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京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3452 「初級アルパインクライミング」 ~八ヶ岳阿弥陀北稜~

八ヶ岳 クライミング 縦走・ピークハント

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【参加者】

CL 丸山 弘   SL 長野浩三

食当 藤松奈美    石田晃司

久代まゆみ   織田直子

計6名 

 ※石田・織田さんテント泊ポイント取得

 

【天候】(気温と風速はおよその体感)

初日 快晴 

朝 美濃戸 -10度 無風

昼 ジャンクションピーク

 (以下JP)-10度 無風

夕 テント場 -5度 無風

2日目 快晴 

5時 テント場 -10度 無風

7時 JP    -10度 無風

8時30 山頂  -10度 微風

10時テント場  -5度 無風 

【行程】

  26日 21時 山科駅前集合

(丸山車・長野車に分乗)

  27日 1時 諏訪SA着 仮眠

     5時 諏訪SA発 

6時15分 美濃戸駐車場

6時45分 出発

9時30分 行者小屋テント場

テント設営 装備着用

11時 テント場発

12時 JP(約2630m)着 

         雪上訓練

     14時30分 テント帰着

16時~夕食(藤松さん特製鍋)

18時 就寝

  28日 4時 起床

     5時45分出発

文三郎分岐から2班に分け時間差で登る。長野班は15分~30分先着

 6時30分 JP着

 6時50分 第2岩稜取りつきテラス

    左ルンゼ雪壁をショートカット

    2.5ピッチ分スタカット登攀

 8時15分 第2岩稜終了点

 8時30分 阿弥陀山頂(2805m)

     同ルート下降(懸垂50m 1回)

10時15分 テント場帰着 撤収

11時00分 テント場発

12時30分 美濃戸駐車場

13時00分 もみの湯 入浴 昼食

18時頃  京都着 解散 

 

【CL所感】 43期 丸山 弘

雪山でのステップアップを目指す会員を対象に八ヶ岳のバリエーション入門ルートを企画しました。

晴天率が高く、積雪も少なく、登山口からの標高差も小さいので雪山入門者向けゲレンデとして人気の八ヶ岳ですが、できるだけ実践的なきちんとしたトレーニングになるよう配慮しました。

阿弥陀北稜は10年ほど前に自分が指導員検定を受けた際の検定ルートですが、その時は新雪のラッセル3時間と、稜線の吹雪・低温のため、参加者の一部が継続不能になり第一岩稜で敗退したルートです。私自身の検定は合格でしたが山頂を踏めなかったのが心残りだったので、今回改めて企画しました。

阿弥陀北陵はバリエーションといっても岩場のグレードは3級2ピッチ、フリーで抜ける人もある初級ルートですが、JPまでのラッセルや視界不良時のルートファインディング、雪の急斜面の登下降でのアイゼン・ピッケルワーク、低温・強風下の岩場での素早く確実なロープワーク、アイゼンでの岩登りと、2ピッチ目終了点の雪面の支点確保、懸垂下降のセットから回収など、ひととおりの基礎的な雪山技術が練習できる場所としては好適かと思います。

また、ゲレンデ的とはいっても滑落すればただではすまない斜度と高度感があり、下山遅れが凍傷や凍死に直結する強風・低温など、毎年のように数名の死者を出している山域ですから、安易な行動や粗雑な技術は許されません。

天候判断、行動時間の管理、体調管理、水分補給や行動食の取り方、防寒装備、体力維持、雪山知識・雪道運転etcのいずれも重要です。

雪山でのテント生活技術の面では、低温は経験できますが、雪崩・強風・降雪の面ではアルプス稜線とは違って安全で、トラブル時には営業小屋もあり、今回は八ヶ岳名物の「強風・低温」も影をひそめていましたので、とても楽な状況だったことを肝に銘じて、厳冬期の3000m級を目指す場合は謙虚にステップバイステップで向上したいものです。

以下、少し詳しく具体的な反省点などを報告しておきます。

 

