博物館での研修を通して自然に対する知識を深める…。ということで、今回は自然科学系の博物館を3か所選んでみました
No.2982 2010年1月30日(土)
「RDBの会」第15回博物館研修① 大阪市立自然史博物館
40期 西田和美
【日 時】平成22年1月30日(土)
【参加者】L西田和美、穐月哲、穐月大介、山本憲彦、井上純子、奥野淳子、尾崎稔 計7名
【天 候】晴れ
【記 録】JR京都駅8:44-9:09新大阪9:21-9:50地下鉄長居-10:00大阪市立自然史博物館-14:00長居植物園15:10(解散)
<感想> 50期 奥野 淳子
博物館の外で出迎えてくれたのは、全長19mのナガスクジラ。宙に浮かぶ巨体に度肝を抜かれる。(本物ですが、骸骨です) 館内ホールには、8万年前の大阪にいたというナウマンゾウやヤベオオツノジカ。五つの展示室では、身近な自然・地球と生命の歴史・生命の進化・自然のめぐみ・生き物のくらしをテーマに、見て聞いて触って楽しめる様々な工夫が凝らされている。
博識の皆さんの解説が加わり、面白さ百倍。特設「深海生物の写真展」では2日間限定で来館中の海洋研究員にお話を伺い、写真集のお土産も付いた。
昼食後は隣接の長居植物園へ。博物館で学習したばかりの大氷河期時代の植物群を目指す。右に「氷期の針葉樹」左に「間氷期の常緑広葉樹」の道を抜けると、メタセコイヤの林が現れる。池のほとりに、葉を落とし、ひっそりと。百万年前はこんな風景が日本中に広がっていたのだろうか。
さて、現代の花壇では菜の花が満開。見上げれば青い空に背高のっぽのヤシの木。誰かが「ヤシの木陰でドンジャラホイ♪」と歌いだす。森の木陰? いいえ、オリジナルは「ヤシ」。太鼓たたいて笛吹いて「RDBの会」博物館シリーズの始まり始まりぃ~!!
<感想> 48期 井上 純子
今回の博物館研修は,新たな発見があったり,学生時代の懐かしい記憶を想い起こしたりと多方面から楽しめるものでした。駅から近い,便利な場所にあるにもかかわらず,無精者の私にとっては行くことのない所だったので,例会に参加してよかったと思っています。
<感想> 44期 山本 憲彦
RDBの会も15回を迎えました。リーダーも専門によって分化現象を起こしているのは実に喜ばしいことです。
ということで、1-3月は私たちの行きたいお山は雪をかぶっていらっしゃるので、我々は街中の「自然」を求めて、ついに「博物館」巡り(RDB第15・16・17回)というお勉強会をリーダーの西田さんが提案してくれました。うれしいことです。こんなの絶対(?)一人では出来ません。
いよいよそのお勉強会の1回目。大阪市立自然史博物館。もとろん私は初めてでした。
L西田さんはキノコの関係でここは何度も訪れていると言うことでした。
実は私が一番関心を持っていたのは、
疑問方程式 その1 大阪人×学芸員=?
疑問方程式 その2 大阪×博物館=?
のそれぞれの「答え」でした。」
(1) の答えは「深海の生物展」の現場で、実際にその学芸員とお話をすることが出きました。確かに気さくで、バリアのない、訪問する子供達にもやさしいおじさん達であろうと推測される人種の人達でした。
「やっぱ、大阪人の学芸員はバリア・フリーやな!」
と感じたのは私だけではないと思います。彼らも職種としては立派なサービス業やからなー!と感心したのでした。他の博物館の学芸員もあのサービス精神は見習うべきではないでしょうか?きっと、今人員の減少が心配される自然科学者を希望する若者が増えるという国家の大きな未来に潜在的に貢献しているのではないかと感じました。
(固いことを柔らかくできるのが本物の専門家やからね!)
(2) の「答え」は、博物館と植物園との構造=設計に答えがありました。
まず、入り口に売店。これが半端ではない。知る人には分かるが、そろえてあるものがさりげなく、それなりに特殊な、他では簡単に手に入らない商品をそろえていることに感動しました。
それから博物館の案内をかねての分野別案内パネル。これを見ると博物館に入りたくなる?それがねらいか?
そして、食堂。その次が博物館の入り口。いや、その入り口が「出口」になっているのです。その錯覚のために、我々はあとで、植物園の出口を入り口と思いこんでしまったのです!この手のこんだ錯覚作戦。大阪人はこのような冗談が好きなんや!
この出口、いや入り口を通り抜けると、おおきな鯨の骨格が天井につるされています。大阪湾に迷い込んだ鯨を骨格標本にしているのです。もちろん市民の協力によって出来たと説明版がしっかりあります。すばらしい。大阪や!
