡単に済ませました。コロナが済んだらぜひ今度は鍋物を囲みたいと思います。食後は少しだけお酒も嗜んで早めの就寝となりました。

夜中から降り続いた粉雪はテント場で20㎝程度。樹林帯でトレースが7割方埋まっているので上は全部消えているでしょう。夜明け前に元気に出発する組、撤収して下山や縦走に出かける組、テント内で様子見組などテント場も様々でしたが、我々は6時に中山展望台へ向け出発。

展望台手前の少し急な斜面を使って立木やピッケルを支点としたロープ確保の練習を交代しながら行いました。

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ムンターによる支点ビレイ中のFさん

スタンディング・アックスビレイを今後使う機会があるかどうかはわかりませんし、実用に使えるまで練習するのも大変ですが、風と低温の雪中でオーバー手袋のままロープやカラビナを触って練習することは街では難しい体験なので、少しは意味があるかと思います。

その後ビーコン操作も少し練習し、8時にテント場に戻ったものの、朝から一度も山は姿を見せず、次第に風雪も強まってきたため、それ以上の行動はカットして撤収下山としました。

帰路の高速道路が渋滞で遅れたため、早仕舞と相殺して午後7時に解散できたのはラッキーでした。

今回は62期から64期の3名の比較的新しい会員さんと初めて雪山をご一緒しましたが、皆体力もあり、装備も適切でしっかりテント生活もこなしていただけました。車内でのお話も楽しく眠くならずに運転できました。どうもありがとうございました。

今回は私がブレーキでしたが、また好天時にピークを踏んでいただければ幸いです。

 

【感想】63期 TM

雪の舞う行者小屋でのテント泊でした。テントの設営から、荷物の整理の仕方、雪を溶かしてのお湯作りなど、あらためて学ぶことがたくさんありました。

テント設営では、まず雪面を水平にならすことがなかなか難しく、また丸山さん手作りのペグを雪のなかに埋める作業も、柔らかな新雪では抜けやすく、硬い雪を掘り出すなど、工夫が必要でした。荷物を整理して置くようにすれば、4人用テントで4人寝ることができ、夜間のテント内は意外に暖かく過ごせました。

文三郎尾根を登る途中で青空が覗き、白い稜線にかかる太陽に、雲が虹色に輝いてみえたのが心に残りました。トラバース地点から眺める赤岳主稜のルートは相当な迫力がありました。

立木やピッケルを使ってのビレイは、実際に体験してみると、立ち位置、体の向きなどを正確にとるには、仕組みをしっかり理解しておく必要を感じました。

テント泊装備を背負っての行者小屋までの往復が思いのほか辛く、体力をつける必要を感じました。また、下りが苦手なのですが、ピッケルの持ち方や使い方、アイゼンの使い方も教えていただいたので、これからに活かしていきたいと思いました。

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スタンディングアックスビレイ中のTさん

【感想】62期 FD

二年前の八ヶ岳例会では、文三郎尾根を登り切ったところで突風に襲われ、撤退を強いられた。今度こそはと臨んだ今回の例会だったが、またもや天候に恵まれず、無念の撤退となった。

一日目は正午過ぎに南沢から行者小屋前に入り、テントを設営した。積雪は豊富で、年末の寒波による新雪が軟らかく、整地とペグの設置に思いのほか手間取った。前回の例会は雪を入れた土嚢をうめるやり方だったが、今回は丸山さんお手製の竹ペグを使ってテントを固定した。さらさらの乾雪を踏み固めるのは至難の業で、締まった雪をかぶせようとの丸山さんの判断で、ようやく一夜の宿を完成させることができた。

この時点で一時半。すでにピークハントは不可能な時刻だったが、翌日の登頂に備え、下見を兼ねて尾根道を歩くことになった。行者小屋の到着時にはたしかに見えていた青空は、いつのまにか薄雲に覆われていた。