〈反省点〉

1.テント間違い

借り出し担当の私が、鳥海山(チョーカイサン)と長次郎(チョージロウ)は音や字数が似ているので取り違えないようにと意識しすぎて、逆に鳥海山が刷り込まれてしまいました。その上、装備点検会で自分で長次郎を点検した直後だったので、いつもなら事前に内容を点検するのに省略して出発してしまいました。こういう思い込みとミスの連鎖が事故のもとになるのでしょう。

ちなみに、フライと冬用外張りの違いは

防水性・通気性・耐風性・前室の広さ・保温性・ファスナーと吹き流しの違いなどです。降雪があればフライは通気が悪く酸欠の危険があり、雨が降れば外張りは雨漏りします。スカートを雪に埋められる外張りよりフライは耐風性能が低くなります。フライのファスナーは外張りの吹き流しと違って、凍結して動かなくなることがありますが、フライの方が軽くてかさが低いのは長所です。

今回はテント場の条件の良い八ヶ岳ということで、やむをえずフライを利用することにして、4人用二つを6人用一つに変更しました。

 テント設営も、整地された平坦地で風も無かったので緊張感がありませんでしたが、冬山の尾根の斜面で強風の中テントを張ることを想定すれば、深雪の中にポールや備品を落としたり、本体を風で飛ばされたりしたら一瞬で生死にかかわるピンチに直結するので、普段から装備点検会などでも意識してテントを飛ばされない張り方の手順を自動化しておきたいと思います。

 今回私のミスで6人用テント一張りに6人が寝ることになりましたが、テント生活の方法(炊事・個人装備の整理・寝るときのスペースの作り方など)を全員で一緒に練習できたのは怪我の功名でした。

2 雪崩対策練習について

 当初中岳沢の下降も選択肢に入れていたのでビーコンの練習をメニューに入れましたが中岳沢を外したため、ビーコン練習は形だけになりました。全員がスコップとゾンデ棒を持っていて、ビーコン操作にも慣れ、かつ同時に雪崩に巻き込まれないという条件がそろわないと実際は救助できないので、ビーコンを持っていたら安全と考えるより、ビーコンを使う可能性をどれだけ減らせるか、コース選択や雪質判断が優先かと思います。

今回は12月寒波の降雪のあと、晴天・低温が続いたせいか、表面から50センチ程度は均質で雪玉が握れる程度の湿度があり、弱層らしきものを感じなかったので特に弱層テストをしませんでした。トレースをたどると踏み抜かない程度の硬さがあったので、比較的安定していたと思います。実際に中岳沢を下降しているパーティーも多かったですが、28日・29日の高温の後、年始の寒波で降雪があると表層が流れる可能性はあるでしょう。

 

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3 雪上訓練について

初日はJPまでルート偵察してから、急斜面の懸垂下降、スタンディングアックスビレイ、ピッケルの使い方、滑落停止、キックステップ、深雪急斜面のラッセルなど最低限の雪上訓練を短時間で実施しました。

翌日の登攀を前にして泥縄もいいところですが、翌日のルートには絶対落ちてはいけない斜面があるので、できるだけ見て理解してもらうように実際にやってみました。比良あたりではなかなかできないので、八ヶ岳に行ったときは安全な斜面でぜひ実際に何度もやっておきたいと思います。

登攀中に参加者の動きを見ていて少し辛

口で課題を挙げておくならば、参加者の大方に下のような点で不十分なところが見られました。たった一回のミスが滑落死につながることもあるので、いつも自動的に確実にできるように練習していきましょう。

 

  1. 歩き方について

キックステップの角づけがバラバラで蹴りこみの強さも不足。今回の雪質はもっとも容易なのに一回できちっと決められないと、氷化している場合や、腐って崩れる雪だと怖くて動けなくなります。

