京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

個人<番外> OSJ野反・志賀高原トレイルフェスタ

阿蘇カルデラ以降、燃え尽き症候群で運動どころか3週間余り食っちゃ寝の生活をしていたわたくし。仕方ないし行くか…と腰重かったんだけど。予想以上のアップダウン、あり得ないどろんこ道にすっかり夢中になっちゃいました。ぐちょぐちょでも雨でもいいんだわ、やっぱり山が好き。

090703siganozori1 霧の野反湖

写真:霧の野反湖

<番外>2009年7月3日(金)~5日(日)

OSJ野反・志賀高原トレイルフェスタ

          48期 寒川 陽子

阿蘇カルデラ以降、燃え尽き症候群で運動どころか3週間余り食っちゃ寝の生活をしていたわたくし。仕方ないし行くか…と腰重かったんだけど。予想以上のアップダウン、あり得ないどろんこ道にすっかり夢中になっちゃいました。ぐちょぐちょでも雨でもいいんだわ、やっぱり山が好き。

【参加者】単独

【天候】3日 小雨のち雨

4日 曇りのちにわか雨

5日 晴れのち雨

【記録】

「OSJ野反湖トレイルレース15k」

2時間34分16秒(総合91位/315名、女子8位/67名)

「OSJ志賀高原トレイルレース20k」 

4時間19分28秒(総合79位/321名、女子6位/65名)

 「ザ・ノース・フェイスOSJ志賀高原トレイル50k」 

8時間4分7秒(総合85位/459名、女子6位/59名)

 「キング/クイーン・オブ・志賀野反」(3レースの合計タイム)

14時間57分51秒(総合26位/47名、女子2位/7名)※DNF、DNS含めず

【行程】 

7月2日(木)

京都駅八条口21:40=(高速バス・泊)

7月3日(金)「OSJ野反湖トレイルレース15k」 

⇒4:55新前橋駅5:35=(JR)⇒5:40前橋駅5:50=(タクシ―)⇒6:00前橋BT=(タクシ―)⇒6:10前橋駅7:35=(JR)⇒8:50長野原草津口駅9:25=(送迎バス)⇒10:25野反湖ロッジ

野反湖ロッジスタート12:10→野反峠→八間山→堂岩山→白砂山→堂岩山→14:44野反湖ロッジゴール(泊・19:55就寝)

7月4日(土)「OSJ志賀高原トレイルレース20k」 

6:35起床・7:20撤収

野反湖ロッジスタート8:15恵比山→大高山→赤石山→寺小屋峰→14:34高天ヶ原ゴール

13:30=(巡回バス)⇒13:45蓮池

18:00表彰式及びパーティー19:30(泊・20:00就寝) 

7月5日(日) 「ザ・ノース・フェイスOSJ志賀高原トレイル50k」

3:55起床

蓮池5:00=(送迎バス)⇒5:15高天ヶ原

高天ヶ原スタート6:00→焼額山→高天ヶ原→寺小屋峰赤石山→鉢山→横手山→木戸池→琵琶池→14:04蓮池ゴール・16:00表彰式

蓮池17:56=(路線バス)⇒18:25湯田中駅20:05=(夜行バス・泊)

7月6日(月)

⇒5:00京都駅八条口

【感想】

 3日連続で走ることと3日連続でレースに出る事は全く違うことだ。レースは単に走るのとは違い心理的な負担を伴う。3戦となるといろんな駆け引きがあるだろう。3戦合計85km(実際は92km)走ったらどうなるのか、実験してみたくて出走した。

故に今回最大の目的は3戦完走。梅雨の真っただ中、3日とも晴天なんてあり得ない。コンディションに順応できるよう想定し得るウェア、シューズ等を厳選。最大の問題はこの1ヶ月近く運動はおろか病人生活をしていたことだ。山を登る感覚も走る感覚もさっぱり忘れてしまっている中で、どう立て直すか。面白い事になりそうだ。

