京都比良山岳会のブログ

山好きの社会人で構成された山岳会です。近郊ハイキングからアルプス縦走までオールラウンドに楽しんでいます。

No.3336 表妙義・裏妙義縦走

自分はクライミングしかできない、縦走しかできない、日帰り山行でないと。そういった棲み分けを自分の中で決めてしまっていないだろうか。様々な楽しみ方がある山の世界で、稜線歩きしか、この季節しか、この山域しか知らないというのは非常にもったいない気もする。標高1000m程度というと低山と思う人もいるだろうが、こんな山があることを紹介したかったのが妙義例会を計画した目的である. 

tyousu.jpg

↑丁須の頭

 

 

[No.3336] 表妙義・裏妙義縦走 2013年11月15日(金夜)~17日(日)

 

48期 寒川 陽子

【参加者】CL寒川陽子、亀島文子、藤松奈美 計3名

【天候】16日:快晴 17日:晴れ

【行程】

・2013年11月15(金)

20:00烏丸御池=(マイカー)⇒1:30松井田妙義IC⇒1:40道の駅みょうぎ・2:00就寝

 

・2013年11月16(土)

6:30起床・7:35出発→8:40大の字55→9:10辻→9:20奥の院45→9:55見晴→10:05玉石→10:35大のぞき→11:00休憩15→11:30天狗岳→11:50タルワキ沢分岐→12:10相馬岳20→14:05堀切35→14:50四阿→15:05大人場→15:20金鶏橋

[行動時間(休憩除く)6:45]

 

金鶏橋=(マイカー)⇒15:30もみじの湯17:00⇒17:35麻苧の滝駐車場⇒17:55道の駅みょうぎ・23:00就寝

 

・2013年11月17(日)

6:30起床・7:50出発=(マイカー)⇒8:10麻苧の滝駐車場

麻苧の滝駐車場8:20→10:40御岳55→12:10丁須の頭50→13:50第二不動ノ滝→14:40車道出合→14:50麻苧の滝駐車場  [行動時間(休憩除く)6:45]

 

麻苧の滝駐車場15:05=(入浴等)⇒17:00松井田妙義IC⇒22:30京都市

 

【記録】48期 寒川 陽子

 表妙義山麓にある妙義神社は、首都圏において紅葉の名所として名の知られた場所。紅葉の時期が始まり、高速道路も混雑気味である。松井田妙義ICは、妙義に来るためだけに存在するような出入口で、すぐ傍に妙義山の岩盤が聳え立ちその麓にある道の駅みょうぎへ向かう。山間部の高台にあるため夜間は冷え込むが富岡市街の展望がよくその奥には榛名の山々が見渡せ、東から登る朝焼けに照らされたシルエットは見事なものである。

 

 ここ数週間の週末の曇天が嘘のような快晴。岩場で危険なせいなのか、観光気分で登りに来る人も多いのか、妙義神社奥の登山道には、しつこい位に木に描かれたマーキングが出てきて迷う余地がない。表妙義には道の駅からでもはっきりと見える「大」の字があるが、その手前の鎖場は湿った一枚岩で少しいやらしい。大の字へと登る岩はスタンス用に岩が切られていて易しいが高度感がある。大の字以降は広い箇所はほぼないため、小休止しかできないと思っておいた方がよいだろう。ロープ確保なしフリー状態での岩稜とあって、滑落にはかなり神経をとがらせていた。しかしベテランの亀島、近年トレーニングに精を出している藤松の両名は、岩場の中でもどこが危険なのかを察知し慎重に通過していたので、リーダーとしては大変安堵できた。奥の院では金比羅山のワイケン尾根クラスの規模・長さの岩壁が出てくるが、地元の山岳部らしき若者やご夫婦に先行してもらい、以降しばらくワイワイと道中を共にした。

 

ryousenmezasi.jpg

↑稜線を目指して

 

中には岩慣れしていない登山者もおり、稜線上ではしばし渋滞が発生。玉石手前の鎖場はスタンスが薄い上にスッパリと切れ落ちているので、手が滑ったら完全にアウトである。垂直に近い壁では、ロープ代わりに鎖を掴み確保なしで懸垂下降することになり、手や上腕を酷使することに。

 

iwawo.jpg

 ↑岩を行く

 

asamayama.jpg

 ↑浅間山冠雪!

 

tyottohito.jpg

 ↑ちょっとひといき

 

冷や冷やしながら登っていたが悲しいかな人間は慣れてしまうもので、大のぞき直後の鎖場以降は、どの鎖場も取るに足らない箇所にしか思えなくなってくる。相馬岳は、表妙義の中心である白雲山の主峰であり、昼時とあって小さな広場に人が賑わっていた。ここからは大下りの後に鷹返しと呼ばれる岩峰まで登り返して金洞山エリアへと至るが、時間切れにつき、鷹返し手前の鞍部である堀切にて下山。もちろん、相馬岳以降もザレた急下りや鎖場・残置ロープ箇所が頻発していたのは言うまでもない。

 

soumadake.jpg

 ↑相馬岳

 

堀切からは、道中一緒だったパーティーのうち高崎市の教員2名組と中間道を四阿までご一緒した。車道出合である金鶏橋にて亀島がヒッチハイク成功。車を回してもらい、入浴および翌日の登山口の下見をした後、道の駅に戻り食当の藤松が用意したサムケダン鍋を美味しくいただいた。明朝に登るのだろう、我々と同じく車横に幕営する人は時間を追うごとに増えていき、夜間にはライダーや若者も訪れにぎやかな夜であった。