シラビソの林を抜けると、文三郎尾根のとりつきから稜線の方向に見事な彩雲が見えた。この彩雲は、前回の例会でも中岳沢で見えて感動したのだが、後で調べたところでは「天気下り坂のサイン」らしい。

はたして天候は悪化し、赤岳のピークは靄につつまれて風も強くなってきた。結果的にテント場の出発が遅れたのは幸運だったかもしれない。その日は尾根で丸山さんに主稜のとりつきなどを教えていただき、早めに撤収した。

天候は翌日も回復しなかった。単独なら無理を押して登っていたかもしれないが、「五分五分なら撤退する」という丸山さんの格言にしたがい、ロープワーク、ビレイの取り方、ビーコンの使い方などを教わって早めに撤収した。

帰り道、諏訪のあたりで猛吹雪になった。高速の通行止めも懸念されたが、何事もなく雪国を抜け、年末の帰省ラッシュにもかからず19時には京都にたどり着けたのは、丸山さんの判断のおかげだ。

目標の赤岳には登れなかったが、テント設営、共同テントでの生活、ビレイと、何より荒天時の判断を学ぶことができて、とても有意義な山行になった。

丸山さん、ご指導いただきありがとうございました。KさんとTさんも、またご一緒できるとうれしいです。

 

【感想】64期 KM

入会してちょうど半年が経ちましたが、私が入会しようと思った理由の一つが雪山の技術習得でした。そんな中、冬の八ヶ岳テント泊の例会が上がり、是非とも参加したいと思い、すぐ参加希望を出しました。初日はやまのこ村より行者小屋まで、以前自分が歩いたときの印象とは違い、ザックの重さのせいかなかなか着かなくて遠く感じました。

テント場では跡地を拡張して設営しましたが、雪が柔らか過ぎて埋めたペグを沈めるのに時間がかかってしまいました。雪質でこんなに違うとは驚きでした。

翌日は風雪予報で登頂出来るかわからないためこの日のうちに少し登っておこうということで、文三郎尾根を登りながら丸山リーダーにバリエーションルートを教えてもらったりしました。登り始めは青空で彩雲も見れて綺麗だったのが段々と真っ白になってきて、赤岳山頂が近くに見えましたが残念ながら時間切れで撤退となりました。

晩ご飯では自分のバーナーが寒さで点くのか心配でしたが、持参したライターで火が付き一安心。丸山リーダーが集めた雪で水を作って下さいました。雪は溶けるとあっという間に量が減るのが不思議でした。今シーズン一度は自分でやってみようと思いました。

4人用テントに4人で寝るので、各自ザックを足の下や頭の下に敷いたりして、寝る準備がなかなか大変でした。私は寒くないように真ん中で寝させていただいたおかげで全然寒くなく夜中は暑いくらいでした。八ヶ岳の寒さにビビってましたが、この日は気温もそこまで低くなくて内心ホッとしました。

夜から翌朝までずっと雪が降り続いていたため登頂は諦め近くの中山展望台で丸山リーダーによる雪山講習会となりました。スタンディングアックスビレイを斜面を使って一人ずつやりました。横で見ているとやり方は理解したつもりでしたが、いざ自分がやるとなると間違ったことをしていたり、かなりモタモタしてしまいました。今回登頂は出来ませんでしたが、積雪時の共同テント泊や講習会など自分では出来なかったことが体験出来て、いい経験になりました。丸山リーダー、計画から雪山講習、車の運転とありがとうございました。また参加されたFさん、Tさん、ご一緒していただきありがとうございました。

No.3926 金毘羅岩登り講習会 ※岩ポイント

2021年10月23日(土)

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【場所】京都大原 金毘羅の岩場

【メンバー】CL丸山 弘 SL小前竜吾・山田俊男、NF、秋房伸一、中村恵子、HI、尾上 実、木内真左子、赤松美樹、佐野美和、榎 浩之、梅木一利 計13名

【行程】23日(日)