「OSJ野反湖トレイルレース15k」

 寝ぼけて高速バスに置き忘れた携帯電話を回収すべく朝からバタバタ動き回り、長野原草津口行きの電車に乗るとランナー貸し切り状態。気になって仮眠できないまま送迎バスで野反湖へ。穏やかに佇む湖、昼前とあってのんびり昼寝でもしたいなあ…。とダレまくり。仕方なく受付を済ませテントを設営、後から後から送迎バスがやってくる為、10分遅れでのスタート。何やら人の流れが違うと思ったらアイアンマンからトレイルランに転向された今泉さんの姿が。風の噂で知ってはいたが本当だったんだ。それ以上に衝撃的なのが私より若いということ。テニスもトライアスロンも敵なし、その道極めての転向だというから頭が上がらない。そしてすっかり人の流れに溶け込んでいるのが奄美大島のトレイルレースで一緒にツアーをしたおかむー(呼称)。いつもの如くあっという間に走り去っていく。

 たった15kmといえど標高400m強、200mと2回の登り返しがあり、小さなアップダウンも多い。野反峠までは遊歩道なのだが心肺衰えている今はこの登り坂すらしんどい。普段なら山登りでランナーを抜くことができるのだが、15kmとあって周りのペースは相当速い。足元はぐちゃぐちゃの土、細いトラバースも多く慎重に通過。何よりタイムが出なかった原因はランニングシューズ。ランニングシューズは木の根、丸太、岩など硬い足場には強いがザレ、泥になると軽くグリップ力がないため足場が滑ってしまう。無理をせず多くの選手に道を譲り、最後の数キロだけまともに走ってゴール。制限時間4時間のショートレースは苦手なだけに、レースシャツ、レースパンツで転倒せず、山ヤのプライドを守り抜いた事で今日はよしとしよう。本当は堂岩山分岐から白砂山を登頂したかったが、あのどろんこの激坂を登り返すのかと思うとあっさり断念。野反湖ロッジでは500ml缶ビールが300円と素敵な安さで売っていたため、2本買いをし飲みすぎた模様。

「OSJ志賀高原トレイルレース20k」

 夜中に豪雨となり、あまりに寒いので明け方頃にガスをとろ火で炊いてようやくまどろむ。私は明日のレースに怯えていた。ギラギラ照りつける太陽の中10時間以上も戦わなきゃいけない。飢えとか、渇きとか、暑さとか、苦しさとか…。逃げ出したくなってわざと寝坊をしてリタイア。けどモニターで選手がトレイルを走っている姿を見ると後悔の念が耐えなくて…。そこでハッと覚醒。既に明るい。時間は…受付終了寸前じゃないの!学生時代に培った撤収スピードで荷物を取りまとめ、朝食抜きでスタート。昨晩の食べすぎ飲みすぎのせいで体は重いわ頭は痛いわの状態。今日は20kmにして200m程度の大きな登り返しが5回程ある。最初の10km足らずで標高500mアップ。下手に飛ばさない方がとまたまた様子見で適当な位置につけて走る。昨日の反省を活かし、今日はロングタイツの上にレースシャツ、レースパンツ。1.5Lの水を背負い足元はおNEWのトレイルシューズ。対する路面状況はというと昨日の比ではないどろんこ道。べちゃぐちょぐちゃとずっとずっとこんな感じ。樹林帯に時折草原の交じるきれいな縦走路でよかったんだけど…下ろしたてのトレイルシューズはあっという間に土色。手足もどろんこまみれ。でもこれが楽しいんだよね、童心に還ったみたいで。激しいコースの20kmとあって赤石山あたりから体力切れの選手をかわして進む。覚悟していた寺小屋峰の登りは思った程ではなく、むしろ高天ヶ原のスキーゲレンデのどろんこの超急下りに辟易した。ラストスパートかけてゴール。前半に手を抜きすぎたが、この2日間でようやく調子が戻ってきたと思えばいいだろう。