さあ、いよいよ博物館の中に入ります。いきなり恐竜の骨格標本が出迎えてくれます。そして、地球誕生から生物が地上に現れて以後の地球の姿が、各種の絶妙な化石類の展示で見えてきます。
実は私は最近植物と地質の土壌などとの関係を注目しているので、これはとても楽しく、ためになる勉強でした。たとえば、去年RDBの会で植生観察に行った北岳。なぜ、北岳山頂のあの部分だけにキタダケソウが咲くのか?それはそこに石灰岩があるから。でも、なぜそんな山頂に石灰岩があるのか?元は海底だったから?では、なぜそこだけ海底でなければならなかったのか?また北方にあったキダケソウの仲間がどうしてこんな南方にまで来たのか?海をどのようにして渡ったのか?こんな謎解きに今取り組んでいます。
人間が生まれてくるまでに、いったいどれほどの年月がいったのでしょうか?そして、命の発生から今の自分までにどれほどの生物が連綿とその命をつないできているか?そのような大きな物語をここでも読みました。自分の命もどの生物の命もお互いにお互いのために存在しなければならない。「存在しあう」ということが単なる食物連鎖というようなことだけではなく、もっと深いところでつながっていると言うことをこの展示全体から改めて学びました。
極論を言うと、あの恐竜一頭でもいなければ、今のこの自分は存在していないかもしれないのです。あのアンモナイト1匹がいなければ…と考えていくと、自分の存在も存在するだけで未来につながっていくと信じられてくるのですから不思議ですね。
「やっぱ、博物館は子供達がもっと来るべきだ」とつくづく思いました。
2階には特別展がありました。そこで学芸員に出会ったのです。常設展示、特別展示も充実している方でしょう。博物館は1回で済むものではない、とも思いました。また行きたいです。(このシリーズは、同じところへ繰り返し勉強しに行くという目的でいいのでは?と思います。「冬になると思いだす♪♪」で、期待します。)
次は、入り口と間違った出口から撤退して、元に戻って、博物館と連想している植物の観察に出かけます。真ん中に大きな池があります。周りにかなり大きく育った樹木が茂っています。おそらくどれも樹齢40-60年くらいでしょう。
大阪は終戦に焼け野原になったのですが、ここには残った樹木があったのかもしれません。日本の敗戦を記憶している木がきっとあるはずです。京都にいては感じない樹木からのメッセージです。
超古代から続く樹木の連鎖をイメージして設計されています。地球の時間の流れに沿って歩いていくと、イチョウの木やメタセコイヤの大きな木が地球に初めて生まれた樹木の仲間だということもよく分かります。
このような日頃あまり体験できない「インドア研修」を企画してくれた西田さんには感謝したいと思います。そして、はじめから終わりまで、楽しいハイレベルなお話をしてくれた穐月夫妻にこころより感謝です。奥野さん、井上さんとも久しぶりにゆっくりお話が出来ました。尾崎さんは初めてでしたが楽しい話が出来て良かったです。またよろしく。
西田さんの次回のRDBの会16-17回に期待します。よろしくお願いします。
<博物館研修①を終えて> 52期 尾崎 稔
今回初めてRDBの会の例会に参加させていただきました。参加した理由は、美術館はよく訪れますが、自然博物館はいつ訪れたか覚えていないほど興味がなかったので、どんなものか物見遊山の気分で参加させていただきました。
今回参加された方達が多士済済な方達ばかりで、私一人なら展示物を素通りしてしまうところでしたが、いろいろ解説していただき非常に勉強になりました。
特筆すべきは、穐月さんがあらゆる展示物について詳しく、博物館の学芸員かと思う位いろいろなことを知っていらっしゃるので、穐月さんの後ろをついて行くだけで非常に勉強になりました。
山本さんや西田さんもいろいろなことを知っていらっしゃるので、一つ一つの言葉が非常に勉強になりました。
昼食後は、植物園を散策しました。
植物について無知な私一人なら、ここも素通りしてしまうところでしたが、皆様の解説のおかげで有意義な散策となり感謝しております。
今回参加させていただいて感じたことは、博物館を訪れる前に展示物の分野の勉強することの大切さがよくわかりました。すこしでも予備知識があるだけで、展示物の見方が変わると思いました。
また機会があれば少し興味のある分野を勉強してから再度訪れたいです。
自分一人では博物館を訪れることはなかったので、このような例会を企画していただきありがとうございます。
<L感想> 40期 西田 和美
博物館での研修を通して自然に対する知識を深める…。ということで、今回は自然科学系の博物館を3か所選んでみました。
野山を歩き、いえいえ、今回は博物館をぐるぐる巡り、自然の不思議さに驚嘆する感性=センス・オブ・ワンダー=にますます磨きをかけましょう!
※美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見張る感性<センス・オブ・ワンダー>を育むために、子どもと一緒に自然を探検し、発見の喜びに胸をときめかせる…。
自然は、嵐の日も、穏やかな日も、夜も昼も、憂鬱そうに見える日も、子どもたちへの一番大切な贈り物を、用意しておいてくれます。
『沈黙の春』の著者、レイチェル・カーソンの言葉より。
長居植物園にて
講義中