京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉元日の北岳 富士山の初日の出

2022年12月30日(金)~2023年1月2日(月)

富士山の初日の出

【メンバー】CL HT、HE、NF

【行程】【1日目】30日晴れ 午前7時 京都駅 午後1時40分 奈良田林道入り口~午後4時50分 あるき沢 

【2日目】31日晴れ 午前5時50分 あるき沢~午前9時30分 池山小屋 午後1時10分 森林限界地点 幕営 

【3日目・元旦】1日晴れ 午前5時50分テント場 午前6時40分ボーコン沢の頭~8時05分 八本歯のコル~ 10時05分 山頂~午後0時30分テン場 ~午後1時30分 テン場撤収~午後3時10分池山小屋 幕営

【4日目】2日晴れ 午前5時池山小屋~6時45分あるき沢~10時25分奈良田林道入り口

木々の合間から見えた富士山

【記録】NF
1日目:京都駅に集合して、奈良田へ向かう。車中で装備を確認。ワカンに加え、八本歯のコルの通過のためにロープ、ハーネスを持っていったが、雪が少なそうなので車にデポすることにする。途中、ほうとうのような鍋焼きうどんで腹ごしらえをして、林道入り口へ。トンネルのゲートが閉まっているので、Tさんがフェンスを乗り越えて内側から開けてくれた。

林道は12㌔。アプローチシューズを履いて、延々と歩いて行く。あるき沢の直前の滝で水をくんで、あるき沢で幕営。沢の合流点のため、標高が低くてもかなり寒かった。

林道の入り口

2日目:今日は森林限界にはるテン場まで。樹林帯は最初から急騰。久しぶりのボッカで息があがる。倒木が多く、ずっと樹林帯のため、単調でがまんの登りが続く。5時間たってようやく木々の中から富士山が見えると、疲れも飛んだ。

森林限界近くになり、どこでテントを張ろうかと相談した。樹林帯から出た稜線で富士山の景色を堪能していると、そこにいた人がそこにも張れそうですよ、と、岩と岩の間の隙間を差してくれる。確かに、富士山目の前絶景テント場!風も全くない!とテンションが上がり、そこにはることに。

結果的に大変なことにはならなかったものの、夜中、強風が時折テントを打ち付け、やはり(当然だが)樹林帯に張る方が安全だ。

富士山が見えるテン場

3日目:5時過ぎには出ようと4時に起床したが、寒すぎてだらだらしてしまい、6時前になってしまう。寒い寒いと繰り返しながらテントの外に出ると、そこに待っていたのは富士山の朝焼けだった!群青色の空に茜が一筋差す。次第にオレンジの光に変わっていく。

群青色に茜色が映える

初日の出はもう少し高いところから見ようと、慌てて出発の準備をする。と、そこでトラブルが。わたしのアイゼンの前爪を支えるプラスチック部分が寒さのためか割れてしまったのだ。この冬はアイトレもしたし、立山にも行ったし、おかしいところを感じなかったのに…。これは諦めるしかないか、、と思ったが、皆と相談してチェーンスパイクで行けるところまでいくことにする。本来は諦めるべきだったかもしれないが、この雪の少なさから行けるのではと判断した。(結果的に大丈夫だったが、お勧めはしない)
気を取り直して登り出すと、ボーコン沢の頭直前で白い雷鳥2羽に会う。こんなに晴れているのに雷鳥に巡り会えるなんて、ことし1年はいい年になりそう、と3人ともテンションが一層あがる。

白い雷鳥

ちょうどボーコン沢ノ頭で太陽が登り始めた。小さなオレンジの点は、瞬く間に大きな光になり、世界を照らして一年の始まりを告げた。ずっと見ていたいほどの美しさ。

さてそろそろ進もう、と富士山バックに登り始める。雪が非常に少ないので夏山のような感覚で歩ける。八本歯のコルもフィックスロープが出ていて、安全に降りられる。ただ、雪があればやはり懸垂をした方が安全だろう。支点もあるし、ロープは40㍍あれば十分だ。

ほとんど風もなく、快適な登山。すれ違う人が稜線は風が強いので気をつけてとアドバイスをくれる。山頂への稜線直下のトラバースが、チェーンアイゼンで行けるか最も心配だったが、踏み跡がしっかりあり問題なかった。(何度もいうが本来ならしてはいけない)。雪があればここが核心部になるだろう。