下降時は全体重を一本の足に一気に加えるとステップを壊したり、転倒滑落につながります。ピッケルと後ろ足に体重を残して静荷重を心がけましょう。

  1. ピッケルワークについて

急斜面では静止時は常にピッケル・両足

の3点確保、移動時も2点を固定して移動すべきです。(できればピッケルを持たない手も使って、4点のうち3点確保)急斜面でも一時的に1点だけになっていた場面が時々ありました。

 ピッケルの握り方が不適切でピックの向

きを瞬時に変えられない・雪の硬さと深さ

でシャフトとピックを使い分けるべき選択

があいまい・シャフトの中間を握ってピッ

クを利かせている(滑落停止姿勢に入れな

い)など、不慣れなところも見えました。

ピッケルで常にセルフビレイを取る意識

を持ちたいと思います。

  1.  ロープとギアの使い方

まだ、ギアの装着・スリングカラビナの選択が遅いようです。できれば隔時登攀中のロープの整理、懸垂前後のロープの処理ができるようにすると登下降スピードが上がります。

ロープやスリングの結び方は暗くても自

動でできるようにマスターすること、ヤッケのふくらみやザックベルトで腰回りが見づらくなるので、見なくても選べるように、出しやすいように整理して準備することなどが課題でしょうか。

  1. 岩登りについて

先行パーティーが第2岩稜1ピッチ目で

取りつきからもたつき、ずいぶん待たされたため、岩稜左のルンゼを詰めるショートカットに変更し残念ながら岩登りはまた次の機会という事になりました。結局先行パーティーは登れずにリードがロワーダウンしてきました。人気ルートなので後続に迷惑をかけることのないよう他山の石としたいと思います。左ルンゼは雪が適度にしまって、ノーロープでも行けそうでしたが、練習のため、ダケカンバで支点を取りつつスタカットで2.5ピッチ登攀し、一連のロープワークとギアの操作をしてもらいました。

 

〈良かった点〉 

皆さん体力があり、余裕をもって登っておられました。(リーダーが一番体力不足ですが)テント内の片づけ、ハーネス・アイゼンの着用がスムーズで、出発時間も無駄がありませんでした。懸垂下降も順調で、ウエアリングや行動食、体調管理も適切でした。ロープを使った登攀の待ち時間で冷えるのを防ぐために2班に分けたので、長野さんが持ってきてくれたトランシーバは大変便利でした。

メンバーの協調性もあり、荷物を担いだり水汲みに走ったり、テント設営の場面でもみな献身的に働いていただきました。特に忙しい中、おいしい鍋を準備していただいた食当の藤松さん、レンタカーの手配から運転、先頭でルートファインディングもしていただいた長野SL、本当にありがとうございました。

何より、皆メンタル面で安定していて落ち着きがあり、安心して行動できました。

 

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〈最後に〉

テント以外は「計画書どおり」に行動で

きました。想定下山時刻より早く下りられたのは今回の好条件では当然で、これで午後までかかるようでは計画段階のミスでしょう。

今回は予想外に多くの参加希望者があり、一人で目が届くのは2人程度なので方法を思案していたところ長野さんから参加申し出があり大変助かりました。長野さんのお蔭で初心者を含む6人という大人数で曲がりなりにも冬のバリエーションルートを、無理なくパーティー全員が登頂できたのは嬉しいことでした。

事前トレーニングのボッカに参加して いただいた皆さんや、アイゼントレで協 力してくださった野崎さんや辻さんも含めて当会の組織力のお蔭だと思います。心からお礼申し上げます。

参加者の皆さん、楽しく有意義な例会にしていただき有難うございました。また一緒に山に出かけるのを楽しみにしています。

 

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【感想】46期 長野浩三

 初日は結構寒くてさすが八ヶ岳と思ったが,2日目はわりと緩んですごしやすかった。初日に偵察していたのでスムーズに岩稜のとりつきまでいけた。岩稜とりつきでは,ちょっと時間がかかりそうな人たちがとりついていたために,横の雪稜を登ったが,これはこれでちょっとしたバリエーションルートで雪稜登りの練習には十分だったと思う。2日目は1時間40分ほどで阿弥陀岳山頂につき360度の展望が楽しめた。富士山も近くに見えた。帰りは懸垂下降をかまして一応バリエーションルートっぽくなったと思う。久しぶりの雪山が楽しめてよかった。鍋もおいしかった。またご一緒しましょう。

