京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉冬の真教寺尾根

2020年1月26日(日)~27日(月)

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【天候】26日曇り時々晴れ、27日曇りのち雪

【場所】山梨県八ヶ岳真教寺尾根

【メンバー】43期 丸山 弘(単独)

【行程】26日(日)4:00京都発〜9:00美し森駐車場着〜9:30駐車場発〜13:00牛首山山頂幕営

27日(月)7:00テント発〜9:00 岩稜とりつき〜10:00稜線分岐着(終了)〜12:30テント帰着・撤収〜15:00駐車場着〜19:30京都帰着

【記録と感想】 

年末の山行が雪不足で中途半端に終わったので、休みをとって1月末の冬山に出かけました。西側からのアプローチは大賑わいの八ヶ岳ですが、山梨県側からの登山道は人も少なく、展望もよいので偵察をかねて、昨夏、真教寺尾根から赤岳を越えて県界尾根を下る周回コースを日帰りで歩きました。

真教寺尾根は末端から竜頭峰山頂まで一本道のきれいな尾根で、山頂直下の2700mあたりから岩とガレの長い鎖場になります。夏道はちょっと難しめの一般道ですが、冬は八ヶ岳にしては雪深く、最後の岩場も夏道が埋もれるとロープが必要なルートです。甲斐駒黒戸尾根を少し短くした感じでしょうか。

強いパーティーは冬でも日帰りで行くようですが、私は体力不足で、初日は5合目の牛首山までテントをあげ、翌朝早くにアタックすることにしました。天候は曇り、月曜午後から下り坂、関東地方で大荒れの予報です。

久しぶりにテント・ロープ・ギアなどフル装備で25キロくらいあるザックを担いだので、予想通り初日はバテバテでテント場に到着。

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風に備えて、張り綱をいつもより多い6点からとって設営、午後3時にはレトルトカレーの夕食を食べて就寝。

ところが、真っ暗になった18時半と20時すぎに2回も大勢の足音とヘッドランプで起こされました。

聞こえてくる話の内容から、両パーティーとも日帰りを目指して入ったものの上部岩稜の登下降に苦労して,登攀と離合の待ち時間もあって数時間の遅れが出たようです。2つ目のパーティーは下山が午後10時を回りそうなので、他人事ながら心配になりました。

翌朝は4時起きで朝食に豚汁雑炊を作り、行動用のお湯を沸かしてテルモスに入れ、ゆっくり夜明けを待ってスタート。高曇りながら視界は十分、中間地点からは富士山も後ろにそびえ、なかなかの絶景です。

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(振り向くと雲をかぶった富士山が)

7合目まではトレースもあり快適に登り、岩場のとりつきに到着。ここまでスマホで写真を撮っていたのですが、ここで突然画面が真っ暗になり、まったく起動せず、せっかくの核心部の写真が取れませんでした。バッテリー残量は60%ほどあったのに突然のことで驚きました。機内モードにしてあり、寒さもマイナス5度程度なのでこの「突然死」は予想外でした。こういうことはよくあるのでしょうかね?

手袋を脱ぐリスクを考えても、やはり写真は専用カメラにした方が良さそうです。

とりつきから稜線まではロープを出すなら3、4ピッチ、傾斜70度くらいの小さな岩場と雪壁が連続し、直上と左へのトラバース、最終ピッチ手前に短いナイフリッジがあります。全体としてまっすぐ谷底へ落ち込むように見えるので高度感があり、阿弥陀北陵より怖く感じるかもしれません。

今回は、雪壁をけりこむと靴半分でブッシュや浮石が出てくるほど雪が少なく、バイルのシャフトを刺しても自立しないので厄介でした。逆に雪の深いところは高温で溶けて再氷結した雪の表面5センチほどが氷化し、その下がフワフワなので、踏み抜くとバランスを崩すし、氷の板が割れて大きな氷板がカラカラと谷底へ滑り落ちていく様子はなかなか気持悪いものでした。

手足とも不安定な雪壁とトラバースをだましだましで通過してなんとか終了。下りに時間がかかりそうなので簡単な赤岳は省略し、下りは迷わずロープを出して懸垂下降4ピッチで取りつきへ戻りました。(懸垂支点は、鉄杭や露出している鎖の一部に捨て縄をかけたり、ダケカンバに回したりと豊富です)昨夜の下山遅れパーティーも大人数だけに、これでだいぶ時間をかけたのでしょう。先行者の踏み跡もヤバそうなのを含めて何種類も有り、いろいろ試した様子が想像できました。

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(ルートの略図)

平日のため、朝から下山するまで誰とも会わず、尾根は完全に貸し切りで贅沢な一日でした。テントに戻ったころに予報通り雪となり、急いで撤収してさっさと下山しました。

このところ体力的には冬山を登るのはもう無理かなと感じ続けています。テント泊の冬山は達成感も格別ですが、無理して皆さんに迷惑をかけないよう、少しずつレベルを下げて、もうしばらくは楽しめたらと思います。