京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

近畿百名山シリーズNo.81 鈴鹿山脈展望の山・竜ヶ岳《山紀行869》

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写真1: 竜ヶ岳遠足尾根は笹原で見通しが良い

 

平成2738()

 

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竜ヶ岳(1,099m)鈴鹿山脈北部の主稜線上にある草原の山。宇賀渓から遠足尾根と砂山尾根を周回する縦走を行った。

 

【メンバー】 山本浩史L、葛城美知子、高橋秀治、鹿嶽眞理子   4

【行  程】 京都6:28=京都南IC八日市IC7:46宇賀渓P 8:058:25木端谷出合~9:30大日向三角点11:28竜ヶ岳~12:00重ね岩12:2413:21小峠~14:11砂山~14:52福寿地蔵~15:05宇賀渓P 15:1515:29阿下喜温泉16:21八日市IC18:00京都南IC19:30京都

【登山データ】 晴れ、山頂霧 歩行13.2 7時間00 延登高1,145m 延下降1,145m 2座登頂

 

前日の雨があがり、国道421号線の石榑トンネルを越えると劇的に晴れていた。宇賀渓駐車場に500円払って車を止めて谷越しに見上げると雲を被った竜ヶ岳らしき姿が見える。北河内林道を歩き1.5㎞ほど宇賀川沿いに進むと遠足尾根の取付きがある。昭文社地図には登山道が描かれていなかったので。バリエーションを期待していたが明瞭過ぎる道で何故かガッカリ。小端谷の南尾根を登る。等高線が詰まり急登が続く。標高630mにたした頃岩場があり展望が利く。竜ヶ岳が見える筈だが山頂部は雲の中、午後から晴れの天気予報に期待を持って遠足尾根へと登り続けた。

稜線間際、下降点で休む人たちを避けるように右にトラバースし先ずは3三角点「大日向」(696m)に立寄った。ピーク性は全くなく尾根の先端で急傾斜で尾根が下り始める地点だ。測量するには持って来いの位置なのだろう。木の間越しに養老山地が見える。暫し展望を楽しんで遠足尾根の登りに掛る。標高が800mに達する頃残雪が現れだした。登山道にだけ雪が溜まり腐れ雪の落とし穴に足を取られる。今日は結構気温が上がる予報なのでアイゼンの必要はないだろう。

今日のミッション1は「P964の位置を特定」とした。ピーク性の少ない所で難しそうだが、注意しながら進む。やがて遠足尾根は笹原となり展望の稜線がすっと続く。なだらかな尾根だが一箇所急斜面がありゆっくり進んでいると渋滞ができてしまった。乗り上がると一面の雪原となりP964は近い。四日市方面や名古屋の高層ビル群と思しきものも見えたが進むにつれ山頂域の雲の中に突入してしまった。地形と読んでP964を特定、GPSで答え合わせをするとピッタリだった。10時半、お腹が空いた。風が強く疎らな木の陰で風を避け暫し休憩。

ホタガ谷を遡る“裏道”登山道の分岐を見つけるがこの季節は殆ど歩かれていないようでトレースは無かった。更に10分程進むと金山尾根の分岐を見て、治田峠分岐に到る。此処からは三重滋賀県境の鈴鹿の主稜線、10年ほど前に三国岳からの大縦走で通った。あの時は今日以上の強風で、草原の中突風で吹き倒されたものだ。P1053を越えて今日のメインの竜ヶ岳(1,099m)に乗り上がった。2三角点「竜ヶ岳」と方向指示版があるが、強風とガスではどうしようもない。昼休憩を取る気にもならず集合写真を撮っただけで先に進んだ。

主稜線の“表道”登山道を行くが遠足尾根を共に登っていた人たちは誰も来ない。 山頂から東に進む“中道”を下山したか、引き返したかのどちらかだろう。主稜線を南西に1㎞程進むと急斜面の下りとなり中途半端な残雪に悩まされながら石榑峠へと下った。石榑峠(いしぐれとうげ)の「榑」は「切り出したままの皮のついた材木」などの意味があり「木」偏に「甫」、「寸」を組み合わせた文字だが、現地の表示は「石ぐれ峠」と平仮名ならまだしも漢字で書かれたものは「木」編に「専」と書かれたものばかりで誤字が気になった。