 

 

【感想】 56期久代

2日間快晴の八ヶ岳!ピークハントではなく練習という丸山リーダーのお言葉にうなずきつつ、贅沢な場所で様々な実地訓練を受けれて幸せいっぱいな二日間でした。夏~秋のクライミングで鍛えられたのか、懸念のボッカもなんとかなったし、雪山も気持ちよく登ることができました。先行パーティーが手間取っていて岩稜を登れなかったのは残念でしたが、こっちの方が難しいと長野さんが仰った、落ちたら最後の雪の一般道をアイゼンとピッケルでがんがん登れたし、朝焼けの美しい富士山を眺めた後の阿弥陀頂上での360度のパノラマは、達成感もプラスされて言葉では言い尽くせないほどのものでした!!下りの50m懸垂下降は腕が疲れましたが、いい経験になりました。凍結した雪道と長距離を運転して頂いた丸山さん&長野さん、御一緒してた皆さま、色々お世話になり、ありがとうございました!雪山は危険ですが夢はひろがります!又よろしくお願いします!

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【感想】57期 織田

 会の方々と行く初めてのテント泊例会。一泊皆さんとすることにドキドキしていました。

しかし、サービスエリアで椅子を並べて「寒い寒い」と言いながら仮眠をとるという経験は初めてで、それだけで緊張の糸がほぐれました。

 天候に恵まれ過ぎた八ケ岳でしたが、富士山をあんなに近くで綺麗に見られた事はラッキーであり、また丸山Lが様々なメニューを用意して下さっていて、現地でもたくさん学ぶ事が出来たのは、やはり天候のお陰だったとも思います。

 

私自身、これから課題が多くありますが一つでもクリアしていけるように頑張りたいと思います。

 

最後になりましたが、長い道のりを運転して下さった丸山L長野SL、美味しいお鍋を準備して下さった藤松さんを始めご一緒して下さった皆様、本当にありがとうございました。

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【感想】 57期 石田 晃司

寒さに不安を感じたり、一面の銀世界にテンションが上がったり、また皆さんからいろいろ学ばせて頂いたりといい経験をさせてもらいました。

そして2日間ともガス一つない好天に恵まれた八ヶ岳。皆さんの日々の行いに感謝です。

2日目、朝4時起床。シュラフやマットの手早い片付けは参考になりました。ほぼ予定とおりの出発、トレースもしっかりしていて岩稜取り付き点には早く到着。途中樹林帯を抜けると富士山が現れました。少し赤く染まった富士山の存在感に気合が入りました。

わけあって岩稜を巻いて雪面を登ることになりました。急斜面を登ったりトラバースしたり、私はこんな所を登るのかと思いましたが、先を行く長野さんはすいすい登ってたので、私もそれを見習って登っていけました。

行きたかった冬の阿弥陀に無事登頂でき、それが冬季ルートということで非常に嬉しい山行になりました。

少しずつですがスキルアップしていきますので、また雪山にいきましょう。よろしくお願いします。

【感想】54期 藤松奈美

山は、お天気と仲間にめぐまれることが一番だとつくづく感じた山行でした。

群青色の空と雪の白さのコントラスト、富士山や御嶽山アルプスの山脈がえもいわれぬ美しさでした。寒さも心配でしたが、テントの真ん中はみなさんの体温でぽかぽか。 何よりも、いつも根気よく教えてくださる丸山リーダー、時には叱ってくれる長野さん、細いからだで力強く登られる姿があこがれの久代さん、向上心に学ばされる織田さん、おだやかな笑顔で気遣ってくださる石田さん、みなさんとご一緒できて楽しかったです。最近、体力的に落ちていましたが、また頑張って力をつけたいと思いました。ありがとうございました。