 パーティーでは鏑木毅選手が登場。トレイルレース発祥の地アメリカのウェスタンステイツのトレイルレース160kmに参戦し準優勝した際のビデオ放映がなされた。この数年でトレイルラン人口は劇的に増えた。もちろん速い選手も増えた。今泉さんのように契約アスリートが転向してきたら、私なぞレースの舞台では全く歯が立たないだろう。だからそろそろトレイルレースの引退を考えていた。でも鏑木さんのレースに対する姿勢を見て、私の考えはただの逃げ口上でしかないことを知らされた。OSJイベントの主催であるパワースポーツの滝川社長もそうだ。イベントで集客して儲けているだけではなくて、目標に掲げているのはもっと別の、純粋なところにあるのがよくわかる。私はトレイルランが好きなのか、この先私はどこに行きたいのか、考えさせられる1日だった。

ザ・ノース・フェイスOSJ志賀高原トレイル50k」

 最終日はようやく晴れ。この本命レース1本に絞って参戦してくる強豪選手が沢山いる中、3日目のパフォーマンスでどう渡り合うかが本日のポイント。といっても前に進むしかないのだから、悔いのないよう全力を出すだけだ。ゲレンデの登り下りと舗装路だらけのため、50kmのトレイルにしてはスピードが要求される模様。

もはやイーブンペースでしか走れなくなっているため、沢筋のシングルトラックの人列に組み込まれて空を見上げながら走る。登山の折いつも雨に恵まれている反動か、日射に非常に弱い。ゲレンデと舗装路どちらも日陰を求め難く、簡単に日干しに遭ってリタイアせざるを得なくなってしまうのを恐れていた。だが焼額山へ向けて標高をあげると曇り、風力も4程度あるため予想外に良いコンディション。エイド通過後の急登の歩きの度に行動食をぱくつき、前後の選手やすれ違いの一般客と冗談を交わしながら長旅の飽きを紛らわす。昨日通った高天が原~赤石山間はぐちょべちょ度合に更に輪がかかった様子で全く走れない。ようやくヌタから解放されたら、今度は空中に大量の虫が延々と待機している素敵な稜線。体中の穴という穴から侵入してくるのはこの際我慢するけど、目だけは勘弁してくれ~まともに開けられないっつーの!焼額山横手山共に山頂間近で下らされることとなり残念。徐々に疲労が身体を蝕んでの一人旅。ゴーに、ゴールに行かなきゃ。考える余裕すらなくて、何かに取りつかれたかのように前へと進んだ。特に木戸池以降の残り5km強は傍から見れば夢遊病状態、歩いても間に合うって、座り込んでもいいやん、もう充分走ったからもういいでしょ…うん。そうだ。そうなんだけど。

気持ち良い位の晴天と人々に迎えられフィニッシュゲートへ。しんどくても思わず笑顔になれるから不思議。ゲートをくぐると自然と周りに頭が下がるから不思議だ。3日間慣れ親しんだこの山も今日で下山。あんなに辛かった92kmの道程でさえ別れが切なく思える。今度来るときは、私もこの山も違う顔を見せているんだろうなと思いつつ。

総観

登山ほぼ未経験のおかむーは50kmスタート前に2日間のガタがとか左足がとか言ってた割に3日間完走とご立派。私も負けていられないや。彼とは9月のトレイルレースにてペアを組む予定だが、それまでに私は私なりに成長したい。3連戦トータルのタイムを競うキング/クイーン・オブ・志賀野反では、今泉さんと2ショットで表彰式の撮影。転向して数カ月で92kmトレイルを走れる実力に対して同年代として少しでも追い付きたい思いがある。その反面、誰にも似つかわない、私なりのトレイルレースの具現化を目指している。トレイルランブームの動向を見守りつつ、進む方向を見出したいと思う。

090703siganozori2 気持ちいいね~

気持ちいいね~

090704siganozori3 高天が原まで来ました

高天が原まで来ました

090704siganozori4 明日はこれを登り返し

明日はこれを登り返し

090704siganozori5 2日共に総合順位には食い込めず

2日共に総合順位には食い込めず

090705siganozori6 ようやく晴れた!

ようやく晴れた!

090705siganozori7 ゲレンデだらけ

ゲレンデだらけ

090705siganozori8

もーどっろどろだよ

090705siganozori9 3日間総合表彰1歳年上に見える?

3日間総合表彰1歳年上に見える?