9:30 江文神社集合―9:45 班分け、装備確認―セルフビレイ、懸垂下降練習―11:00 ワイケン尾根を登る―14:00 ワイケンの頭に集合―懸垂下降練習、ワイケン沢を下降―16:00 江文神社解散

【記録と感想】43期 丸山 弘

夏以来、「新人カリキュラム」の最大公約数的な必修事項を理事会で検討し、今回は「新人カリキュラム岩ポイント」マニュアル化の試行例会として実施しました。

新人カリキュラムを終了した会員なら必ずできるべき項目を明示し、その後のマルチピッチの岩場などに参加していただく際に支障が無いようにしたいというのが動機です。

事前配布テキストを作成して岩ポイント例会のリーダーと参加者に学習項目を理解してもらうよう配慮しました。

今回は実質的に4つの班の班長さん(小前さん、山田さん、Fさん、秋房さん)にリーダー役をお願いしたので、私は全体を横でみる事ができました。

初心者はとりあえず安全にセカンドで登れること。経験者はリードで登り、セカンドをビレイできること。リーダーは両方を指導できるのが目標です。

取り付き近くの斜面で立木から支点をとって、セルフビレイと懸垂下降のセットの練習をし、小一時間してからワイケン尾根へ。各班とも多少手間取りながらもセルフビレイのセット、確保支点のセット、ビレイ、コールを丁寧に実施していただけたようです。

岩場自体は確保なしで登れる難易度なので物足りないと思われたでしょうが、今回はロープ確保のシステムと手順を理解するための練習ということでご容赦ください。またMKやホワイトチムニーにも遊びに来てもらえたらと思います。

最後にワイケンの頭で懸垂下降の練習をしましたが、懸垂支点のボルトがどれも古いので岩から支点やバックアップをとりました。もう少しすっきりした懸垂下降の練習場所が欲しいところです。獅子岩での新人カリキュラム実施も有力な選択肢と思います。

懸垂のマッシャーのバックアップについては賛否あり、「セットにかかる時間や作業の煩雑さ(間違いやすさ)下降速度の遅さ」などと「得られる安全性」との差し引きが問題になるところです。今回は、講習会という性質上まずはバックアップを取る方法を用いましたが、一人目以外はバックアップを取らないのがスムーズで実戦的ではあります。

懸垂からの登り返しをNFさんと少しだけ北壁でやりましたが、セルフアッセントやビレイヤーの脱出、介助懸垂、3分の1システムの引き上げなどはそれだけを目的に場所と時間の設定をしないと時間が足りないかと思います。

予定した課題は十分にはできませんでしたが、班長さんと参加者の皆さんのおかげでなんとか無事一日終えられました。ありがとうございました。

 

【感想】64期 榎 浩之

岩の初級者講習ということで、即申し込み、楽しみにしていました。(行ったことのない金毘羅でというのも楽しみでした)

結論から言うと、こんなに近くに、こんなに面白そうな遊び場があるなんて今まで知らなかったのが勿体無いと思いました。

実際の外岩が舞台ということで、聞いたことを即試せる環境であり、今まで細切れに聞いてきた内容を整理し、理解し直す良い機会になったと思います。結局終点の支点作りとか、まだまだわかっておらず、自信を持ってできないことも多数ありますが、この近くの岩場を活用して、今後技能を高めていけたらと思いました。

とにかく今日教わった結び等基本を身体に覚えこませるよう練習に励みます。

 

【感想】64期 梅木一利

本日の岩トレではみなさんの足手纏いにならないかと不安を感じておりましたが、参加前から貴重なアドバイスを頂き、

なんとか無事に楽しく過ごすことができました。なにぶん初めての岩登り経験でしたが、いままで個人では出来なかったことであり、少し嬉しく感じております。

本日のトレーニングでご指導頂きましたことをもとに今後さらに精進していければと考えています。今後とも何卒よろしくお願いいたします。

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【感想】63期 尾上 実 

金毘羅の岩登り練習は私にとって4回目となりますが、次の点の「外岩でのリード、確保支点のセット、そこからのセルフビレー、セコンドのビレー」で初めての体験となり、また懸垂下降は4ヶ月ぶりで貴重な練習の機会となった。これらの安全確保のルーティーンを漏らすことなくスムーズにできるようになる事が大事であることを気づかせてくれた。実際の岩でマルチに登るにはまだまだ練習が必要と思うが、挑戦したいと思わせるような魅力ある練習会でした。