 道の駅に比べると薄暗い麻苧の滝駐車場。裏妙義の岩稜の向こうから朝焼けが川面を照らしだしている。この駐車場にて同じく裏妙義を行く予定の男性2名組と談笑。山男らしく愉快な方々で下山まで道中を共にし、楽しませていただいた。麻苧の滝までは観光地として整備されているが、滝を過ぎた先、支沢の滝の高巻きのごとき岩盤では岩が濡れていることもあって慎重を要する。しかし表妙義と比べれば歩行箇所が多く難易度はかなり低い。

 

 

mitake.jpg

 ↑御岳はもう近い

 

 しばらく歩き稜線に乗り上げると、岩稜の急斜面となり御岳へ。表妙義および行く先前方の丁須の頭方面の展望が開けている。

歩くにつれて丁須の頭の特徴的なてっぺんは大きくなり、その上に立つ人影を認めることができた。

裏妙義の名ポイントでもある丁須の頭は、その周辺に至っても鎖が多い。とはいえ、乾いたスタンスのある岩なので登りにはさほど苦労しなかった。丁須の頭のてっぺんは見た感じからして「行けるかもしれないけど…」といった印象。ボルダーと比べればホールドは十分良いが、取り付きの一手目が左手の空中に振られる。落ちたらまず助からないのであっさり諦めた。「これは行ける!」と少しでも思えない時はまずスムーズにはいかない。

 

hidarino.jpg

↑左の男性の場所が取り付き点

時間もおしてきたので、北西へと沢筋を下降。北面にあたるせいか多少濡れ気味の岩がいやらしい。岩盤を下降し滝下からは紅葉の渓谷歩き。駐車場を眼下に見て、斜面の崩壊した山肌を残地ロープ頼りに通過して起点に舞い戻った。

 

koui.jpg

 ↑紅一点

 

【感想】53期 亀島

妙義山は二回目である。以前は春。人が多く順番待ちのクサリ場。春4月は日が長くあせる事無く待つ事ができるが秋は3時半から薄暗くなり、下山の時間が気になる。

途中での下山になる。

安全確保の為ハーネス、ヘルメット、ギャー関係持参で山に登っている人が多い中、ヘルメットーの必要と(落石)アプローチシューズか、滑りにくい靴(苔有り)が必要と思います。

表妙義は滑落転落死が有り、特に慎重に登りたい山である。

クサリ場はクサリを持てば安心して登れますが、何でこんな危ない場所にクサリが無いの?クサリが途切れた場所から気をぬけない。

裏妙義下山後、温泉に入り自宅迄の誘導ナビを入れると、12時過ぎ(京都~の電車時間を考え)多賀迄ノーストップですっ飛び2時間短縮。

計画的、時間的、季節的に考えさせられる山行でした。

 

【感想】54期 藤松奈美

 標高700~900㍍の稜線は、落葉のため見晴らし抜群。細尾根のため、高度感もてもあり、ずっと空の上を散歩しているような気分でした。

 長い鎖場、切り立った岩場、急登急直下の繰り返し、下から見えるぎざぎざの山の形そのままに、非常にスリリングな山でした。紅葉も美しく、今年ベスト3に入る山行でした。アルプスを歩いていても岩場の通過が楽しいなあと思っていましたが、こんなに楽しいとは想像以上で、まだ全山縦走していないので、必ず再訪したいと思います。

未熟なわたしに先頭を歩かせていただき、サポートしていただいたリーダーの寒川さん、亀島さん、本当にありがとうございました。

 

【感想】  48期 寒川 陽子

 自分はクライミングしかできない、縦走しかできない、日帰り山行でないと。そういった棲み分けを自分の中で決めてしまっていないだろうか。様々な楽しみ方がある山の世界で、稜線歩きしか、この季節しか、この山域しか知らないというのは非常にもったいない気もする。標高1000m程度というと低山と思う人もいるだろうが、こんな山があることを紹介したかったのが妙義例会を計画した目的である(もっとも、首都圏では有名な山であるが)。

 単独の場合より時間に余裕を見た計画としていたが、それでも全体的に時間が足りなかったのが結果である。個人的にはコースはおおむね予想していた位の難しさで、気候等のコンディションは文句なしだったため、ルートに関する事前周知が甘かったと考えている。誰か一人でも万一の場合が頭をかすめるようなら、それはパーティー全体の力量不足だ。妙義神社でUターンして帰京すべきだっただろう。

妙義主稜線ではハーケンは打てない。そもそも支点構築などしていては渋滞して仕方ない。しかし僅かな油断が大事に繋がりかねない地形であることは違えようがない。

どこまでパーティー全体の安全を確保すればいいのかが難しく、それ故挑戦的な山行は単独行にしてしまう。事後のミーティングをしっかり持ち反省点や改善点の洗い出すべきなのだろうが、それが疎かになってしまうのが社会人山岳団体の共通点であり、いずれ遭難や技術の停滞に繋がるのではと思う。今回の山行について個々の反省点は認識しており解決も容易である。むしろ問題なのは、パーティーとして問題点を見出した場合それをどう今後に生かすか。集会後の席での、一部のメンバーだけでの歓談という形でよいのか。来年に向けての自己課題としたいと思う。

 最後に、時間的にタイトな山行でありながら協力して頂いた亀島さん・藤松さんには本当に感謝している。