京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉剱岳(のための)岩特訓 第1回

2013年5月6日(祝)

【指 導】 野崎正和

【参加者】 奥野淳子 辻春見 鈴木かおり (会員3名)

 

【練習内容】

Y懸尾根の取り付きから1ピッチ・2ピッチにて、トップロープでスタティック(静的)なバランス・クライミングとクライムダウンの練習(ザックを背負い、登山靴を履いて)。

Y懸尾根の取り付きにてビレイの練習(奥野)

 

〈今日のポイント〉

~技術編~

初級のレベルでは、登りも下りも基本は同じです。簡単に登れたところは、簡単に降りられる技術を持つことがひとつの目標です。

 

①3点支持 原則として両手両足の内、一度に動かすのはひとつだけです。

 

②体は岩場に正対します。

 

③つま先も岩場に対してまっすぐ置きます。(下から見てつま先以外の靴底が見える状態)

 

④体を岩から離すと、ホールド・スタンスを見つけやすく、姿勢も安定します。

 

⑤腕力で体を引き上げるのではなく、足で登る意識を持つことが大切です。つまり意識の持ち方が身体の動きを導きます。

 

⑥スタティックな体重移動で登ります。(後足で蹴って、その勢いで登らないこと)

 

⑦重心を移動させる時、曲げた前足の上に腰を持っていく感じで、上側のスタンスにすーと乗って行き、そのまま膝を伸ばす感覚を意識すると良いのでは! そうすると後足は自然に岩から離れていきますから、次のスタンスをよく見て柔らかく正確に乗せていきます。流れるような重心の移動は、バランス・クライミングの醍醐味です。

(余談ですが、これは中級レベルになるとフェイスクライミングの「立ち込み」という技術に進化すると思います)

 

⑧きざむ=両足のスタンスを近く細かく取っていく。体重の移動をスムーズに、かつ安定した体勢を維持しながら登る技術で、特に、重いザックを背負った時には有効です。

 

⑨クライムダウン時のホールドは片手を顔のあたり、もう片手を胸から腰のあたりにとると良いです。両手とも頭や顔の辺りだと、体が下がった時に両手がバンザイになり動けなくなります。片手が低い位置にあれば、スムーズに重心を下げていけます。

 

⑩クライムダウン時は腰を落として足元をよく見る。いわゆるモンキースタイルになれば、遠い位置のスタンスにも楽に足をとどかすことができます。

 

⑪膝だけではなく、リラックスして体全体を柔らかく使います。

 

⑫ホールドはプッシュも有効です。特に下りでは使用頻度が高いです。

登り始める前にルートを読みます

(ル-トファインディング)。降りるときも同様です。 

 

⑬(できればムーブも読めたら良いのですが初級ではまだ無理でしょう)

 

⑭登ったルートのホールドやスタンスを覚えて置くと、下りの時に役に立つこともあります。

 

⑮パニックになりそうになったら、私は「落ち着け、落ち着け」と唱えると効果があるのですが、それぞれのやり方は自由です。リラックスして集中力を高めるために、セルフコントロールが大切です。

 

⑯バランスを崩す原因になるので、肘や膝を岩に当てないようにします。

 

⑰頭を下げた状態から急に起き上がると、めまいを起こすことがあるので、ゆっくり顔を起こしましょう。(特に、普段低血圧気味の人は立ちくらみのような状態で危険なこともあるので要注意です)

 

⑱岩場に生える木や草は根張りが浅いので掴んで引っ張ったら危険です。軽く押さえてバランスの保持に役立てるのはOKです。

 

※簡単な場所ほど、基本通りの動作を心がけて、正しい登降技術を身に着けるようにしましょう。(簡単な場所だからといい加減にしないように!)

 

~マナー編~

①岩場では、周囲の人の動きをよく見て不必要な行動はしないようにしましょう。また、接触事故を防ぐために、人の前後を通る時には「通ります」と声をかけるのもひとつの方法です。

 

②転落事故を防ぐためセルフビレイを必ずとるよう習慣にすると良いでしょう。

 

③ザックの横の引っかかりそうなもの・落としそうなものを中へしまいましょう。岩場でものを落とすのは厳禁です。

 

④休憩は安全な場所で。岩場にいる間は、常に転落と落石の可能性を意識することです。

 

~用語編~

トップロープ : ロープで上から確保(ビレイ)した状態で登る方法です。リードクライミングに比較して事故の危険性は低いのですが、それでもトップロープの支点が外れたり、ビレイヤーが手を離したりすると死亡事故にもつながりますから、決して甘く見てはいけません。

 

注 : 岩登りでは正しい用語やその意味を知ること、そして正しい技術を身につけることは、自分とパートナーの命を守るために非常に大切なことなので、上坂理事長や丸山副会長など、ベテランの先輩に教わったり、本を読んで勉強したりしてください。

よく聞きよく読んで、身体と頭を働かせて、身につけることが大切です。 

(決して野崎の言ったことだけを、鵜呑みにしないようにしてください!)

 

【感想】  53期  辻春見

金比羅特別訓練に、ご多忙中の会長にお時間をとって頂きました。岩ポイントを取得する折に、何回かは参加させて頂いたのですが大きな違いに気づきました。

岩ポイント例会の折は、昇降機で引き上げて頂いていたことに…。2ピッチでさえも、昇降機がないと全くイメージが違うことに気づきました。昇降機付きでの訓練の折は、帰宅後イメージできなかったのですが、今回は手の置き方、ツマ先の掛け方、岩から体のスタンスの取り方を思い返してイメージできました。(全くできませんし、すぐに忘れてしまうと思いますが)

忘れないためにも、熱いうちの継続が必要だと感じました。

 

私の今後の課題⚫

・岩から離し、足元確認

・爪先の置き方

・体重の移動(イメージトレーニングはしてるんですが…)

・刻み方

・クライムダウン中の手のつく位置  体が大きいので、手足の長さで稼いでしまっている。

・石を落とさない

最後に、お時間をとって頂いた会長、目標に向けての企画をしてくださった奥野さん、アドバイスいただいた鈴木さん、ありがとうございました。又、ご一緒してください。

 

【感想】  54期  鈴木かおり

基本の「き」(一番大切な事)から指導していただきました。まずは岩場に行く前から、落ち着かなければ。理解し体で覚えなくては。まさに岩登りも心技体。

野崎さん貴重な休日に本当にありがとうございます。

 

【感想】  50期  奥野淳子

夏の剱岳別山尾根ルート)を安全に登るために、野崎さんに特訓をお願いしました。本日は初級者三名が参加。岩壁に取り付いている時はそれぞれ必死ですが、その一人一人に、直すべき点・注意すべき所など丁寧に声をかけて頂きました。まだ一度の練習ですが、一歩前進できたと思います。これから7月まで、全5回の貴重な特訓です。この機会を逃さず、皆さん、出来るだけのご参加をお願い致します。