山頂は思ったほど風がない。富士山はもちろん、北アルプス仙丈ヶ岳甲斐駒ケ岳八ヶ岳など360度の風景。私は晴れ女なので絶景を何度も見ているが、何度見ても美しい。いつもよりゆっくり堪能して下山。テン場まで戻ってテントを撤収して、池山小屋まで高度を下げる。池山小屋の周りはテント適地になっており、6パーティほどが張っていた。

染まる稜線

4日目:今日は下山するだけ。とはいえ、急斜面の下山は足に来る。あるき沢からも長い長い林道。消化試合のため、地味な歩きが地味にとっても疲れる。

ようやく最後のトンネルの出口が見えたときはほっとした。奈良田温泉の白根館でお風呂に入り(ぬるぬるの湯で気持ちよかった)、移住された夫婦が営むおそば屋さん「おすくに」でとってもおいしいそばを頂いて、帰京する。

八本歯のコル

【感想】NF
山の上から富士山の初日の出を見るのは長年の夢でした。天気は快晴。絵に描いたような富士山の朝焼けと真っ白な雷鳥に出会えて、新年の計は元旦にありといいますが、今年1年、どんな山に登ろうかと歩きながら真剣に考えてしまいました。雪が少ないのがやや残念でしたがこれもぜいたくすぎる感想なのだと思いました。ご一緒していただいたTさんとEさんに感謝です。今年はいい年になりそうです。

山頂に続く稜線

【感想】HE
11月の立山例会時にHTさんが年越しで北岳に行かれると聞き無理矢理同行させて頂きました。HTさん的には超初心者を連れていくのか。。。と途方に暮れられたと思いますが、そんな素振りもなくにこやかに了解頂き、今回初めての北岳にトライすることが出来ました。
北岳は標高もさることながら、無風好天が望めそうにないこと、アプローチが遠く、3泊分の荷を背負っての林道歩きが長いこと等、不安が多いにも関わらず昨今の「行動制限のない年末」ということで、酒量が爆発的に増えていることによる?体調不良を抱えたままの出発となりました。案の定、初日から体調が悪く、だるさと吐き気、頭痛を抱えての登山となり、HTさん、NFさんには多大な迷惑を掛けてしまいました。すいません。
が、4日間の行動すべてが快晴、森林限界以上での行動2日間は「北岳にしては」ほぼ無風/弱風という絶好のコンディションの中、2023年の初日の出をボーコン沢の頭で眺めることができたのは、いまだに噓のようです。どでかい富士山の後ろから昇る朝日、その陽に照らされる北岳間ノ岳のモルゲンロートは本当に素晴らしい絶景でした。
その後の登りでは、白い雷鳥も間近で見ることができ、「一富士、二鷹(雷鳥)」を押さえることができ、幸先の良い2023年のスタートとなりました。茄子入りの食材を持ち込んでいれば、「三なすび」まで行けたのですが、そこまで準備至らず。。残念。。
ビビっていた八本歯のコルも放っていかれる恐怖から(笑)何とかクリアし、体調を気遣って早朝発にしてゆっくり進んで頂いたおかげで、無事北岳山頂を踏むことができました。
登りは遅れに遅れ、体調から食べることもままならず、山頂にも行く気あるのかないのか という状態でも「さあ行こう」と励まし、また「無理ならいつでも降りれば良いから」と優しくフォロー頂いたことは忘れません。自分もそのように振る舞えるようよく覚えておきたいと思います。
ところで下山時に爪先を靴内で傷めてしまい、帰京後ちゃんと歩けない状態となっています(爪はもうダメになり、爪の付け根が腫れ、両足とも親指の太さが倍以上になってます)。靴も荷造りも持ち物も体調管理も反省の多い山行となりました。今後キチンと対策し、また冬山に挑みたいと思います。

つるつるの林道。チェンスパ必携

【感想】HT
年末年始の山行で天候が一番気がかりでしたが、晴女のNFさんのおかげか、連日ドピーカンの弱風(この時期の北岳では無風に近い状態か)で、最高の条件での山行になりました。
絵にかいたような初日の出と富士山を眺めながらの北岳登頂ができ、幸先のよい年明けを迎えさせていただきました。
また、各自不安や不調、不具合がある中でも励ましあってチームで登れ、山岳会の良さを改めて思いました。
4日間の濃い時間をご一緒いただきましたFさん、Eさんありがとうございました。

また一緒に行きましょう。

おいしいお蕎麦でした