心配していた蜂の攻撃もなく(私のいないところで一部あったようだが)、晴れ一時のみ小雨の天候に恵まれ、混雑はしていたがほぼ支障なく進行ができてよかった。

リーダーや各班長担当者には大人数の参加者にも関わらず、要領よく班ごとの練習進行をして頂きありがたかった。次回の開催を切望すると共に、マルチでの岩登りを憧れるようになりました。

 

【感想】64期 赤松美樹

金比羅岩登り講習会に参加しました。事前にテキストが配布されていたのでロープワーク事前学習しましたが、本番になると出来ないという、しっかりと身についていないことがバレバレでした。
江文神社に集合しチーム分けです。私は榎さんと秋房斑でした。まず、立ち木でセルフビレイ、懸垂下降のセットの練習。下降器にもエイト環、ATC等あり特にカラビナを使ったムンターヒッチでの下降は下降器がない時に使える技術として身につけておく必要があると思いました。
その後ワイケン尾根へ移動。duckを使っての登攀やコール、ロープのさばき方などを練習しました。ザックを背負っての岩登り、コンテで登るのも初体験でした。
ワイケンの頭で懸垂下降の説明後本番です。自宅や公園での練習と違って手順を誤ると命に関わります。下降場所を2ヶ所設置、(想像していた以上に高さがあり緊張と同時に気が引き締まりました)1か所は足場が狭くセルフを取る時点から緊張しました。

懸垂下降は1回目より2回目がスムーズに出来ました。丸山先生と秋房班長がアドバイスや指摘を的確にして頂き大変分かりやすく理解出来ました。
また、ロープワークの速さ、スムーズな動きは山行時間の短縮につながる事もよく分かりました。
ロープワークや懸垂下降は一人では取得しにくい技術です。今回講習会を開いて頂き大変感謝しています。今回学んだことの練習を繰り返し、しっかりと身につけたいと思います。丸山様、秋房様、ご指導ありがとうございました。先生役として参加されたNF様、小前様、山田様、そしてメンバーの皆さんありがとうございました。

 

【感想】54期 中村恵子

丸山リーダーは普通確保なく登れるところで、物足りないかもとおっしゃっていましたが、なかなか緊張感もあり、私には面白く楽しい岩登りでした。

岩登りに関する説明もあり、よく理解できました。次回の機会には、リードで登れるようになりたいです。

短いピッチでしたが、3人一組で次々登っていくのは、チーム一丸という感じで、楽しかったです。

 

【感想】54期 NF

久しぶりの金毘羅。リーダー役になるのは初めてで少々緊張だったが、メンバーに恵まれて楽しく登れた。リードや懸垂下降のセット、懸垂の登り返しの方法など学ぶことが多い山行でした。頂上からの大原の眺めはいつ見ても美しいです。大勢をまとめて下さった丸山リーダー、ご同行いただいたみなさま。どうもありがとうございました。

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【感想】52期 秋房伸一

久しぶり、といってもこれまでも知悉するほど何度も行っているわけではないのですが、金比羅Y懸尾根へ伺いました。

京都の岳人を育てた岩場、今西錦司梅棹忠夫も同じ岩に触ったのかもしれない金比羅、自分自身としては山岳会に入会して最初は、本当に恐ろしく感じた箇所を、今では何気ないふりをして、新入会員の人と一緒に進むことができるのは、幸せなことなのでしょう。綿密な準備をしてくださった丸山リーダー、参加者の皆さん、ありがとうございました。