京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

〈個人山行〉剱岳(に向けて) 岩特訓 第2回

6月30日(日)

【指 導】 野崎正和

【参加者】 穐月大介 西田和美 奥野淳子 辻春見 鈴木かおり 5名

 (飛入り参加 藤田哲陽 藤田夫人)

 【練習内容】

ピラミッドの左ノーマルの岩場にて、トップロープでスタティック(静的)なバランス・クライミング。一度目はロワーダウン。二度目はクライムダウン。(登山靴を履いて)。

 

〈今日のポイント〉

~技術編~

一般的に技術には幅があり、状況を判断することなく固定的に考えることは避けなければなりません。また、以下に述べる技術的ポイントは、何れにしても技術である以上状況に合わせて選択可能でなければなりません。初級の方には、できるだけ普遍的な内容で指導しようと努力しましたが、私が普段こうしているというバイアスがどうしてもかかりますから、その意味でも、また幅広い技術を学ぶという意味でも、複数の先輩に教えを受ける必要があります。

 

①登る前に、落ち着いてルートをよく見る。

 

②つま先は岩場に対してまっすぐ置く。横向きはダメ。→状況によります。足裏が全部乗るような幅広いスタンスやバンドの場合は、この限りにあらずです。また、少し上手になればアウトサイドで乗ってカウンターバランスというムーブもよく使います。

 

③一度足を置いたらグリグリ動かさない→外れることもある。

 

④手は補助。足で立つのが基本。

 

⑤スタンスが決まれば、体重を移動させる(膝をゆっくり伸ばしていく感じで)

 

⑥もし進めなくなったら、落ち着いて少し戻って考えると答えが見つかることもある。

 

⑦色々考えているよりも、進んでみて、その場所でまた次を探す。動いてみると、新たなホールドやスタンスが見えてくることもある。

 

⑧下や景色を見ると怖くなるが、自分の周りを集中してちゃんと見る。

 

⑨クライムダウン時はモンキースタイルが有効である。膝を曲げて腰を落とすと、遠いスタンスにも足が届きやすくなる。膝が岩にあたって邪魔なら外に開く。同時に足場をよく見る。

 

⑩クライムダウン時、手を低い位置に持って行くと、体も下げやすい。

 

⑪両手を顔より下に持っていきにくい場合、まずは片手 から。

 

⑫クライムダウン時はプッシュホールドが効く。

 

⑬ビレイ側のロープとクライマー側のロープがクロスして擦れるとロープが痛むし、最悪の場合切れることも考えられる。トップロープの場合、クライマーが左右に移動することで一時的にロープがクロスすることがある。リードの場合、ルートが接近していると他のクライマーのロープとクロスする可能性がある。そのような時に墜落すると非常に危険である。また、ロワーダウンの場合もゆるやかな墜落といえるので、ロープがクロスしたり、岩角に当たって擦れていると危険性は非常に大きくなる。その場の状況によるが、必要があれば、ビレイ側とクライマー側のロープがクロスしないように、ロープをくぐったりロープをまたいだりというその場で最も適切な行動を、ビレイヤーがクライマーに指示しなければならない。 ←理由がよくわかっていないので、解説をお願いします。

 

⑭ハーケンの穴に指をかけてはいけない→足を滑らせて落ちると、最悪の場合指がちぎれる。ハーケンを持ちたければ、ハーケンにカラビナをかけて、そのカラビナを持つようにする。ハーケンには足を置いてもいけない。ハーケンをホールドとして利用したり、踏んだりするのは、フリークライミングでは認められていないが、非常の場合や沢登りではこの限りにあらず。

(いわゆる「A0(エーゼロ)=なんでもあり」だが、フリークライミングのルールでは、「何でもあり」で登っても、そのルートを完登したことにはならない。)

 

⑮原則として、ビレイヤーはセルフビレイをとる。トップロープの場合でも、クライマーとビレイヤーに体重差がある場合は必要である。ちなみに、金毘羅での練習でビレイヤーがセルフビレイを取っていないのは変則である。同時に、適切なセルフビレイの取り方はきちんと学ばなければならない。

 

~マナー編~

①岩場に着いたら、まずヘルメットをかぶる。撤退の最後まで装着しておく。落石の原因は人間以外に自然の条件や動物の場合もある。

 

接触事故を防ぐために、人の前後を通る時には「通ります」と声をかける方が良い。

 

~道具編~

①靴は大き過ぎると爪先が余って、小さなスタンスに立ちにくい。

 

トップロープの場合、グリグリⅡのようなオートロックのビレイ器具を使用すれば、万一、手を離してもロープが止まる可能性が高い。ただし、過信してはいけないので、正しい使用方法をきちんと練習する必要がある。

 

【感想】    25期  穐月大介

野崎会長はクライミングの基礎はもとより足の運び、荷物の持ち方、クライムダウン、からリーダー心得まで本当に基礎の基礎を教えてくださいました。考えれば高校の時24期の梶巻に山を教えてもらってから40年近く山に登っていますが、余計に基礎を忘れがちです。昔のように登山靴で岩に登り初心の怖さを思い出しました。野崎さん皆さん有難うございました。

 

【感想】  53期  辻春見

今回順番的にトップに上らせて頂きました。

1)一応上る前にルートファインディングはした。 --結果的に難易度の若干高いルートとなり、登れずに断念。登る前のシミュレーションと実際に取り付いてからの足の置き場は全く違っていた。スキル、体力が無いのであるから、まず難易度の低いルートを探すべき。

2)トップロープが無ければ、3度くらい滑落して死んでいた。 --他の参加の皆様と自分との大きな違い、それは皆様は「絶対に落ちない!」と言う思いで精神をコントロールされている。自分はと言うと、横着にもビレーしてもらっているのだからと、一か八かの次のアクションに出ている。うまくつながればラッキー、無理なら宙吊りというあまりにも横着な思い。これは確実に死に直結する考えのため、セミになっても熟考する。

3)スタティックで登っているつもりではあるが重心の移動ができていない。体重をかけて、後ろ足は引き上げる程度の力分配。実はこの動きは、岩登りに限らず、通常の登山ででも指摘を受けていた。通常歩き方(少し間隔をあけて、蟹股にならぬよう)もご指摘を受けたが、基本の動作を意識するべき。

以上を気にかけ、次回につなげたいと思います。会長、皆さま、ありがとうございました。

 

【感想】  54期  鈴木かおり

恐怖心があっても、集中力と緊張感を持続させること(精神面大事ですね)。自分がリーダーやサブリーダーでなくても、全体を見たり、後ろを見ておくことは必要と思いました。まったく当り前のことに今ごろ気がついたのですが、集中力と緊張感を持続する精神力も体力とともに必要。これは岩のみならず、山すべてにおいて。

 

【感想】  50期  奥野淳子

今回も、クライミングの基本に着いて教わりました。現地で偶然出会った藤田夫妻も加わられ、大勢でワイワイとトレーニングを行うことが出来ました。登り方には人それぞれに癖があり、人の登っている様子を見せてもらうことは勉強になりました。