主稜線は三重県滋賀県の県境で滋賀県側の尾根に逸れて行くと重ね岩(標高約930m)に達する。山頂の強風よりは幾分マシで、岩陰で昼食休憩を取った。積み重なった岩は上まで登ることができるが雲の中で感激はなし。県境尾根に戻るべく雪の斜面をトラバースする。滑ったら下まで行ってしまいそうだ、足場をしっかり固めて慎重に尾根を渡った。

県境尾根を下り標高が800m位まで下ると雲の領域を脱し晴れ間が戻ってきた。山頂でできなかったミッションのうち「雨乞岳の山座同定」をしたが標高が下り過ぎてその姿を見ることはできなかった。石榑峠に近づくにつれて岩場となり鎖も下がっている。向側の三池岳、釈迦ヶ岳に覆っていた雲が晴れてきたが振り返って竜ヶ岳を見るが此方は顔を出さない。石榑峠の南には電波塔があったが10年の経過は電波塔も失くしてしまった跡地は正方形の石垣が残っている。

嘗ては国道421号線が石榑峠を越えていたが平成233月全長4,158mの石榑トンネル開通によって車は通過できなくなり、大型車排除のため以前から置かれていたコンクリートブロックに鎖が付けられていた。峠付近で狸や鹿の死骸を相次いで目にし、野生動物が冬を越すことの厳しさを思い知らされた。

峠からは旧国道を三重県側に1㎞程歩き小峠に達する。これから向かう砂山尾根は先に見えている稜線の筈だが指導標は谷に下りる道を示している。おかしいなと思い偵察に行くとやはり延々と谷を下っている。引き返して林道の曲がり角を這い上がり稜線ルートを発見し入って行った。下山後案内所で貰った案内図を確認すると正規の道は一旦長尾滝方向に下して登り返させているようだ。正規道との合流地点にハイキングのご夫妻が休憩中で我々と違い靴が綺麗だった。

尾根の岩場にでると竜ヶ岳が見えた。かなり薄れてきたが未だに雲を纏っている。右の方には遠足尾根の笹原に感慨一入だ。砂山を目指してピークに乗り上がるが何の表示もなく山頂ではなかった。更に進むと風化した花崗岩の岩峰に砂山の表示があった。展望を楽しみ休憩していると先程のハイキング夫妻がやって来た。岐阜からきたそうだ。標高は約560mあとは駐車場に向けて下るだけ。と思いきや・・・

この辺りは2.5万図に載らない遊歩道が沢山ある。尾根道と本道と思われる道の分岐があり右の“本道”に入ってしまった。尾根道が正解だったのだが分岐してどんどん下ってしまいそうな“尾根道”を疑ってしまったのが運の尽き、道は谷筋となり稜線を外してしまった。しっかり石階段の整備された登山道で何処かに下りるのだろうが全く何処に行くのか分からない。岩肌にぽっかり空いたトンネンル、立看板を見ると「蛍石採取禁止」の文字、帰って調べてみると日産鉱山が蛍石を採掘していた坑道の跡で、昭和20年まで操業していたようだ。中を覗くとトロッコの軌道跡なのか細いレールが置かれていた。

殆ど水平に近い巻道をうねうねしながら下って行くと正面に展望台があり福王山が正面に結構存在感を持って見えた。宇賀渓駐車場の南にある598mの山で南東側の麓には福王神社がある。やがて国道が見えて来てしっかりと砂山登山口と表示されていた。傍らには長寿地蔵が小さな祠に収まっていた。水晶キャンプ場の近くで宇賀渓駐車場までは1㎞ほどの車道歩き、結果的にはそれ程のロスではなかったようだ。短絡道で宇賀渓に戻ると左手に本来通る筈だった砂山登山道、来るときに見ていた曲がり角に飛び出した。

今日の立ち寄り湯はいなべ市の阿下喜温泉あじさいの湯。帰り道にある永源寺温泉八風の湯は高いので逆方向に少し走った。入浴料は500円で永源寺1/3、地元の人たちで結構賑っていた。

 

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写真2: 砂山尾根の岩場から雲を被った竜ヶ岳(1,099m)を見る

 

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写真3: 砂山山頂にて